Wheel of Fortune ~おお、運命よ~

2017年9月28日メルマガ書庫

皆さんは、自分を導くFortunaの影を見た事がありますか?

Fortuna は『運命の女神』。宿命とはまた別です。

宿命とは、先天的に定められた「人生の場」。あなたが生きる人生の舞台です。人によって、それは花園でもあるし、すさんだ荒野でもある。残念ながら宿命は変えられません。役者が舞台を変えることができないように。

でも運命は違います。Fortuna は、道を歩く者の前に、突如降り立ちます。そしてそれぞれの器に応じた課題を課します。Fortunaは、ただ試すだけ。悲運も不運もありません。その解答を見て次に行くべき道を示すのが、彼女の仕事です。

もしあなたが学校の教師なら、意欲のある生徒にはどんどん課題を与えて、才能を伸ばしてやりたいと思うでしょう。逆に、鼻クソほじって、居眠りこいているような生徒には、授業する気にもならないはずです。

Fortunaもそれと同じです。Fortunaに気に入られると、必然的に課題が増えます。進めば進むほど、課題もどんどん重くなります。「もうダメですぅ。難しすぎて解けません」と放り出せば、それまでです。しかし20点でも、70点でも、とにかく最後までチャレンジすれば、次の機会を与えてくれます。今度は100点満点が出せるように。そうして最後には、人の辿りつけぬ境地まで導いてくれるでしょう。

愛の神 Erosと違って、Fortunaは意地悪です。「こんちくしょう」というような顔をしています。だから皆、避けたがります。

だけど、ひとたび、自分を導くFortunaの影を見れば、その意地悪な横顔にもなんとなく愛着を抱けるようになるものです。「あら、いらっしゃい」って。「今度は何? 私を何処に連れて行くの? アンタ、よっぽど私に惚れてんのネ」って(笑)

******・・*****・・*****・・*****・・*****

Fortunaを描いた作品はいろいろありますが、私は、オルフ作曲の世俗カンタータ『カルミナ・ブラーナ』の詩が一番好きです。最近では、アクション映画の予告編のBGMによく使われていますから、誰でも一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。

有名なところでは、シルベスター・スタローン主演の「クリフハンガー」で使われていました。ちなみに、シュワちゃんの新作「エンド・オブ・デイズ」の予告編のBGMに流れているのは、ヴェルディのレクイエム「怒りの日」です。これもよく使われています。

以下がその詩です。

******・・*****・・*****・・*****・・*****

【 Fortuna Imperatrix Mundi 】全世界の支配者なる運命の女神

おお 運命の女神よまるで月とそっくりに いつも姿態が変わりやすくしょっちゅう大きくなってみたり あるいは小さくなったりするまったく呪わしいこの人生は 意地悪な目つきをすると思えば今度はまた愛想よくして見せるふざけた気持ちで 時には窮乏を 時には権力を氷のようにかき消してみせる

恐ろしく非情に しかも何の実もない (空しい)運よお前はぐるぐる回る車輪みたいに怪しからん 悪性のものだその安心とて あてにできず すぐに潰え去ってしまう。今はすっかり影に隠れ 暗い姿で私のところへも掛かってくるのだそれでもうお前の非道な戯れのため私は現在 背中を蔽う衣さえ失くなってしまった。

心身の安全さと徳性との運も今は 私を見捨て去ったしょっちゅうそれは情欲と不足との隷従に陥ってしまう。さらばこの時に当たり 一刻の猶予も無く 脈打つ心にお触りなさい時運によって強い者までとり挫いだそれを私と一緒に 皆さんも嘆いてください!

Fortune Plango Vulnera

運命の女神の(与えた)傷手を 涙のこぼれる眼もて私は嘆くまたもや私に背いて冷たい仕打ちに出ることをまったく本で読んだのは本当だった運命の女神の額には髪があるけれど大抵はそれにつづく機会というのは禿だということ

運命の女神の玉座に 私は得意になって座っていた栄華のいろとりどりな 花の冠を頭につけてすなわち以前 幸せよく栄えていただけ今はまったく落ちぶれ果てて 栄光も奪われ去った

運命の女神の車の輪(Wheel of Fortune)はめぐって行く卑しめられて私のほうが降って行けば他の人が高いところへ引き上げられるあまりにも有頂天になって 頂上の座に王として座する者こそ墜落に心するがいいなぜとなら 車輪の下にはヘクバの名が読めるのだ(滅ぼされたトロイア女王)

CARMINA BURANA 作曲 ORFF 呉 茂一 訳

[youtube]http://www.youtube.com/watch?v=GD3VsesSBsw[/youtube]

******・・*****・・*****・・*****・・*****

人間には、自分ではどうにも制御できないものがあります。それは意志とか感情とかいうレベルのものではなく、何かもっと根深く、強烈なものです。自分や自分の人生を根幹から支配するものです。それが何かは解らないけれど、常にそれに引き摺られて生きている私がいます。時々、生きているのは「私」ではなく、その「何か」の方だと思う事もしばしば――それが何か解るのは、多分、人生の最後の方でしょうね。

