子育てコラム

子供を守り育てる社会

2007年8月27日

前回、ハリウッド映画の「PG-18」の話が出ましたので、それに続く形で、「子供を守り育てる社会」についてお話ししたいと思います。
ちょっと長くなりますが、スミマセン。

まずは、こちらのトピをご紹介します。

『ヒーローもの番組についての親の考え』 http://komachi.yomiuri.co.jp/t/2007/0713/138088.htm?o=0&p=0

トピ主さんの質問は、

「私も幼少期は兄に付き合ってよく観ていました。
今までなんの疑問もなかった私ですが、最近ふと思?正当防衛?などという疑問も浮かび。飛躍しすぎだけど、戦争を肯定するような?論理は似てるなと思ったり。
とことん話し合いすべきじゃないか?
過程を飛ばしすぎてないか?

夫に話すと、正義の名の元に暴力に暴力で応戦していいのーローものよりも、仲間と喧嘩しても仲良しのドラえもんとか、とんちで勝負する一休さんとかをみせたいね。と言われ、二人の価値観の近い発想になんだか笑い話で終わりました。

皆はどんな風に感じているんだろう?と思った次第です。気軽にご意見下さい。

それに対するレスで、私と同意見なのが次の通りです。

ヒーローもの実はまともに最近のものは見た事がないのですが、もうすぐ 3歳の息子には見せるつもりはありません。
夫が某ヨーロッパ出身で子供 に見せるテレビ番組にすっごくうるさいのです。
夫にすると、アンパンマンもドラえもんも暴力的だそうです。
確かに夫の 国のアニメは規制が厳しく幼児が見るもので戦い、喧嘩(体を使って の)のでてくるものは無いです。

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海外の子供番組は規制されているので、日本に帰ると時にその差に驚きます。
ヒーローものだけでなく、子供向けのアニメや漫画もよく見ると暴力物って多いです。
それに、その影響とは言えませんが、日本の子供はよく殴りあいの遊びをしてますけど、海外の子供は遊びで殴りあいなんて絶対にしません。先生や親からすぐに止められます。
日本に帰ったら子供が暴力的になって困ったという話もよく聞きます。
遊びのはずが本物のケンカに発展したり・・・。
暴力はダメだと理解しているある程度の年齢の子供なら、大人がボクシングを見るように「娯楽」として楽しめるでしょうけど、わけわからずに真似をする幼児には見せたくないです。
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男の子の誰もが通る関門と思われていて、 多くの親たちがテレビを見せることに疑問を感じないのかもしれないけど、 意外に大きな問題を孕んでいるのかもしれないですね。

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仮面ライダーに関する話題が増えているようですが、最近の仮面ライダーは子供向けというよりも一部の大人が自分たちで楽しむように作ったマニアックな作品になっているような気がします。
最近のヒーロー物は仮面ライダーに限らず妙に高度なストーリーや含みのある台詞を使い主題歌も子供では口ずさめないような理解しにくいものになっていると思います。
もなとにすさんも書かれていましたが子供よりも10代向けの番組のほうが反社会的なものが多く、最近ではそのような視点で作られた子供向け番組も目に付きます。(主人公の言葉遣いや礼儀、考え方など)
 
一般に大人の考えは古臭く、若者の感性は自由で素晴らしいように思われますがテレビ番組については若者向けはモラルの低いものが多く、子供たちもこれらに感化されていってるように感じます。  
やはり子供の見る番組は親が把握をしていないといけないと思います。

私が、「日本のアニメや子供番組は行き過ぎなのではないか」と感じるようになったのは、やはり海外に住むようになってからでした。

上記レスの在住者が書かれているように、こちらで放送されている子供番組と言えば、「みつばちマーヤ」や「セサミストリート」「ピングー」「プリンセス・バービーと魔法のユニコーン」みたいな、まさに『お子様向け』のものばかりで、日曜日に一枠だけ、アメリカ制作の「パワーレンジャー(チームで戦う変身もの)」を流してますが、怪獣を武器やアクションで倒したり、建物や基地が爆発するような子供番組はこれ一本だけです。

それが最近になって、日本に居る姉がうちの息子にと、『幼稚園』という雑誌を送ってきてくれたのです。
そこには、紙面いっぱいにゲキレンジャーが怪獣の頭を「ドカ~~ン」とチョップする写真や、恐竜同士が牙を剥いて戦い、相手を倒す絵(漫画といえど、すごいリアル)が載っていたのですが、それを見た息子が「コワイ」と言って、それっきり見なくなってしまったんですね。
一緒に送られてきた、「仮面ライダー大集合」や「ウルトラマンの秘密」という本もダメでした。

