31-3 身銭を切る覚悟と対岸の反論

2017年9月27日人と社会, 仕事と人生, 創作と芸術, 建築土木と社会

リングの鳥瞰図をプロ仕様に仕上げるよう、ヴァルターはジュン・オキタ社長に依頼する。
制作料50万と聞いて、一瞬、躊躇するが、どうしても一級の作品に仕上げたい彼は身銭を切る覚悟を固める。

鳥瞰図はオキタ社長のチームに任せ、ヴァルターはリングの工程作りに専念する。
一方、全体構想の公募について、フランシス・メイヤーとペネロペDCの代表は怒りを露わにし、これはパラディオンの対案以外に何ものでもないと主張する。

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「あははは。アドバイスを元に自分でGeoCADで直せるぐらいなら、とっくにプロになってるわよ。助言されても自分で直しようがないから、あたしの所に来たんでしょ。これから一世一代の大勝負をしようって時に、そんなケチくさい考えでどうするの? あなたときたら、なんでもかんでも無料のオンラインサービスで済まそうとする、素人クリエイターみたいよ。自作のイラストを公開するにも、一銭たりと金をかけたくはないタイプ。だから何枚描いても、一銭にもならないの」
 彼は一瞬詰まったが、
「分かった。言い直す。金なら払う。だから、一級の作品に仕上げてくれ」
「本当に高いわよ。あたし達、ボランティアで仕事してるわけじゃないから」
「幾らぐらい……?」
 オキタが手元のメモに値段を走り書きすると、たちまち彼の顔が引き攣った。分割しても、一、二年で返済できる額ではない。
「それでも『頼む』というなら修正を引き受けるわ。高すぎると思うなら、他を当たって」
 オキタが平然と言い放つと、彼はじっと考え込んでいたが、
「頼むよ。こんなこと一生に一度だ。今全力を出さなかったら、きっと死ぬまで後悔する。一度で支払うことはできないが、何年、何十年かかっても、きっと完済する」
「本気ね?」
「本気だ」

<中略>

「たとえ全体構想と銘打とうと、パラディオンの対案であるのは明らかだ。これは一方的に計画を阻止しようとする計謀に他ならない。もし、我々の名誉と利益を傷つけるものがあれば、相手が何ものであれ、今度は容赦しない。徹底して争い、そして、我々が勝利する。それでも来るというなら、わたしも受けて立とう。だが、理想でアステリアは救えない。誰が大衆の味方を気取ろうと、わたしには論破する自信がある。ましてパラディオンに匹敵する巨大建設など、陳腐な猿真似に過ぎない。この愚かな試みによって、逆に有力な支援者がアステリアから遠のき、諸問題の解決がますます遅れを取ることになれば、どう始末をつけるのか。全体構想の公募は多方面の権利の侵害であり、先に名誉を得た者に対する嫉妬以外の何ものでもない」
 それが誰に向けられたものか、言わずもがなだ。
 メイヤーも当然、彼がリングを携えて出てくると予測している。
 その牽制にしては、あまりに姑息で、みみっちく感じたが、事情を知らない者には結構な脅しだ。バックにメイヤー&パーマー・グループが付き、これまでにも大型プロジェクトを幾つも手掛けてきた世界的な建築家に正面から立ち向かうなど、同じ業界の人間なら二の足を踏む話だ。
 さらにメイヤーは言い放つ。
「水上コロニーの火事を利用して大衆を扇情する動きもあるが、火事は火事、開発は開発だ。パラディオンと水上ハウスを同一視し、『だからパラディオンは危険だ』と決め付ける者もいるが、浅はかな感情論としか言い様がない。ステラマリスにもホテル、橋梁、マリーナなど、数多くの海上施設が存在するが、一部が危惧するような大事故は、ここ数百年、起きた試しがない。そんな事を言い出せば、ありとあらゆる海洋構造物が危険の対象になる。ただ一度の特異な例をあげつらい、全てを否定するなど論外だ。近海に堤防を築いて干拓云々という話もあるが、堤防にも決壊の危険性は永久につきまとう。誤った正義感は町を滅ぼすだけだ」

Product Notes

建築CGは非常に綺麗ですよね。実作、うんぬんにかかわらず、美術としても、アイデアとしても、いろんな覚悟から楽しめます。

有り得ないけど、そそられる。

こういうのって、物理的にどうなんでしょう。

近所にコンビニがあるならOK?

こちらにも、たくさんのCGが紹介されています。
http://www.freshdesignpedia.com/architecture/32-visions-and-future-models-of-modern-architecture.html