エボラ熱と映画『アウトブレイク』ダスティン・ホフマン主演

2017年9月15日映画, 医療と人間

今、西アフリカを中心に猛威を振るっているエボラ熱。

アメリカでも感染国からの入国でリベリア人男性が死亡し、入国者が特に多い国際空港には専門の医療班が派遣されるなど、次第に危機感が高まっています。

私もこのニュースは注意深く見守っており、本当に収束するのか、心配しています。

「日本は海に囲まれてるから、ダイジョーブ」という感覚があるかもしれませんが、今は飛行機をはじめとする国際的な交通手段で様々な国の人々が日常的に、大量に行き交っていますし、絶対安全ということは言い切れません。

それでも正しい知識があれば感染は防げますし、冷静な判断ができると思いますので、興味のある方は映画『アウトブレイク』をご覧になることをおすすめします。

1995年のハリウッド映画ですが、エボラ・ウイルスをモチーフにしており、感染の経路、医療者の対応、実際に町で流行したらこれくらいの厳重警戒、隔離状態になる点を忠実に描いていますので、入門編としておすすめです。


ストーリー

Wikiより・・
モターバ川流域の小さな村で未知のウイルスによる出血熱が発生する。
アメリカ陸軍伝染病医学研究所のダニエルズ大佐(ダスティン・ホフマン)を始めとした調査隊が現地に向かうも時既に遅く、村の医師と村から離れて暮らしていた祈祷師を除いて村は全滅状態となっていた。

ダニエルズはウイルスの致死率の高さと感染者を死にいたらしめるスピードの早さに危機感を抱き、軍上層部とアメリカ疾病予防管理センター(CDC)に勤務する元妻のロビーに警戒通達の発令を要請するが、双方から却下されてしまう。

そんな折、アフリカから一匹のサルがアメリカに密輸入された・・。

*

密売人の男はサルをペットショップに持ち込むが、ペットショップのオーナーは買い取りを拒否する。
しかし、サルにバナナを食べさせる際、サルに指を噛まれ、モターバ・ウイルスに感染する。

アウトブレイク

アメリカ陸軍伝染病医学研究所では『モターバ・ウイルス』の存在を確認するが、その対応に動く前に、どんどん感染が広がっていく。

アウトブレイク

買い取りを拒否された密売人の男はサルを公園で手放すが、その前に自身も感染し、移動中の飛行機の中で発症する。

空港には恋人が出迎えに来るが、男はそこで倒れ、彼女も汗や唾液に接触したことで感染してしまう。

アウトブレイク

病院に運び込まれた密売人の男は身体中から出血し、死の床にある。
ダニエルズ大佐の妻で専門医であるロビーは男から「最近、動物に触ったことは?」と聞きだそうとするが、答える前に息絶えてしまう。

アウトブレイク

さらに映画館では、彼らに接触した客(ウイルスのキャリア)がホール内でゴンゴンと咳をし、その唾液から場内の観客に一気に感染が広がる。

アウトブレイク

さらに病院では検査技師の不注意からウイルスを含む血液が拡散。
重大な事態を引き起こす。

アウトブレイク

感染した患者が次々に病院に運ばれ、町中がパニックに。

アウトブレイク

アウトブレイク

道路は封鎖され、町中に軍隊が配備される。
ウイルスの保菌者を一人でも町の外に出せば、アメリカ全土に感染が広がる恐れがあるからだ。

アウトブレイク

アウトブレイク

感染した母親は、子供や夫と別れのキスを交わすこともできない。
家族に見送られながら、一人、隔離施設へと送られる。

アウトブレイク

独自に調査を進めるダニエルズ大佐は、ついに密輸されたサルの存在をつきとめ、TVニュースを介して市民に危険を呼びかける。

このサルは、ウイルスの抗体を所有する、唯一の『治療薬』でもある。

アウトブレイク

感染の拡大を恐れる軍の上層部は、町に爆弾を投下し、患者ごと焼き払う作戦を実行する。

アウトブレイク

アウトブレイク

一方、サルの捕獲に成功したダニエルズ大佐は「モターバ・ウイルスの治療方法が見つかった。爆弾を投下するな」とパイロットに呼びかける。

アウトブレイク

キーファー・サザーランドが冷酷な上官を、モーガン・フリーマンが良心的な将校を演じています。
アウトブレイク

作品の見所

ジャンルとしては「災害パニックもの」に分類されるのですが、医療や防疫の知識に基づいて忠実に描かれているため、非常にリアリティがあり、予備知識としても役立ちます。

それでいてエンターテイメントの要素もあり、話のテンポも良いので、シリアスなテーマの割にはさっくり見られる良質な作品に仕上がっています。

ダスティン・ホフマンとレネ・ルッソという組み合わせも、意外だけれど、案外味があるというか。

脇でモーガン・フリーマンとドナルド・サザーランドが出演しているのも映画好きには「おおっ」となるかも。

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実際、「感染」というのは案外身近にあります。表沙汰にならないだけでね。

私もMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)に院内感染した経験があるし(すごく体調の悪い時にMRSAの患者さんに接して自分自身ももらってしまった。気を付けていたつもりなのに、やはり怖いものだと実感しました)、十数年前にはある地域で結核が再流行して、私の知り合いのドクターと看護婦数名がやはり院内感染した経緯がありました。(今でもけっこう若い人に発症することがあるんですよ)

たとえば、ある感染症について「100人が発症」という発表があったとする。

でも、それはあくまで「自分から病院に行って、診断が出た人」の数であって、中には世間体を気にして受診しない人もあれば、自然に治るならいいかと放置する人もあります。医師が一般的な風邪と勘違いして、あれこれ処方している間に自然に治った人もあるかもしれない。必ずしも実態を正確に示しているとは限りません。

そりゃもう、ウイルスなんて目に見えないし。

医療者は、相手が感染者であっても接触しなければならないし。

医療者でなくても、どこで、何を媒介に感染するか分からない。

そして、保菌者も自分で気付かない場合が多いし、知っていても社会の真ん中で「ボク、キャリアです」と言うことはない(言えませんよね)。

もちろん、一口に「感染」といっても、もらい風邪みたいに鼻水ズルズルで終わるような軽いものもあり、全てが全て、命取りになるわけではありませんが、怖いのは、ウイルスや感染症に対する「無知」「無関心」で、たとえば、妊娠した時に、いろんな血液検査をしますね。あれもやはり、いくつかの重大な感染症のチェックが入ってますし、それは母子を守る為でもあれば、医療者を守る為でもあります。

でも、そういう事を軽視して無頓着でいると、知らない間にどんどん周りに広げてしまうこともある。

たとえば結婚を前提にお付き合いする時、「問題となる感染症がないか、お互いに検査しましょう」なんて話をしたら怒り出す人もあるだろうけど、でも、やはり、日常的な接触や性行為を通じて感染する可能性は高いし、胎児に重大な影響を及ぼすこともある。

それは人格うんぬんの問題ではなく、自分や相手の安全を守る為ですよ。

また一方で、誤った偏見が患者さんを傷つけることもあるし、実際、保菌者であることがバレて会社を解雇された人もありました。(それは血液を介して感染するウイルスで、普通にお喋りしたり、肩を叩いたぐらいでは決して移らないのですが)。

「感染」というのは心身の問題に限らず、社会関係に影響を及ぼすこともありますので、身近に起きた場合は、ぜひぜひ医療者のアドバイスに素直に従い、適切な対応をして頂きたいと願っております。
(がーっと感情的になって一方的に通院を止めたり、検査に来なかったりする人もありますのでね)

Photo : http://www.the-solute.com/movies-by-the-fives-march-1995/