私もこうした作品は5年ぶりに目にしたわけですが、大人の私が見ても「気持ち悪い」と感じるぐらい、衝撃的な絵に見えました。
「仮面ライダー」や「ウルトラマン」なら、私も子供時代によく見ていたし、大きくなってからも、「宇宙戦艦ヤマト」や「銀河鉄道999」あたりのファンで、結構なアニメ・おたくなんですけど、そんな筋金入りの私でさえ、(日本のアニメ漫画って、こんなに過激やったかなー)と首を捻りたくなるぐらい、インパクトが強かったのです。

恐らく、ずっと日本に住んでいて、当たり前のようにTVや雑誌で目にしていたら、そうは感じなかったのかもしれません。

しかし、日本社会から完全に離れて、何年かの空白の時期を経て見れば、やはり、そこに描かれているものの過激さがよく分かります。
少年向けの漫画誌ならともかく、幼稚園児の読む雑誌に、紙面いっぱいのチョップや、「グエー」の叫び声、牙を剥いて吹っ飛ぶ恐竜の絵(それもリアルな)って、やっぱり行き過ぎなんじゃないかな、と思うんですね。

そう言うと、上記のトピにもあるように、「仮面ライダーやウルトラマンは正義や友情のドラマであって、やみくもに戦争を肯定しているわけではない」「見たからといって、誰もが暴力的になる訳ではない」という主張が出てくるんですけど、それはあくまで筋書きであって、描写はまた別だと思うんです。

言い換えれば、ヒーローの正義や友情を表現するのに、過激なアクションや殺戮シーンは必要ないのではないか、と。

今の日本のアニメ漫画に危機感を感じてる人は、この「行き過ぎた描写」を指摘していると思うんですよ。

そして、なお怖いと思うのは、日常的にその中に浸かっていると、不自然さが分からなくなるという点なんです。

「こういう番組を見たからといって、みなが暴力的になるわけじゃない。子供はそんなにバカじゃない」という意見がありますが、じゃあ、なぜ、海外ではこれを問題視して、自国でこうした子供向けのアクション漫画をポンポン制作しないのか(儲かるのに)――と言えば、やはり「影響がある」と判断しているからなんです。

分かりやすく言えば、日常的に麻薬に馴染んでいる人が、「麻薬といっても数ミリグラムなら問題ないよ、使う本人に自覚と責任感があれば、かえって元気が出て、いい薬だよ」と言ってるのと大して変わらないと思うんですね。

つまり、世界的に見れば、それぐらい感覚がズレてる――というのが本当のところで、それを大して気にも留めず、「みなが見てるからいいじゃない」「親がしっかりしてたら大丈夫」と言い切ってしまうところに、私は後戻りできない怖さを感じるわけです。

ちなみに、私は、5年前に、姉の家でウルトラマン・ショーのビデオを見たことがあるのですが、今のウルトラマンって、「戦うべきか、否か」で悩むんですね。
「戦いは空しい」とかナントカって。
そして、他の戦闘肯定派のウルトラマンと、ウルトラマン同士で戦ってみたり。
オレとお前と、どっちが正しいか、って。

ビックリした――というより、見ていて気分が悪くなりました。

「自分に対する問いかけ」――アイデンティティに関する問題は、確かに少年少女にとって避けられない課題ではあるけれど、ことさら「自分、自分」と強調して、意味があるだの、無いだのと、幼稚園から小学生ぐらいの子供相手に投げかける話でもあるまいと思うわけです。

今の制作者は、こういう物語がカッコイイと思ってるんでしょうか。

だとしたら、余りにも子供ってものを粗末にし過ぎだと私は思います。

近年、実写化された「キャシャーン」も、たまにこちらの衛星放送で深夜にやっている日本アニメも、生きる意味がどうの、何のために存在するのかとか、そんな話ばっかり。

今の若い子って、そんなに自己無価値感や自己否定に苦しんでいるのかなーって、心配になります。

よく「表現の自由」と言いますが、私は社会的な規制はやはり必要だと思います。

大人の小説に激しい性愛の描写があるように、子供には子供の感性に合った話があるはずですしね。

男の子だから、蹴ったり、変身したりのアクションが好きだろう――って、それは大人側の勝手な発想で、見せなければ真似はしないし、そんな遊びも覚えないんです。

ちなみに、こちらの男の子の遊びといえば、サッカーやバレーボール、自転車、ローラースケートなどスポーツが主流で、プロレスや怪獣ごっこ、オモチャの銃で撃ち合ったり、プラモで戦闘ごっこみたいな、格闘系、武器系の遊びに夢中になってる子は見たことないです。

そう言うと、「日本で、そういう遊びをする子は、悪い子なのか」とお叱りを受けそうですけど、私は、それに夢中になっている子供自身を責めているわけではないのです。

「子供への影響」というものを、自己責任だの、教育だのと、「見る側」の責任に押しつけて、好き勝手に垂れ流している大人の側――「男の子はアクション好きで当たり前」という、まこと勝手な理屈でごまかして、この問題に目をつぶろうとする社会の姿勢に疑問を感じるのです。

