ポーランドの結婚式 / ポーランドの歌姫Kayahと踊ろう『Prawy do lewego』

2016年8月25日音楽

ベルばらKisdのコラム「Shall we dance ?」にも書いたのですが、まぁ、ホントに、ポーランドの結婚式というのはスゴイです。
日本では、『結婚式』というと、厳かに式が執り行われた後、披露宴では女優のように雛壇に澄まして座って、相当に粉飾された「二人のなれそめ」やら「新郎新婦の経歴」やら「友人のスピーチ」を傍らに聞き、プロの司会者に全て任せて型通りに終わるんですけど、ポーランドのは「宴」というより「飲み会」で、それが時には三日三晩続くんですから、新郎新婦もはっきり言って体力勝負です。
姿形にこだわっている場合ではありません。
式が終わる頃には、化粧はボロボロ、ヘアスタイルは崩れて、ドレスは汗と埃まみれという、とんでもない状況になるんですもの。

中でも私を一番泣かせたのは、ポーランドでも一番人気の歌姫Kayah(カヤ)さんのヒット曲「Prawy Do Lewego」。
この曲はアップテンポでノリもいいことから、よその結婚式でもよく演奏されるんですけど、これに合わせて二十人ぐらいが輪になって、男性も女性も入り乱れながら踊った時には、息切れして眩暈寸前。
それも、自分の身長より長いウェディング・ドレス姿で踊るわけですから、ほんとに「死にそー」の一言でした。
今でもこの曲を聴くと、飲めや踊れやのドンチャン騒ぎを思い出して、胃のあたりがツーンと痛くなります(笑)

このビデオでも、花嫁姿のKayahさんが、元気よくウォッカをあおってますけど、こんなん序の口ね。
私が招待された某夫人の結婚式なんて、もーっと凄かった(汗)
よくあれだけ飲んで、あれだけ動き回れるわぁ、しかもウェディング・ドレス姿で……というくらい、闊達な花嫁さんでした。
(その時の模様を記事に書いています)
彼女も、今では元気な双子のお母さまです(^^)

こちらは「ポーランドの結婚式」を如実に描いたMTV。
デフォルメされた光景ではありません。
本当に「こんなモノ」です。
いや、まだマシなくらい。
もっとすごい結婚式もありました。

この動画のKayahのように、花嫁もウォッカグラス片手に右から左に走り回り、飲みまくるぐらいのパワーがなければ、とてもポーランド家族の一員にはなれませんよ、マジで。

ちなみにこの曲は披露宴で必ず演奏されます。
ポーランドに嫁ぐ予定の人は、この動画でも見ながら踊りの練習しといた方がいいですよ(笑)


このクリップを見ていると、「ああ~、ポーランドのお祭りオヤジって、ほんとこんな感じだよなぁ」と思ってしまう。
翌朝、二日酔いでデロ~っとしてる姿とか。
地方に行けば行くほど、お祭り度が高いです。
下戸には生きて行けない世界です。

一部のみ、テキストを紹介します。

Prawy do lewego

W dużej sali duży stół
A przy nim gości tłum
Gospodarz zgięty wpół
Bije łychą w szklanę

Cisza chciałbym toast wznieść
Jak można to na cześć
Ojczyzny w której wieść
przyszło życie nasze hej

Racja brachu
(Więc) wypijmy za to
(A) Kto z nami nie wypije
Tego we dwa kije
Prawy do lewego
Wypij kolego
Przecież wiemy nigdy nie ma tego złego

A na stole śledzik był
Zobaczył go pan Zbych
I pojął dobrze w mig
Że śledzik lubi pływać

Wstał by nowy toast wniesć
Za rodzin świętą rzecz
No i teściowych też
Rodzina to jest siła!

Racja brachu……….

Dzisiaj młodzież już nie ta
Użalał się pan Stach
Lecz machnął ręką tak
Że wylał barszcz na panią

Nic to jednak przecież bo
Sukienkę można zdjąć
A toast wznosi ktoś
Za dobre wychowanie

Racja brachu………

Pana Kazia kolej to
Więc krawat ściągnął bo
Przecież postarza go
I choć był już na bani

Bez pomocy z gracją wstał
Jąkając się dał znak
By wypić teraz za
Balony pani Mani

