11-1 海洋化学工業と仕事の焦り

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港

必死の思いで書き上げた海洋情報ネットワークの企画提案書も産業省で『保留扱い』。
マクダエル父娘に欺かれたこともあり、焦り、苛立つヴァルターにメイファン女史が言う。

リズを伴って、最初のヒアリング先である『JP SODA』に出掛けるが、そこでの反応は意外なものだった。

引用

WEBに掲載している文章は『第二稿』です。書籍版とは内容が若干異なります。
 『JP SODA』のプラントは、メアリポートと呼ばれる旧い港の続きにある。遠目にはどこからがプラントで、どこまでが港湾施設か区別がつかないほどだ。
 メアリポートは一〇〇年前に建造された開発基地をベースにしており、工業港以上に継ぎ接ぎの印象がある。
 丘陵がU字型に深く入り込んだ天然の良港ではあるが、いかんせん規模が小さく、平地もそれほど広くない為、工業港やポートプレミエルのようには発展しなかった。それでも周囲には美しい砂浜が広がり、一年を通じて水遊びやキャンプを楽しむ地元民で賑わっている。
 JP SODAはU字湾の左口から南にかけて真っ直ぐ伸びる海岸沿いに建てられた最初の海洋化学工業プラントだ。この成功が呼び水となってアステリア開発に弾みがついた。
現在も地道に生産ラインを拡張しながら成長を続けており、今ではトリヴィアの重要な工業原料供給基地の一つに数えられている。
 ガードレールの向こうに黒い砂浜を見ながら湾岸道路を走ること五分余り。
 空にそびえるようなJP SODAのプラントが目の前に広がり、専用の係留施設には中型ばら積み貨物船が停泊している。特に昨年増設された白色の淡水化プラントと、四十五年前から稼働している海塩製造工場のマリンブルーのメタルルーフの対比が美しく、青と白の二色国旗のように海に映えている。
 リズは正面ゲートで受付を済ませると、ビジター専用駐車場に車を停め、「私はここで待っていましょうか」と気遣った。
「なぜ?」
「一緒に行ったら迷惑かと思って」
「馬鹿な事を言うな。こんな所に一人で待たせておけるわけがないだろう」
 リズは車を降りると、黙って彼の後ろに従った。
 彼は早足で駐車場を突っ切り、リズは今にも躓きそうになりながら無言で後に続く。
 工場としてはアステリアで最大の敷地面積を誇るだけあって、メインのオフィスビルに行き着くまで五分以上要したが、何でも自動化、簡素化が徹底しているだけに、オフィスそのものは四階建てのこじんまりしたものだ。経営陣もトリヴィアのオフィスから遠隔で指示し、現地のオフィスに勤務するのは営業や技術職が大半である。
 エントランスの自動受付でアポイントを確認し、二階にある「知的財産部」を訪れると、「営業に関する話はこちらで」と別室に案内された。
「『営業』ではないのですが」
 彼が断ると、彼と同年代の男性担当者は怪訝な顔をし、
「最初に案内を受け取ったスタッフには、海洋データ会社のPRだと聞いています」
「プレゼンテーションで使った資料を送っていますが、目を通していただけなかったのでしょうか」
「いや、見ましたよ。でも、うちはそういうサービスとはあまり関係がありませんから」

Product Notes

日本にも海水から

タテホ化学工業株式会社

工業用水酸化マグネシウムや酸化マグネシウムを製造したり。

海洋化学工業

日本海水株式会社

業務用・家庭用の塩を製造したり。

海洋化学工業

イオン交換膜を使った研究開発も盛んです。

http://www.keins.city.kawasaki.jp/content/ksw/2/ksw2_025-030.pdf
海洋化学工業

近年では海水からリチウムを効率よく回収する技術開発が盛んに行われています。
いずれ実用化されるといいですね。

http://chemeng.env.kitakyu-u.ac.jp/research/Lithium.pdf
海洋化学工業

『JP SODA』というネーミングは私の願いです。