私は、美空ひばりさんが好きで、この前もTVのスペシャル番組をビデオにとって観てたんだけど、何が好きって、歌っておられる時の姿が好きなのね。雰囲気とか、表情とか。一曲、歌う間に、ドラマがある。そして曲ごとに、表情が違うの。まるで女優のよう。前に、『悲しい酒』を歌いながら、涙をこぼす姿を見たことがあるけど、まるで一幕の短い芝居を観ているようだった。なんでそんな風に歌えるんですか? 何が見えるんですか?って聞きたくなったわ。

ひばりさんも、「全部知ってる人」なのね。そしてそれを表現できるの。だから、あんな風に歌えるんだわ。

もし私が作詞家で、ひばりさんに自分の書いた詞を歌ってもらえたら、感激のあまり卒倒するんじゃないか(笑)「川の流れのように」を書いた秋元康が、“オレ、いつ死んでもいい”って言った気持ちが分かるもの。

他にもいろんな生き方が出来ただろうに……普通のお嬢さんとしてシアワセに生きていくことも出来ただろうに、どうしてこの人、死ぬまでマイクを離さなかったんだろう、って、いつも思ってた。そうしたら、今日、TVの中で、こうおっしゃってたわ。「自分の選んだ道だから」――

人間、何の為に生きてるかって、自分を完成させる為に生きてるのよ。それが究極の目的であり、人間にとって本当の仕事なんだわ。

私にはそれが分からなかった。

そう考えたら、それに殉じて生きられたひばりさんが羨ましいなあと思うし、幸せな人だなあと思う。私にはまだ迷いがあるから、まだまだネ(笑)

ともかく、ひばりさんを知ってる人も、全然知らない人も、また機会があれば見てくださいね。「川の流れのように」は何回聞いても泣けます(;_;)

そういう意味でいくと、中森明菜さんも大好きなんだわ。とにかく立ち直って、もう一度、昔みたいに歌って欲しいッス。

これに続く記事は・・美空ひばりと私(’99年) / 幸せの数え方 ~『人生一路』より~

******・・*****・・*****・・*****・・*****

……そうして人間は幾度と無く暗闇に落ち、その度に目を覚ます。あるいは目を覚ますと知っているから、落ちて行くのかもしれない。

皆さんは、自分を導くFortunaの影を見た事がありますか?

Fortuna は『運命の女神』。宿命とはまた別です。

宿命とは、先天的に定められた「人生の場」。あなたが生きる人生の舞台です。人によって、それは花園でもあるし、すさんだ荒野でもある。残念ながら宿命は変えられません。役者が舞台を変えることができないように。

でも運命は違います。Fortuna は、道を歩く者の前に、突如降り立ちます。そしてそれぞれの器に応じた課題を課します。Fortunaは、ただ試すだけ。悲運も不運もありません。その解答を見て次に行くべき道を示すのが、彼女の仕事です。

もしあなたが学校の教師なら、意欲のある生徒にはどんどん課題を与えて、才能を伸ばしてやりたいと思うでしょう。逆に、鼻クソほじって、居眠りこいているような生徒には、授業する気にもならないはずです。

Fortunaもそれと同じです。Fortunaに気に入られると、必然的に課題が増えます。進めば進むほど、課題もどんどん重くなります。「もうダメですぅ。難しすぎて解けません」と放り出せば、それまでです。しかし20点でも、70点でも、とにかく最後までチャレンジすれば、次の機会を与えてくれます。今度は100点満点が出せるように。そうして最後には、人の辿りつけぬ境地まで導いてくれるでしょう。

愛の神 Erosと違って、Fortunaは意地悪です。「こんちくしょう」というような顔をしています。だから皆、避けたがります。

だけど、ひとたび、自分を導くFortunaの影を見れば、その意地悪な横顔にもなんとなく愛着を抱けるようになるものです。「あら、いらっしゃい」って。「今度は何? 私を何処に連れて行くの? アンタ、よっぽど私に惚れてんのネ」って(笑)

******・・*****・・*****・・*****・・*****

Fortunaを描いた作品はいろいろありますが、私は、オルフ作曲の世俗カンタータ『カルミナ・ブラーナ』の詩が一番好きです。最近では、アクション映画の予告編のBGMによく使われていますから、誰でも一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。

* 有名なところでは、シルベスター・スタローン主演の「クリフハンガー」で使われていました。ちなみに、シュワちゃんの新作「エンド・オブ・デイズ」の予告編のBGMに流れているのは、ヴェルディのレクイエム「怒りの日」です。これもよく使われています。

以下がその詩です。

******・・*****・・*****・・*****・・*****

【 Fortuna Imperatrix Mundi 】全世界の支配者なる運命の女神

おお 運命の女神よまるで月とそっくりに いつも姿態が変わりやすくしょっちゅう大きくなってみたり あるいは小さくなったりするまったく呪わしいこの人生は 意地悪な目つきをすると思えば今度はまた愛想よくして見せるふざけた気持ちで 時には窮乏を 時には権力を氷のようにかき消してみせる

恐ろしく非情に しかも何の実もない (空しい)運よお前はぐるぐる回る車輪みたいに怪しからん 悪性のものだその安心とて あてにできず すぐに潰え去ってしまう。今はすっかり影に隠れ 暗い姿で私のところへも掛かってくるのだそれでもうお前の非道な戯れのため私は現在 背中を蔽う衣さえ失くなってしまった。

心身の安全さと徳性との運も今は 私を見捨て去ったしょっちゅうそれは情欲と不足との隷従に陥ってしまう。さらばこの時に当たり 一刻の猶予も無く 脈打つ心にお触りなさい時運によって強い者までとり挫いだそれを私と一緒に 皆さんも嘆いてください!