Racja brachu…………

大きなホールで たくさんの招待客が
彼の側で 大きなテーブルを囲んでいるわ
半ば酔っぱらったパーティーの主は 
グラスの中で スプーンを打ち鳴らしているわ

沈黙が 乾杯しましょうと求めたら
私たちの未来の人生を導く 故郷(祖国)を
どんな風に 祝えばいいのかしら

さあ 我が兄弟たちよ
もっと飲み干しましょう
私たちと共に飲まない者は
2本のでくの坊と同じよ

右から左へ
仲間をも飲み干して
だって 悪いことなど
何もありはしないんだから

テーブルの上の 魚料理(ニシン)
ミスター酔っぱらいが それを見れば
たちまちに納得する
ニシンは泳ぐのが好きだってこと

おめでたい家族を 
新たに乾杯するために立ちましょう
ええ、もちろん、おばあちゃまもね
家族こそ力なのよ

§ 【2003年初夏の思い出より】

ポーランドの結婚式は、「式」というより結婚祭。
なんせ一日で終わらない、飲めや食えやのドンチャン騒ぎなのですから。

先日、彼の友人の結婚式に招待されたのですが、会場は我が町から600㎞離れた小さな田舎町。
金曜日の夜10時に新郎新婦の親族や友人ら十数名が貸し切りバスに乗り合わせ、10時間余りもかけて、チェコの国境に近い山間の村に向かったのでした。

土曜日の朝9時頃に村に到着すると、とりあえず花嫁さんの家で、ハムやキューバッサ(ソーセージ)、ミゼリア(西洋キュウリのサラダ)、パンといった軽い朝食。
朝からすでにウェディング用のウォッカが振る舞われ、恒例の、『ナ・ズドローヴィエ(乾杯)』による一気飲み。
式もまだ始まらないのに、おっちゃん達の顔はすでに真っ赤でした。

それからバスでさらに山奥に向かい、式場となる古い教会に隣接する保養施設で休息。
これがまたバックパッカーもびっくりのお粗末な作りで、カーテンは破れてるわ、虫はブンブン入ってくるわ、隣の物音は筒抜けだわ、ほんと低料金だけが取り柄という感じの、ものすごい所でした(汗)
しかも、同施設内のメインホールがポーランドのEC加盟を問う国民投票の会場になっていて、村の外からぞろぞろやって来た私達招待客は、「今日はウェディングだから投票には行けません」というのが丸分かりで、すごく決まり悪かったです。

さて、本番のウェディングは夕方の五時から。
夕方の五時といっても、サマータイムの導入と高緯度により、昼の日中のように明るいです。
花輪の付いた車で花嫁さんと花婿さんが到着すると、全員が教会に入り、いよいよ式本番です。

教会は、築何百年という感じの非常に古い建物。
外側はぼろっちいけど、内側はあちこちに金の装飾がほどこされ、色鮮やかな天井画が描かれるなど、豪華そのもの。
しかし、内部の石畳の床や壁の装飾の一部が、二年前、東欧一帯を襲った大洪水の影響でぼろぼろになっていて、修理もままならぬまま今に至る、という感じでした。

儀式は、カトリック方式に基づいて、まず神父さんの入場、祈りの言葉、招待客への祝福(藁ぼうきのようなものに聖水をひたして、全員に振りかける)に始まり、それからオルガンの演奏に合わせて新郎新婦が入場し、結婚の儀式が始まります。

式の要は『誓いの言葉』。
「病める時も、健やかな時も、死が二人を分かつまで愛し合うことを誓いますか」というあの文句を、神父さんに続いて復唱し、お互いに誓い合います。
誓いの言葉は三つほどあるのですが、新婦さんが三つ目に差し掛かった時には、もう感きわまって声も出ない状態。
いくら交際が長くても、やはり『誓いの言葉』を交わすとなれば、悦びもひとしおです。
この時ばかりは、新婦側の両親や近親者からすすり泣きの声が聞こえたりして、それはそれは美しい瞬間でした。

そうして、新郎に支えれらながら、新婦さんがようやく三つ目の誓いを唱えると、誓いのキスが交わされ、指輪の交換がなされます。
これにて、二人は、神の御前において夫婦として結ばれたわけですが、カトリックの教えでは、神が結んだものは死ぬまで大事にしなければなりませんから、責任も重いです。
基本的に、離婚が許されない所以です。

それから、招待客全員で祈りの言葉を捧げ、賛美歌を歌って、儀式はとどこおりなく終了。
まず招待客が教会の外に出て、新郎新婦が出てくるのを待ちます。
そして、新郎新婦が現れたところで、たくさんの1グロシ硬貨が二人の前に投げられ、続いてライスシャワー。
「二人の生活が経済的にも物質的にも恵まれますように」という、ヨーロッパならではの慣習です。

