醤油一滴の奇跡 ~いつもの味にサヨウナラ~

2017年9月15日恋と女性の生き方

主婦の台所仕事が億劫になるのは、自分の料理に飽きてしまうからだ。

夫や子供はお客さん気分で出された料理を楽しむことができるけれど、主婦にとっては仕事の一環、自分の作ったものに新鮮な気持ちで出会うことはない。
プロの料理人が自分の料理に感嘆することがないように、どれほど美味しい手料理も、主婦にとっては『日常』の範疇を超えないのだ。

何か「美味しいもの」が食べたい。

日々繰り返される味のライブラリーに新風を送りたい。

ほとんど飢えに近い気持ちで外食する人もあるだろう。

実際、料理のレパートリーを増やすには、料理本を眺めるより、いろんなものを食べ歩く方がはるかに効果的だ。
「百聞は一味にしかず」とでも言おうか、有名レストランのシェフや料理自慢の奥さんの知恵と工夫がピリリと効いた「珍しいレシピ」を体験することによって、日常においてはどうしても固定しがちなノウハウに風穴が空くことが多い。

「白菜もこうやって食べれば美味しいのね」
「このハーブにはこういう使い方があったのか」

そうした発見がいかに主婦の献立をリフレッシュさせるか、「主婦の外食なんて遊びか、怠けだ」とのたまう亭主族は絶対的に見方を変えるべきだと思う(まあ、中には、何を食べても知識として吸収しない人もあるだろうけど……)

とはいえ、様々な事情から、そうしょっちゅう外食するわけにもいかない主婦の方が圧倒的に多いだろう。
行ったとしても、ショッピングモールの安っぽいカフェテリアとか、業者で半調理されたハンバーグを解凍して焼くだけのファミレスとか、学生が小遣い稼ぎに調理場に立っているような店が大半で、免許皆伝の調理師が己のライフワークと腰を据え、腕をふるっているような店にはなかなか行く機会がないのではないか。
(その理由は、「子連れお断り」とか「経済的余裕がない」など・・)

そういう「ままならぬ奥様方」にぜひ取り入れて欲しいのが、高級調味料。

こういうのはお歳暮やお中元にオーダーするもので、我が家のキッチンで使うものではない……と思っている人も多いだろう。

でも、これは決して贈答用に限ったものではない。

自分の味付けに飽き飽きしている主婦だからこそ、時にはこうした高級調味料を使い、「いつもの肉じゃが」を「料亭の味」にランクアップして欲しいのである。

かく言う私も、調味料にお金をかけるようなタイプでは全くなかった。

1円でも安ければ、メーカーにこだわらず購入する口だった。

しかし。

実家からお裾分けしてもらった1本何千円とするらしい高級有機醤油(お中元にもらった)を使った時、考えが一変した。

口の中に幾重にも広がる、立体的な旨味。
それでいて嫌みのない甘辛さ。(←まるで『美味しんぼ』)

自分で作った肉じゃがとは思えないほど濃厚かつ芳醇で、醤油一つでこんなにも味わいが増すのなら、わざわざ木屋町(四条河原町の裏手にある飲食店街)に出掛けなくても、自宅で十分、料亭の味が再現できるじゃないか……! と思ったくらい。

まあ、ほんと、騙されたと思って、一度使ってみて下さい。

味の根底から変わりますから。

保証しますよ☆

*

日本では、今もグルメ番組が一定した人気を誇っているようだけど、なんか分かるような気がする。

自分の料理にいいかげんウンザリしちゃってる、でも、美味しい物を食べ歩く余裕もない主婦が、せめてグルメ番組を見ることで、「食べた気分」にひたるのではないかしら。

以前は、「また高級旅館・味自慢の旅かよ~」なんて思ってたけど、こんな番組でも、主婦にとってはインスパイアに満ちあふれているのかもしれない。

私も料理番組は大好きだ。

でも、「キューピー3分クッキング」みたいなのじゃなく、「有名レストランの裏側」とか「一流シェフに聞く料理の神髄」みたいな、ドキュメンタリーが好き。

同じ包丁を握る身でありながら、こんなにもスキルも哲学も違うものかと本当に感心させられる。

今時、子供の進学希望に「料理人」とか言う親って少数派だと思うけど、なかなかどうして、奥の深い世界だよ。
まとまった休みも取れず、職場環境も厳しくて、とてもしんどいだろうと思うけど(『餃子の王将』のキッチンなんて、まるで灼熱地獄ですヨ)やり甲斐はあるんじゃないかな。
うちは、それでもいいと思ってるけど。
『ボクは料理界の東大に行く』のは、やっぱダメなんですかね??