Fortune Plango Vulnera

運命の女神の(与えた)傷手を 涙のこぼれる眼もて私は嘆くまたもや私に背いて冷たい仕打ちに出ることをまったく本で読んだのは本当だった運命の女神の額には髪があるけれど大抵はそれにつづく機会というのは禿だということ

運命の女神の玉座に 私は得意になって座っていた栄華のいろとりどりな 花の冠を頭につけてすなわち以前 幸せよく栄えていただけ今はまったく落ちぶれ果てて 栄光も奪われ去った

運命の女神の車の輪(Wheel of Fortune)はめぐって行く卑しめられて私のほうが降って行けば他の人が高いところへ引き上げられるあまりにも有頂天になって 頂上の座に王として座する者こそ墜落に心するがいいなぜとなら 車輪の下にはヘクバの名が読めるのだ(滅ぼされたトロイア女王)

CARMINA BURANA 作曲 ORFF呉 茂一 訳

[youtube]http://www.youtube.com/watch?v=GD3VsesSBsw[/youtube]

******・・*****・・*****・・*****・・*****

人間には、自分ではどうにも制御できないものがあります。それは意志とか感情とかいうレベルのものではなく、何かもっと根深く、強烈なものです。自分や自分の人生を根幹から支配するものです。それが何かは解らないけれど、常にそれに引き摺られて生きている私がいます。時々、生きているのは「私」ではなく、その「何か」の方だと思う事もしばしば――それが何か解るのは、多分、人生の最後の方でしょうね。

私は、美空ひばりさんが好きで、この前もTVのスペシャル番組をビデオにとって観てたんだけど、何が好きって、歌っておられる時の姿が好きなのね。雰囲気とか、表情とか。一曲、歌う間に、ドラマがある。そして曲ごとに、表情が違うの。まるで女優のよう。前に、『悲しい酒』を歌いながら、涙をこぼす姿を見たことがあるけど、まるで一幕の短い芝居を観ているようだった。なんでそんな風に歌えるんですか? 何が見えるんですか?って聞きたくなったわ。

ひばりさんも、「全部知ってる人」なのね。そしてそれを表現できるの。だから、あんな風に歌えるんだわ。

もし私が作詞家で、ひばりさんに自分の書いた詞を歌ってもらえたら、感激のあまり卒倒するんじゃないか(笑)「川の流れのように」を書いた秋元康が、“オレ、いつ死んでもいい”って言った気持ちが分かるもの。

他にもいろんな生き方が出来ただろうに……普通のお嬢さんとしてシアワセに生きていくことも出来ただろうに、どうしてこの人、死ぬまでマイクを離さなかったんだろう、って、いつも思ってた。そうしたら、今日、TVの中で、こうおっしゃってたわ。「自分の選んだ道だから」――

人間、何の為に生きてるかって、自分を完成させる為に生きてるのよ。それが究極の目的であり、人間にとって本当の仕事なんだわ。

私にはそれが分からなかった。

そう考えたら、それに殉じて生きられたひばりさんが羨ましいなあと思うし、幸せな人だなあと思う。私にはまだ迷いがあるから、まだまだネ(笑)

ともかく、ひばりさんを知ってる人も、全然知らない人も、また機会があれば見てくださいね。「川の流れのように」は何回聞いても泣けます(;_;)

そういう意味でいくと、中森明菜さんも大好きなんだわ。とにかく立ち直って、もう一度、昔みたいに歌って欲しいッス。

これに続く記事は・・美空ひばりと私(’99年) / 幸せの数え方 ~『人生一路』より~

******・・*****・・*****・・*****・・*****

……そうして人間は幾度と無く暗闇に落ち、その度に目を覚ます。あるいは目を覚ますと知っているから、落ちて行くのかもしれない。

Fortuna Imperatrix Mundi = 全世界の支配者なる運命の女神

それも手なずければ、最強の味方になるということ。

あなたの前にも、Fortuna が降り立つといいですね。ただし最初は意地悪な顔をしているので、なかなかそれとは見抜けませんが。とにかく追い返さないように。Fortuna の課題は受けて立ちましょう。

それでは皆様、良いお年を (^^)/~~~

記:1999年 年末

Fortuna Imperatrix Mundi = 全世界の支配者なる運命の女神

それも手なずければ、最強の味方になるということ。

あなたの前にも、Fortuna が降り立つといいですね。ただし最初は意地悪な顔をしているので、なかなかそれとは見抜けませんが。とにかく追い返さないように。Fortuna の課題は受けて立ちましょう。

それでは皆様、良いお年を (^^)/~~~

記:1999年 年末