26-3 運命の女神は意思を見詰める

2017年9月27日生きていくこと, 社会の基盤と構築, 運命と意思

リズがEOS海洋開発財団の代表理事として立つ一方、ヴァルターはルークの子育てに追われる。
時にそれは大変な負担だが、コウテイペンギンのように息子を守ることに意識を集中する。

そんな最中、ヴァルターは昨今の世の中の動きを思い浮かべる。
アル・マクダエルという強力な求心力を失い、社会はまさに二分されようとしていた。

[adinserter name=”inyo”]

一方、EOS海洋開発財団の代表理事として、『国際海洋政策シンポジウム』の準備に忙しい。
そのパンフレットに、彼との合い言葉である One Heart, One Ocean の標語を入れて欲しいと指示する事に、エイドリアンは「公私混同」と懸念を示す。

そんなエイドリアンに、リズは「あの人は事業を始めたのよ」と『ライントラスト』の事を説明する。
セスは「そんなもので採算がとれるのか」と訝るが、リズは「最初から完成された事業などない」と反論する。

一方、属領としてのアステリアの立場は相変わらず蔑ろにされ、リズは将来を深く憂う。
そんな彼女にとって、希望の星は、何かを成そうとする彼の心意気だ。
幸運の風となって、彼を見守り続ける決意を新たにする。

 国際海洋政策シンポジウムは、十一月四日から七日にかけて、ポートプレミエルのコンベンションセンターで開催される。
 実質的な運営はシンポジウム実行委員会が手掛けているが、EOSも様々なイベントに協賛している為、連日、打ち合わせや展示物の準備に忙しい。とりわけ「海を知り、海に親しむ」をスローガンにした一般向けのイベントは、産業、科学技術、娯楽、芸術など多岐にわたるため、労苦もひとしおだ。
 EOSが参画するのは三つのイベントだ。
 一つは「海の写真展とコンテスト」。アステリアで活動するプロのカメラマンが撮影した写真をエキシビションホールに展示すると共に、一般参加のコンテストを開催し、アステリアの海の風景に親しんでもらう。
 二つ目は「海洋開発の歩み」。アステリアの発見から現在に至るまでを模型やCGアニメ、パネル写真などを用いて紹介するもので、これまでにない規模とクオリティが注目を集めている。PRビデオも大手の製作会社に依頼し、コンベンションセンターの3Dシアターで上映する予定だ。
 三つ目は「海洋大学のPR」。総合大学の設立は、父がローレル・インスティテュートの設立に奔走した頃から最大の目標だ。今はまだトリヴィアの文化教育省やアステリアの教育担当が構想を練っている最中で、実現にはまだ三、四年かかりそうだが、各界からの期待も高く、もしかしたら予想より早く設立に漕ぎ着けるかもしれない。シンポジウムではコンベンションセンターの一角に特別ブースを設け、理解と支援を訴える予定だ。

<中略>

「だからといって、海洋政策シンポジウムのキャッチフレーズにOne Heart, One Oceanを使うことはないでしょう。見る人が見れば、すぐに出所が知れますよ。あなたと彼の繋がりも」
「そうかもしれない。でも、そうせずにいないの。One Heart, One Oceanの理念を根付かせる為にも。だって、今のアステリアに、我が身を捨てても社会に尽くそうという人がどれほど居るというの。何をどう叫んでも、またあの人は孤立無援。せめて運の風は吹かせたい」
「運の風なら、あなたにも必要ですよ。産業省からの返信を見ましたか? 経済特区管理委員を公選したいという有志の要望が再度却下されましたよ。トリヴィア政府にアステリアの自治権を拡張する気はないし、住民代表による立法会議を許可する気もない。あくまで属領として管理し続けるつもりです。その方が企業も参入がしやすいですからね」
「そして同じ慣習を繰り返すのよ。一握りの強者が全てを牛耳り、新興はチャレンジする余地も与えられない。固定化された社会は絶望と無気力をもたらし、もはや新しい物を生み出す余力も残ってない。そして、アステリアのように芽が吹いたばかりの土地に乗り込んで、あれも欲しい、これも寄越せと、力尽くで奪っていくのよ。私はね、そこまでステータスや自治権にこだわっている訳ではないの。今まで通り、誰もが起業や成長のチャンスを得る土壌が保たれるなら、属領として存続するのも一つの方策でしょう。属領であればトリヴィアの経済的支援も受けられるし、区政も余計な業務や責任を抱え込まずに済む。だけども、先だってのメアリポート造船会社の合併みたいに、結局は大が小を飲み込み、独自の技術も、創意工夫も、資本の元に奪われてしまう。せっかく新たな可能性を信じて、ここに根を張ろうと努めてきた人が馬鹿を見て、資本でも政治力でも勝る会社が全てを牛耳るなら、何の為に父が産業振興や学校教育に粉骨してきたか分からない。もちろん、アステリアが独立市(シティ)となり、住民代表の立法会議が可能になったからといって、必ずしも先々の平等や繁栄が約束されるわけではない。でも、トリヴィアの既存勢力がそのまま流れ込むより、少しでも自らの意思が反映される方が、区民の自覚や連帯感も異なるはず。アステリアは断じて『トリヴィアの一部』ではない。そうでしょう?」

Product Notes

コウテイペンギンのこの姿に感動しない人はないでしょう。
恐ろしいほどの南極のブリザードにも耐え抜くコウテイペンギンの雄たち。

メスは遠い海まで餌となる魚を捕りに出掛け、お腹の中にたっぷり蓄え、赤ちゃんペンギンに与えます。
いろんな子育ての形があります。

私が初めてコウテイペンギンのブリザード責めを見たのはこの映像が最初でした。
カメラマンでなくても、めっちゃ寒そう。
よくこんな極寒の雪嵐の中で生き延びるな~と。生命って凄いなと、つくづく。

こちらも動画配信サービスで少し見たことがありますが、ドラマ仕立てなので、感動モノが苦手な方にはプラネットアースの方がいいかも。

ペンギン、かわいいですね♪