キャリア志向も専業思考も根は同じ 

恋と女性の生き方

古雑誌の切り抜きより

三高も結婚願望ももう古い?!
斎藤美奈子の誤読日記
週刊朝日00/07/21

このタイトルを見て誤解した人もいると思う。「フォーウーマン」を謳うアエラ特別編集『わたしの結婚』。高学歴・高キャリア女性に支持者が多いといわれるあの「アエラ」がこんな別冊出しちゃっていいのォ、とか。
いやいや、みなさん、この表紙に騙されてはいけません。流行のウエディングも、豪華な結婚式場案内も、夢のハネムーン情報も、この本の中にはない。巷の結婚情報誌が掲げる結婚が「ウェディング」「ブライダル」の別名なら、『私の結婚』が言う結婚はズバリ「マリッジ・ライフ」。

〈働く女性にとって、仕事と結婚生活の両立は今なお難しい課題。「ありのままの私」を理解してくれ、互いに支えあって生きていける『魂の片割れ』は、必ずどこかにいるはず〉
おわかりでしょうか。そう、本書は、社会の第一線で働く女性が、仕事も自分も犠牲にせずに幸せな結婚生活を手に入れるにはどうするか、を教えてる未曾有のガイドブックなのだ。

こう言う本を「フォーウーマン」と限定しちゃいけませんね。問題の元凶は男、結婚に甘い夢をみているのも男なんだから、現実を直視して愕然としていただくためにも、既婚男性&独身男性にこそ読ませなくっちゃ。
気合入ってるよぉ、どの記事も。

▼ 理想の結婚を手に入れるには、まず相手の質が肝心だというわけで、(彼の結婚力をチェックする)
▼ 結婚退職した人のその後をレポートしつつ、退職は損だよーとやんわり示唆する(わたし、結婚退職しました)
▼ 夫婦別姓を貫くには、事実婚と通称使用のどちらが得かを検証する。(事実婚の仕方、教えます)
▼ 日本の男は話にならん。ならばということで(国際結婚を選んだ女性たち)

痒いところに手が届く編集。届きすぎて怖いほど。高偏差値な女性にとって、結婚は狙って取りにいくものなんだね。情報を集め、周到な準備をして臨む。このノリは、大学受験や就職戦線を勝ち抜いてきた人ならではのものだ。「結婚願望はもう古い。これからは計画結婚だ!」って感じかな……。

しかし、もしも私が男だったら……。

こんなに面倒くさい女と結婚なんかしたかねーや、と思っちゃうね。さらに私がパート主婦だったら、シラーっとした気分になりそうな気がする。

ここが問題。

よく考えてみると、この本の情熱は「三高の男をゲットして専業主婦になってやる」と考えるお嬢さんたちとあまり変わらないのだ。
方向性が「リベラルな男をゲットして家庭と仕事を両立させてやる」というだけで、理想の結婚を求める真剣さ、ひたむきさ、本気さ、前向きさは同じ。
そこがおもしろいが怖い。

自分だけバカを見たくない。
女ヒエラルキーの底辺に押しやられ、同窓に嘲笑われるような生き方はしたくない。
怨念ばかりが渦を巻き、実情は一つも前に進まず。

でも、結婚なんて、「こんな男性と……」と思い描いたところで、そんな都合よく理想通りの男性が目の前に現れるわけじゃなし、「あれも、これも」と望むより、「最低限、殴らない男」とか、「最低限、借金癖のない男」とか、『これだけは絶対に御免こうむる』というマイナスを主眼に探した方が確実ですよ。

どんな人も長所は似たり寄ったりで、誰と結婚しても大差ないけども、欠点は致命傷になるからね。

それにしても、自立を謳う女性たちが、こと結婚になると、こうも男性の条件に拘るのは何故でしょう。

どんな男前と結婚しても、どんな金持ちと結婚しても、いつかは飽きて、喧嘩して、親の介護だ、子の世話だと、問題が雪崩のように押し寄せるのに。

あれこれ考えず、「好き」と思う人と結婚するのが一番いい。

結婚に迷う=誰も本気で好きになったことがない、というのが最大の問題ではないかという気がします。