そして、新郎新婦が投げられた硬貨を全て拾い終わると、今度は招待客からの祝福を受けます。
まず新婦に祝いの言葉をかけて、両頬に三度キス。
二人に対する花束や贈り物などは、この時に、新婦に渡します。
それから、新郎にも同じようにお祝いの言葉とキスと抱擁。
二人の右手の薬指には、交わしたばかりの金のマリッジリングがきらきら光っています。
ポーランドでは、結婚指輪は、右手にするのが習慣なんですね。

そうして一時間ほどで式が終了すると、いよいよ披露宴の始まり。
これがまた、飲めや歌えやの、朝まで続くドンチャン騒ぎだという事は、この時はまだ知るよしもなかったのでした。

式が終わると、まずは大食堂にてディナー。
新郎新婦も招待客もそろって食堂ホールに足を運びます。
その際、ヨーロッパの伝統に基づいて、新郎は新婦を抱き上げてドアをくぐります。
こうすることで幸せが訪れるのだそうです。

食堂の席も、日本の披露宴のように席順だの何だのは全く関係ありません。
みんな、空いた所から詰めていく……という感じです。
メニューは、ポーランドの伝統的なチキンスープ(野菜とニワトリを一羽丸ごと煮出して作るクリアなスープ。細いヌードルの上にかけて、スープスパゲティのようにして頂きます)、茹でたジャガイモにビートと呼ばれる赤カブのサラダ。鶏肉のコトレット(カツレツ)に牛のヒレ肉のソテーなど、ボリュームたっぷり。
でも、ここで食べ過ぎると後のご馳走が入らなくなるので、皆さん、セーブしながらという感じでした。

そして、一同の食事が終わると、今度は施設の反対側にある二部屋続きのホールに移動。
ここでも席順は関係なく、めいめい気に入った席に着いて、新郎新婦を迎えます。
日本のように、お色直しや、キャンドルサービスのようなものはありません。
各テーブルに、ウェディング・ウォッカが配られ、新郎新婦が席に着いたところで、全員がウォッカのグラスを手にして、『スト・ラート』の大合唱。
『スト・ラート』は、「百歳」という意味で、♪百歳まで長生きしよう~♪と、末永い健康と長寿を願う歌。
ポーランドでは、誕生日、堅信礼など、お目出度い席で必ず歌われます。
そして、歌が終わると、一斉にウォッカの一気のみ。
下戸では生きていけない世界ですね(笑)

そして、新郎新婦から招待客への挨拶が済むと、隣のホールでは、さっそくプロの楽団(といっても、ギター奏者とシンセサイザー奏者の二人だけなんですけど・・・)による演奏が始まり、新郎新婦はそちらに移動。
隣がダンスホールになっているのです。

そこでまず、新郎新婦による愛のダンスが披露されます。
スローバラードに合わせて優雅にダンスを踊る様は、まるで王子様とお姫様のよう。
次に、新郎が新婦の母親と、新婦が新郎の父親と踊って、親子の契りを交わします(多分、そういう意味だろうと)。
しかもダンスが上手い!
さすがヨーロッパの人は違うなあ……と嘆息させられます。

そうして新郎新婦のダンスが踊ると、今度は招待客も参加してのダンス・タイム。
新郎新婦のご両親はもちろん、出席しているカップルは、こぞってダンスに参加します。
ちなみに、こうしたパーティーに出席する時はカップルで参加するのが基本だそうで、独り身にはちょっと悲しい習慣かもしれませんね。

そうしてダンスタイムが佳境に差し掛かると、「盛り上がったカップルは、どうぞ、思い存分キスして下さい」なんて、奏者によるコメントも飛び出すほど。
唇と唇で、ブッチュとやる人はありませんでしたが、男性が女性の頬や額にさりげなくキスしたり(年配のカップルでも)、髪を撫でたりする仕草を見ていると、「あー、やっぱりヨーロッパは違うな~」と思いますね。
本当にロマンチックな、いい雰囲気です。
熟年夫婦も、しばしば、こうした甘い時間を持てば、熟年離婚だの、家庭内離婚だのって、あり得ないと思うんですけどね。

そして、このダンスタイムは、時々、休憩をはさみながら、パーティーが終わるまで繰り返されます。
この日は、実に翌朝6時まで、パーティが続けられました。
まさに『踊り明かそう』の世界です(汗)
私と夫は、さすがに疲れて、深夜1時に宿舎の保養施設に引き上げましたが、一部の人は、それこそ眠らず、休まず、朝の6時まで楽しんでおられたようです。

