10-5 断崖の『リング』と華麗なる海洋都市『パラディオン』

未来都市

ヴァルターはマックスに連れられ、「自殺の名所」といわれる断崖絶壁ポルトフィーノに訪れる。
その瞬間、GeoCADで描き続けた『リング』のイメージが眼前に浮かび、彼は心の中のイメージが具現化したような衝撃を受ける。
茫然と立ち尽くすヴァルターにマックスが言う。

その後、『リング』とフランシス・メイヤーの影に引かれるようにペネロペ湾のスカイタワーを再訪する。
イベントホールでは思いがけなくフランシス・メイヤーの講演会が開かれ、聴衆が立ち去った後、ヴァルターは壁に掲げられた円環の海洋都市『パラディオン』のCG画に慄然とする。

桁違いの才能と存在感を痛感し、その場を立ち去りかけた時、フランシス・メイヤーに出くわす。
以前のように激しい気持ちではなく、親しみをこめて話しかける。
だが、メイヤーは再建コンペの恨みを忘れてはいなかった。
「田舎の素人集団」とけなされた事で、再びヴァルターと言い争いになり、「今度は暴行罪で逮捕されたいか」と脅される。

引用

WEBに掲載している文章は『第二稿』です。書籍版とは内容が若干異なります。
「フェールダムの事です。あなたのデザインが非常に素晴らしいことは理解しています。しかし、住民の願いは……」
「無知な田舎者と話す事などない。ただでさえこっちは大迷惑してるんだ。コンペだけならまだしも、工事現場に横断幕を掲げてシュプレヒコールとは、どこまで野蛮で恥知らずなんだ」
「荒っぽい手段に出たことは謝ります。ですが、デンボンメルの森はボランティアグループが汗水を流して土壌を整え、植樹した場所です。他にも汚泥を浚い、瓦礫を片付け、政府も誰も見向きもしなかった頃から粉骨して……」
「だから幾千と金のかかった計画を水泡にし、他人の名誉を汚しても構わないというのかね。植樹は後々、臨海公園に移し替える予定だった。何も根こそぎ燃やして灰にしようという訳じゃない。それを何だ、まるで環境破壊の悪鬼のごとく騒ぎ立て、工事を中断させたばかりか、青臭いジャーナリストまで担ぎ出して、国民ぐるみでデモンストレーションだ。どれだけ多くの企業や復興関係者に迷惑をかけたか分かっているのかね。だが、もういい。これ以上、田舎者と話しても不愉快なだけだ。君らの望み通りになったんだから、満足だろう」
「望み通り?」
「臨海都市計画は廃案になった」
「じゃあ、再建案は……」
「ロイヤルボーデン社のジオグリーンだ。『緑化堤防』と言えば分かるだろう」
 彼は信じられないように目を見開いた。
「フェールダムの再建はロイヤルボーデン社の主導でジオグリーンと堤防のインプラント補強が行われることになった。君の望み通りだ、おめでとう。いや、残念賞と言うべきか。盗作したのがバレたな。卑劣というなら君の方だよ。他社の意匠をそっくり真似て、よくも自分の作品などとコンペで主張できたものだ」

Product Notes

ほっと石川 旅ガイド石川県旅行観光ガイド『ヤセの断崖』にも詳しく紹介されていますが、『ヤセの断崖』のイメージがあります。

ヤセの断崖

でも、怖さで言えば、やはり東尋坊の方が迫力がありますよね。

東尋坊

水と親和性の高いデザインも綺麗です。

未来都市 建築

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Photo : http://wallpapersafari.com/architectural-wallpaper/

ウォールのPhoto : http://www.bhmpics.com/view-future_architecture-wide.html