24-1 思いがけない人生と愛の許し

2017年9月27日ママの気持ち, 生きていくこと

二人の揉め事を案じるマックスとエヴァは、一方で、マリーナの施工トラブルについて頭を抱えている。
開発ラッシュで、どんどん施設は建てられるが、肝心の品質管理は後回しにされ、海洋関係の工事に慣れないが労働者が派遣されてくるからだ。

そんな折り、解雇されて、リズとも別れたヴァルターが、マックスの家に転がり込んでくる。
信じられないような展開に、先のことを思い倦ねていると、これまた思いがけない人物がヴァルターを訪ねてくる。
マックスも、ダグも、ここに残ることを勧め、ヴァルターがリズに求めた『半年』を彼自身が待つことにする。

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「お前にも言い分はあるだろうが、ここは百歩譲って謝った方がいい。意地を張ってステラマリスに帰ったところで、どんな素晴らしい未来があるというんだ。いつまでも後味悪いだけじゃねえか。オレも十六歳の時、親父の仕事の都合でここに来て、毎日嫌で嫌でしょうがなかった。田舎の漁村にも劣るような不便で、十六歳にして人生が終わったと本気で思った。そんな人間でも出世するチャンスはあるし、いい出会いもある。自分の好きな道を選べば、最高の人生が送れるというわけでもない。そもそも最高の人生って何だよ? 十億稼いで、いい女と付き合って、高級車を乗り回すことか。仕事も人間関係も全部自分の思う通りになったからといって、本当に満足か。オレは人生の満足はそれとはまた別のところにあるような気がするよ。オレもジム・レビンソンにいびられ、食っちゃ吐きし、近所にデブだ、独り者だと白い目で見られ、何度首を括ろうと思ったか分からない。そして、その度に、親父がこんな僻地の仕事を引き受けたことを恨んだりもした。だが、今振り返ってみると、それはそれで納得できる。少年時代に夢描いていた最高の人生とは随分違うかもしれないが、採鉱プラットフォームも完成したし、ガーフとは今でも一番の仲良しだ。何かあったら、マードックやオリガやワディがオレの様子を気にして声をかけてくれる。自分ではクズで最低みたいに思い込んでいたが、やった甲斐はあったと心の底から思える。お前も、故郷に帰って、示談を解消して、いろんな願いがあるだろう。だが、その願いが全て叶ったとして、次に何があるんだ? チルチルミチルの青い鳥みたいに、掴まえた瞬間、夢も希望も醒めるかもしれないぞ。どんな経緯があったにせよ、今、お前はこの地に生きてる。それはそれで、とても意義深いことじゃないか? 何にせよ、一つ確かなのは、何かをやり遂げる以外に心が満足することは決してない、ということだ。あれもこれも大事な気持ちは分かるが、何かを選べば、何かは失われる。だが、何かをやり遂げれば、失ったことにも納得できるようになる。本当の満足というのは、自分のやりたい事、好きな事を、思う通りにすることではなく、何か一つ、これというものを作り上げた時に感じるものだと思うぞ。まあ、理事長も永久にトリヴィアに帰ってしまったわけじゃないし、時々はこちらに見えられるから、次に会う機会があれば、お前のことも話してみるよ。仕事が欲しいなら、フーリエを通してノボロスキ社に問い合わせればいい。向こうはお前のことを喉から手が出るほど欲しがっているそうだから、何なりと仕事はあるだろう」

Product Notes

土木・建築も、『海洋』に作るとなると、特殊な知識やノウハウが必要になります。
必要な重機や材料も陸上の建築物とは質や規模が異なりますしね。