酷すぎる日本の育児環境

2017年9月21日子育てコラム

Ge healthcareという会社が公募した少子化に関するエッセー賞で、次のような作品がありました。
大賞には選ばれなかったけれど、私の中では、一番印象に残った作品です。

Ge healthcare エッセー大賞 最終選考作品

「ママが思う少子化」より

今の世の中、子供を育てるのって、本当に大変だな、とつくづく思う。

先日読んだ育児雑誌に、「子供が公共の場、たとえば、電車の中でさわいだら、すぐに電車を降りるべき。レストランで大声を出して、言うことを聞かなかったら、レストランの中では迷惑なので外に出るべき」と書いてあった。
子供が嫌いな人もたくさんいるのだから、そうすべきだと。

それを読んで、なんだか悲しくなってきた。

動いてる電車で子供がさわいだら、母親は行きたい所があろうが、すぐに子供と降りなければならないのかぁ…。
子供はさわぐものだから仕方ない、と思っている母親もいるが、とんでもない、とも書いてあり、私の気分は、ますますどんよりした。

公共の場でさわいではいけない事が分かるのは、口でいいきかせてわかるのは、何歳ぐらいからだろう。
赤ちゃんには到底無理。
わがやの2歳の娘も、さわぎだしたら、手がつけられない。

では、そういう子供を持つ母親は、外には出るな、ということか。
いい大人が、子供の泣き声がそんなにうるさいだろうか。

もちろん母親は、なんとか子供をなだめようと必死になることだろう。
でもそれでもどうしようもない時は、子供だから仕方がない、と思ってくれる世間であってほしいと思うのは、母の甘えだろうか?
この育児雑誌を読んだ母達が、お出かけをちゅうちょする様になったら悲しいな、と心から思った。

子育ては本当に大変だ。
2歳と0歳の子供をかかえ、主人は毎日深夜に帰ってくる生活。
ストレスを解消しようと、主人の休みに、少しリッチなお店へ入ろうとすると、入り口に「しつけの出来ていないお子様連れはご遠慮下さい」の文字…。
あっそーですか。きっとこの店の店長は、赤ちゃんの頃よっぽどしつけの出来た子供だったのでしょうね!
怒りながら、いつものファミレスへ行く私達。

良識のある方々は、したり顔で、子供が小さいうちは、自分の楽しみは我慢すべし。
良いレストランや、したい事は、子供が大きくなってからやればいい、というでしょう。

でもね、私達は、今やりたいの!
少子化だ少子化だと言うけれど、子供は産めばいいってものじゃない。
育てないといけない。
小さい子供をかかえて、世間様に迷惑をかけない様にびくびく暮らしている母親が、やっと子供が育って、大手を振って外を歩ける様になった時、また子供を産もうと思うには、今の世の中、冷たすぎるよ。

児童手当の拡大や、医療費免除、いろいろやろうとしてるけど、違う。絶対に違う。
昔、「同情するなら金をくれ」という言葉がはやったが、きっと今の母達は「同情するなら愛をくれ!」これにつきると思う。

優しい目で母親を見てほしい。
したり顔で話す育児評論家の話をたくさん雑誌にのせるより、育児の大変さ、こどくさ、そして何より、育児の素晴らしさを感じて育児をしている、生の母親の声がたくさん聞ける会、そういうものがあってほしい。

子供と親だけの毎日は、本当に狭いし、きゅうくつにもなる。
でも、子連れで出掛けられる所は、そう多くない。

女性のストレス解消法は、やはり話す事。同じ様な育児の悩みを持っている人だけでなく、既に育児の一番大変な時期を乗り越えた人の話なども聞ける場所があったりすると有難い。

酷いよね。

本当に酷いと思う。

こんな社会で、「お前一人で子育てしろ」と言われたら、誰だって音を上げるし、ノイローゼにもなるよ。

はっきり言って、ムチャクチャと思う。

なのに、このムチャクチャさを「母親として当たり前」と言われ、ちょっと誰かに頼ろうものなら、「甘えている」などと突き放す。

日本のお母さん方。あなた方は本当に偉い!!

私も年子二人に振り回されて、たいがい疲れていますけど、日本のお母さんの大変さに比べたら、私は案外気楽な立場にいるのではないかと思うことしきりです。

なぜなら、私の住んでいる地域は、「子連れに優しい」からです。

子供が電車の中で騒いでも、レストランではしゃいでも、眉をひそめて、あっちでコソコソ、こっちでジロジロなんてこと、無いですよ。

「子供はそういうものだ」ってこと、皆が理解していて、協力してくれます。

たとえば、隣の席のおばあちゃんが上の子をなだめてくれたり、店員さんがクッキーをくれたり。

ベビーカーでバスを利用する時は、周りの人が一斉に席を立って、乗り降りを手伝ってくれるし、バスの中で子供がギャーギャー泣き出しても、「そうそう、子供は泣くのよ、うちの孫たちも大変よぉ」って、特にオバちゃん達は同情モードです。

舌打ちして、露骨にイヤそうな顔をする人なんて、おりませんよ、ここには。

だから、少なくとも、社会においては、子連れであることがストレスに感じることはありません。(自宅では疲れ果てても)
むしろ、人の優しさに触れて、幸せな気持ちを味わうことが多いです。

