27-2 水上ハウスの安全性と区政への陳情

2017年9月27日公共事業と人間の価値

ルークのベビーシッターを依頼して、集中して仕事に取り組める時間もできたが、将来への不安は尽きない。
そんな最中、ヴァルターは向かいの水上ハウスのランプの水漏れに気付く。
注意しようにもまったく応答がなく、隣人の顔さえ知らない。
前にマックスが施工上の問題を口にしていただけに、余計に気になる。

水上ハウスの安全性に疑問を抱いたヴァルターはさっそくメーカーに問い合わせるが、担当者の回答はいい加減なものだった。

納得できないヴァルターは、区政の出張所に出掛けるが、けんもほろろに追い返される。

偶然その場に居合わせたウィレム・ヴェルハーレンは彼に助け船を出し、署名を提案する。

必死の思いで働きかけた署名活動も無視される中、問題のハウスの向かいに住む老夫婦が重要な情報をもたらす。
僅かでも信頼を寄せてくれる人のために、これからも働きかけることを決意する。

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「あの大きな水上ハウスのウォールランプが浸水してショートの危険性があります。それだけではありません。ここに設置されている水上ハウスの大半がトリヴィアから輸入された建材や部品で造られています。でも、それらは必ずしもアステリアの海洋環境を考慮したものではありません。今に腐食や老朽化により様々な問題を引き起こすのではないかと案じているのです」
「それなら、わたしたち夫婦も数年前から危惧している。わたしは長年、メアリポートの造船所で働いてきた。海洋構造物のことなら一通り知識はあるつもりだ。あなたの仰るように、水上ハウスで使われている建築資材はトリヴィアのモバイルハウス向けに作られたもので、海水中での耐性は十分に検証されていない。十年後、二十年後、どのような影響を受けるか、誰も知らないし、調べてないのが実情だ。些細なことが引き金で事故が起きても不思議はない。だから、わたしは自分で定期的に点検して、部品を取り替えたり、シールド材で補強している。でも、何も知らない人は、腐食や漏電の危険性など想像もつかないだろう」
「その通りです。品質は保証されているからと安心しきっているし、区政も本腰を入れて調査や指導を行おうとしない。水上コロニーに関しては、まったくの無法地帯です」
「あなたは向かいの水上ハウスを懸念しているのだろう。わたし達もだ。あの家は五年前に建造されたが、オーナーは別に居を構えていて、ここには数ヶ月に一度、気晴らしに来る程度だ。周りの住民も、名前はおろか、顔もろくに知らない。君にさっき突っかかっていた住人さえもね。問題はあのハウスが何ヶ月も放置されて、事故が起きても誰にも気付かれないことだ。ウォールランプだけじゃない。ユーティリティルームにも怪しい点がある」
「大半が水面下にある最下層の部屋ですね」
「住人が泊まりに来る時、たまに上部のガラス窓から明かりが漏れて、ユーティリティルームを見渡せることがある。電気湯沸かしや分電盤の周囲に段ボールの空き箱やバーベキューセット、化学洗剤の容器などが無造作に置かれて、とても危険だ。何も考えず、物置みたいに使っている」

Product Notes

水上ハウスは珍しいものではありません。
改装ボートに暮らしている人も少なくありませんし、税金や光熱費対策から好んで水上に暮らす人もあります。

アステリアの場合、何が問題かといえば、海洋調査や品質管理が十分に行き届いてない中、「見た目、大丈夫」というだけで、どんどん増築されている点です。
たとえば、オランダだと、数百年にわたる治水や海洋構造物のノウハウがあり、その上に「建築基準」が成り立っていますが。

一見、何でもないように見えますが、海上に家を固定するのは、地上とは全く異なるノウハウが必要ですし、浜辺に建っているだけでも潮風で建材が劣化することがあります(うちの親戚の家がそうでした)、見よう見まねではやはり難しいと思います。

ちなみに、九州の別府のような、火山ガスもうもうの町も、構造物が傷みやすいという話を聞いたことがあります。(観光地でも、そのへんに沈殿物があったような記憶が……)

こういうのを見ると、カッコいいなと思うけど、永住するとなるとどうなんでしょう??