6-5 実験用プールで無人機の練習

有策無人機 ROV

ヴァルターは採鉱システムのオペレーション・スタッフと共にノボロスキ社の実験用プールを訪れ、接続ミッションに使用する『ヴォージャ』『ルサルカ』『トリアロ』『クアトロ』の操作練習と機械調整に取り組む。

そこに派手な格好のエイドリアンが現れ、再び険悪なムードになるが、ヴァルターはエイドリアンを食事に誘い、正面から話し合う。

そこで、僻地に生まれついた若者の焦りと葛藤を知る。
エイドリアンは、リズが心のビジョンを現実にする絶大なパワーの持ち主であることを明かし、ヴァルターに「あなたも気をつけた方がいいですよ」と忠告する。

引用

WEBに掲載している文章は『第二稿』です。書籍版とは内容が若干異なります。
 接続ミッションに使う『クアトロ』は縦横四〇センチの有索無人機で、二本のマニピュレーターを用いたハンドリング・システムと、深海作業に適した強力なハロゲンライト、高性能水中カメラを備えている。
 フーリエは、破砕機や集鉱機、水中ポンプに用いられているオスメス式の円筒コネクターやダイヤル式スイッチと似たものをテスト用の金属ボックスに取り付け、幅八〇センチ、高さ一〇〇センチの大型有索無人機『トリアロ』を使って水深七メートルのプール底に沈設した。
 続いて、ノエ、マルセル、他二人のオペレーターが自身の担当する『ヴォージャ』『ルサルカ』を水中に降下してテストを開始する。
 ヴァルターは『クアトロ』のコンソールが並んだデスクに着席すると、フーリエの合図で潜水を開始した。『クアトロ』は親指大のケーブルに繋がれ、小さなスラスタを回転させながら水中をゆっくり進む。
 クアトロのコンソールは、キーボードとタッチパッド、二つのアームコントローラーが備わった幅三〇センチほどのウルトラブック型だ。着脱可能なディスプレイも備わっているが、プロテウスでは十三インチから十五インチのモニターを三台並べ、船体の水中カメラ映像と見比べながら作業することになる。
 今回は演習ということで十五インチのPC用液晶モニターを使っているが、見映えは専用モニターとほとんど変らない。
 クアトロのアームコントローラーは三つの関節を持つ長さ三〇センチほどのスティック状で、先端にグラバーの開閉を調節する小さなボタンと関節部を回転操作するトラックボールが備わっている。
 アームコントローラーの動きはそのままマニピュレーターーに反映されるが、深海では水流や水圧などの影響を受けて、空中で動作するようにはいかない。また海中ではケーブルが揺らいだり、堆積物が舞い上がって視界が濁ったり、陸上とはまったく環境が異なるため、迅速かつ正確に操作するには熟練の技術が必要だ。
 ヴァルターも海洋技術センターではこうした無人機の操作にも長けていたが、『クアトロ』のアームコントローラーには独特の癖があり、マニピュレーターとの一体感がなかなか得られない。格納庫でもずいぶん練習したが、不測の事態に臨機応変に対処できるか、いまいち自信が得られない。
「ちょっと苦心してるね」
 オペレーターの中では一番若い二十八歳のシルヴェステルがヴァルターに声をかけた。
「揚鉱管と集鉱機の接続は、管と管が接合すればコネクターが自動的に締まるけど、水中ポンプのリアクターはケーブルのつなぎ替えと何種類かのスイッチ操作があるから、ちょっと手こずるかもしれない。でも、深海でサンプリングの経験があるなら何とかなるよ。こっちはプラグを差して、ダイヤルを回すだけだからね。もう少しアームコントローラーの感度を下げてみる? あまり感度が良すぎると、ちょっとした動きにも反応して、マニピュレーターーの手先がかえって不安定になるからね」

Product Notes

企業や研究所の実験用プールには、深さ数メートルの規模も少なくありません。
他にも流水や波など、様々な水の環境を作り出す高度な機能を有する設備もあります。

ちょっと画像が悪いですが、参考に。

こちらはROV(無人機)の海中降下やオペレーションの模様を撮影したプロモーションビデオです。

いくつものモニターを使って、無人機の遠隔操作。

有策無人機 ROV
Photo : http://flowergarden.noaa.gov/science/mohawkrov.html