そしてまた、翌日の昼2時から夜7時まで、二度目の祝宴。
昨夜、あれだけ飲んだにかかわらず、飲む人はまた飲んで、賑やかに騒ぐという物凄いエネルギー。
どうしたらあんなに飲めるのか、いったいポーランド人の肝臓はどうなっているのか、本当に目が点になりそうでした。
だけど、ダンスは面白かった。
流れる曲も、ポルカ、ロック、ジャズ、ハンガリー舞曲など、本当に色とりどりで、とりわけロシア民謡にのって、皆でコサックダンスみたいなのを踊った時は、本当に面白かったです。

しかし、しかし・・・
この結婚祭には、さらなる面白い企画があったのです・・・。

私がぶっ飛んだ企画とは、新郎新婦に目隠しさせ、数人の身体を触らせて、どれが自分の「夫」「妻」か、当てさせるゲームでした。
まず、新郎と同じ年・背格好の男性が4人、椅子に腰掛けて、皮を剥いたバナナをおチンチンの所に当てます。
それを目隠しした新婦が一本一本触りながら、新郎のものを当てるというゲーム。
すごい~! 日本でこんな事をやったら、ド顰蹙ですよね。

そうして、無事、新婦が新郎のバナナを当てると、今度は新郎が目隠し。
新婦と体格の似た女性4人が椅子に腰掛けて、ドレスの裾を足の付け根までまくって、太腿を露わにします。
それを一つずつ新郎が触って、新婦を当てるゲームです。
が、今回は、新婦は故意に席に座らず、代わりに毛むくじゃらの男性が腰掛けて、新郎に毛だらけのごつい太腿を触らせて、笑いを誘っていました。
「新婦が座ってないじゃないか!」
という新郎のクレームにより(?)、即座に、新婦と右端の女性が入れ替わって、もう一度ゲームのやり直し。
目隠ししていても、やはり雰囲気や感触で、どれが新婦か分かるんですよね。

次のゲームは、男同士がペアを組んで、ダンスを踊るというもの。
「一番いやらしく踊ったカップルに景品が与えられる」のです。
途中で、全員、上半身裸になるわ、ズボンを脱いで、パンツ一枚になる人もいるわで、会場は騒然。
女性の黄色い声が飛び交う中、男同士、裸の上半身をすり合わせながら、くねくね踊る様子は、とんでもなく刺激的でした。
ポーランド人って「真面目で優しい」イメージがありますが、本当はとても冗談好きで、面白いのです。

もう一つは、新郎新婦とダンスがしたい人は、新郎新婦の前に置かれたお皿にお金を払って、踊るというもの。
もちろん払われたお金は新郎新婦のものになります。
親戚のおじさん、おばさんはもちろん、友人や、子供までが、こぞってお皿に紙幣や硬貨を投げ入れ、新郎新婦とダンス。

こちらはお色直しなんかありませんから、ゲームが終わる頃には、ウェディングドレスも、タキシードも、汗でどろどろ。
特に花嫁さんは高さ10㎝ほどのヒールを履いていますから、疲れ方はハンパじゃないです。
ふうふう息を切らしながら、休む間もなく、今度は独身男女を対象にしたゲームの始まります。

まず最初に新婦が椅子に座り、その周りを、独身女性らが音楽に合わせて手を繋いで歩き、音楽が止まったと同時に新婦がヴェールを投げ、それを拾った人が次の花嫁になれるというものです。
次は、新郎が椅子に座り、独身男性が蝶ネクタイを奪い合うというもの。
ゲットしたのは、いずれもラブラブ中のカップルで、女の子の方が、
「次の花嫁は私よ~!! きゃ~~~っ!」
と、目を潤ませて大感激。
男の子も上機嫌で、その後、「未来の新郎新婦」のダンスを披露していました。

そんな風に、ポーランドの結婚式は、まさに皆で楽しみ、祝う、お祭りそのもの。
だけど、最後に行われる、新郎新婦から両親への感謝の言葉と花束贈呈は、本当に胸に迫るものがありました。
特に、新婦側のご両親は涙、涙、涙。
娘を嫁がせて、やれやれ一仕事終えたような気持ちと、娘を手放して淋しいという思いがどっと押し寄せて、涙せずにいないのは、どこの世界の親も同じようです。

記:03/06/17 (火)