実際、子供向けアニメを入り口に、どんどん変態的な作品や暴力ゲームにのめり込んで、犯罪に走る子供もあるわけでしょう。

「うちの子さえ悪くならなければ、それでいい」でも、被害者に回る可能性もあるわけですからね。

自分の子供が、ヒーローアニメ大好きなどこかの子供に跳び蹴りされて、後頭部を強打して、廃人みたいになってから、「社会があんな漫画を容認するから悪い」って嘆いても遅いんですよ。

それが怖いから、他国では厳しく規制しているわけです。

「うちの子もアニメファンだけど、うちの子は暴力的にはならなかった」なんて、自分の身の回りの視点だけで片付けていい話ではないのです。

前号で、ハリウッド映画の「PG-18」に触れましたけど、アメリカ国内で上映される映画は必ず次のような指定を受けます。

『PG-18(18歳以下の鑑賞には保護者の同伴が必要)』
『PG-13(13歳以下の鑑賞には保護者の強い注意が必要)』
『All audience(全ての視聴者にOK。家族向け)』

これらの指定は、本編が始まる前に必ず画面上で注意されますし、「PG-18」や「PG-13」の上映に際しては、子供同士の鑑賞について係員が目を光らせている劇場もあります。

ハリウッド映画も過激な性描写や暴力シーンが問題視されて久しいですが、あちらは自由に制作しても、垂れ流しはしないんですね。(インターネットは別として)

ポーランドでは、それがTV番組にも適用されています。

番組の放送中は、画面の左上隅に必ず「●」「▲」のマークが表示され、

緑の● - 家族向け
黄色の▲に数字の7  - 7歳以下の視聴には注意が必要
黄色の▲に数字の12 - 12歳以下の視聴には注意が必要
黄色の▲に数字の16 - 16歳以下の視聴には注意が必要
赤い● - 過激な性描写や暴力シーンが含まれる

たとえば、映画『ハリー・ポッター』は「黄色い▲+12」で、中学生以下の視聴には適さないと判断されていますし、国営のニュースでも、戦争や事故など、悲惨な映像が流れるものは「黄色い▲+7」で、小学生以下の視聴に注意を促しています。

だからといって、真面目な教養番組ばかり放送しているかといえば決してそうではなく、昼間でも半裸の男女がベッドで抱き合うようなセクシーなCMが流れますし、深夜になれば、一斉にアダルト産業のCM(無修正、オールヌードの過激な映像)に切り替わるチャンネルもあります。
また、妙齢の男女が大人のオモチャを片手にセックス談義に耽る番組もあれば、赤外線カメラで夫婦の性行為を録画し、「あなたのセックスはここが良くない」とかって、カウンセラーがアドバイスする大真面目な番組もあったり。

「何でもかんでも不道徳」というのではなく、社会の規定の下に、ファミリー向けの番組と大人の番組がちゃんと共存しているんですね。
ですから、家族団らんの時間に、『リーサル・ウェポン』や『ターミネーター』のようなアクション映画が放送されても、「黄色い▲+12」の指定があれば、子供に見せなければいいだけの話ですし、年頃の子が深夜にアダルトCMを盗み見て、問題行動を起こしたとしても、それは親の監督不行届ということで、放送を中止するような抗議がなされることはまずないです。
なぜなら、番組の放送に際しては、●▲マークという形で、放送側はその責任を果たしているからです。

このように、他国では、表現の自由を容認しつつも、子供への影響はちゃんと考慮している訳で、社会をあげて守っている姿勢は感じます。

それはまた、性情報に関してもそうです。

日本ほどすぐ目の届くところに性情報が溢れている国って、ないですよ。

電話ボックスや街角ティッシュのテレクラCM、コンビニのエロ本や投稿写真誌、あちらこちらにギラギラするヘルスやソープの看板、近頃はローティーンの読む漫画誌にも露骨な性描写があったりしますし(今は小学生でもセックスOKなんですね・・)、世界一のセックス産業国と言っても過言ではないかもしれません。

しかも女性誌のセックス特集や恋愛ノウハウ本でも、二言目には「セックスしましょう」でしょ。

私もいくつかの恋愛本やメルマガを読んだことがありますけど、女の子を娼婦にするような考え方を広めているとしか思えないですもんね。
(書いてるのは大抵、男性ですもん、そりゃあ男の都合の良いように書くわな~って感じ)

でも、「みんな経験してるから」「大手の有名雑誌が書いてるから」って鵜呑みにしてしまっているの。

性に対してイージーな考えをもった少年少女が、巷に溢れかえった性情報を何の違和感なく受け取るようになれば、「失敗するな」と言う方が無理でしょうに。

コンビニのエロ本でも、テレクラのティッシュ配りでも、本当に青少年を守る気があるなら、もっと厳しく取り締まれ、と思うんですけど、皆さんはいかがお考えでしょうか。

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