でも、それが本当ではないか、と。

「ノーマライゼーション」という言葉がありますでしょう。

これは福祉で習った言葉なんですけど、「この世には健常者もいれば障害者もいる、でもそれが当たり前だ」――という考え方です。

それと同じで、この社会には「子供にギャーギャー泣かれて困り果てている母親もいる」ってことを、どうして当たり前に受けとめられないのでしょう。
どんなに丁寧に言い聞かせようと、1歳児や2歳児は、所構わず騒ぎ出すものだということを、もうちょっと寛容な目で見ればいいのになあと思います。

まあ、中には、てんで構わないバカ親もいるんでしょうけど、必死に頑張っている母親の方がまだまだ多数派だと私は信じているのですけどね。

とにかく、今の日本の育児環境は、母親にとって非常に辛く、難しいと思います。

1)夫の帰宅が遅く、平日母子家庭状態になっている家が少なくない

・根本的に育児を手伝わない。
「オムツ替え」さえしたことがない夫がいるなんて、こちらでは信じられないです。

・夫の帰宅が遅いので、必然的に、子供のスケジュールに差し支える。
日本の仕事環境は承知していますし、好きで10時11時まで残業している人ばかりではないでしょうから、これについてては決して夫一人のせいではないのですが、それにしてもね。。。
夜中の11時や12時に家の中でゴソゴソされたら、お母さんがどんなに頑張って寝かしつけても、子供は起きてしまうし、生活も夜型にズレ込むでしょう。
世の中全体が夜型になってきている中、母親一人がどんなに気負っても、早寝早起きの習慣などつくはずがないです。

それに、朝のドタバタから、子供の寝かしつけ、夕食の後片づけまで、母親一人に任せっきりなんて、グローバルな見地からすればオカシイですよ。
でも、日本ではそれが当たり前だと思われていて、それが出来なければ「ダメ母」の烙印を押される訳でしょう。

もし、我が町で、そんな考えを正当化すれば、90パーセントは非難するでしょうね。
残りの10パーセントは、「そんな男天国に住んでみたい」と言い出すか。

こんなムチャクチャなことを強いられている日本のお母さん方は、本当に辛すぎます。

こちらでは、産後の育児休暇は男性も法律で義務づけられているし(妻の産後にのこのこ出社する方が常識を疑われる)、会社は定時で帰宅して、食後の片付けを手伝って、日が沈むまで子供と公園で遊ぶ人が大半ですよ。

2)子供連れに社会が冷たい

「子供連れは、軽量ベビーカーと抱っこヒモを常備し、階段の上がり降りも、一人でやるのが当たり前」
「子供連れは、公共の場所に出掛けるのを控えるべき」
「子供連れは、託児所のないスーパーに来るべきではない」……etc

そういう記事をネットでよく見かけます。

……って、誰も手伝わないんですか!!

子供連れがいたら、舌打ちして、睨むだけなのですか?

あるいは、存在そのものがメーワクとか??

確かに、周りの迷惑を顧みない、失礼な親子もあるのかもしれません。

でもね、大方のお母さんは、一所懸命に育児をされていると思うのですよ。
少なくとも、私はそう信じています。
そうでなければ、社会全体、もっと悪くなるはずですもの。

そうではなく、まだまだ優しい人も賢い人もいて、それなりの平和を保っているということは、多くのお母さん方が頑張っておられる証だと思うのですよ。

ですから、「子供連れはノコノコ社会の真ん中に出てくるな」「最初から人の助けをアテにするぐらいなら、家でじっとしてろ」的な言い草は、非常に残念に思います。

社会において、子供連れで幸せな気分を味わえないのは、母親にとって非常に辛いことだと思います。

3)子供の教育にお金がかかりすぎる(親同士の競争が多すぎる)

子供の早期教育やお受験に必死になってしまう親御さんのことを「悪い」とは思いません。
私だって、日本の教育システムの中にあったら、平静ではいられないでしょう。

元はといえば、公立のレベルが下がりすぎて、「お金をかけて私立にやらなければ、本当にダメになってしまう」というところまで来てしまった、日本の教育事情が問題だと思うんですよ。
私の知り合いでも、決して教育ママゴンではないのに、「公立が荒れている」という理由から、私立進学に必死になっているお母さんが大半です。

私が学生の頃も、もちろん受験戦争はありましたけど、そこまで真剣に私立進学を考えなければならないほど公立のレベルが低い――ということはありませんでした。
とりあえず地元の公立高校さえ出ておけば、そこそこの大学にも進学できたし、就職口もあったのです。

皆が皆、私立進学を検討できるほど経済的に余裕があるわけでもなし、「安心して子供を通わせられる公立学校が無い」というのは、子育て中の親のみならず、国家レベルで深刻な問題だと思います。
「ゆとり教育見直し」で、少しでも良い方向に向けばいいのですが。。。

まあ、そんなこんなで、もうちょっとどうにかならないのか、と。

私は、他国民になった身ながら、日本のお母さん方のことを本当に心配せずにいません。

なぜって、その中には、私の家族や友達も含まれるからです。

ですから、真面目に頑張っているにもかかわらず、「母親ならこれぐらい当たり前」とか、「甘えるな」とか、メチャクチャな事を言われて落ち込んでいるお母さんがおられるなら、私はこう言って差し上げますよ。

グローバル・スタンダードから見れば、日本の考え方の方がヘンです、って。

幾多の問題は、決してあなた一人のせいではない。

そう思って、元気出して下さいね。