映画

松方弘樹さんとスター 映画『野生の証明』では素晴らしい敵役を有り難う。

2017年1月23日
野生の証明 松方弘樹

わたくし、小学生の時、遠足で松方弘樹さんの別荘の前を通ったことがあります。
近隣の山間を散策中、担任教諭が道を間違ったか、「こっちが近道」みたいなノリで一本道に迷い込み、「ここ何所??」みたいな感じでトボトボ歩いていたところ、突然、男子が「松方や! 松方弘樹がおる!」と騒ぎだし、何事かと思えば、鉄柵の向こうに大きなプールがあり、プールサイドに松方弘樹さんがくつろいでおられたんですね。
そりゃもう、皆は大興奮。
サルみたいに鉄柵をガシャガシャ揺すって、「弘樹ぃ~」「こっち向いて~」の大合唱。
小学生の失礼な振る舞いにもかかわらず、松方弘樹さんはリラックスチェアから身を乗り出し、私たちに向かって大きく手を振って下さったのです。
私も皆も、あの別荘が何所にあったのか、正確には知らないし(担任は理解していたかもしれないが)、再び訪れることもありませんでしたが、あの後も度々、別荘を訪れ、リラックスされていたのかなと思うと、とても親しみを感じたものです。
今ならスマホで撮影→SNSにアップ、のノリでしょうか。GPSで位置情報もすぐに掴めるし、有名人にとってはずいぶん暮らしにくくなったかもしれません。

それでも「スター」って大事ですよ。
いい年になれば、有名監督も、人気歌手も「ひとりの人間」という目が備わって、少年少女ほど英雄視しませんけど、「この世には凄い才能をもった人がいる」「愛や正義を全力で体現している人がいる」と頭上に仰ぎ見る人が存在するだけで、励みになったり、支えになったり、します。

とりわけ、右も左も分からぬ子供にとって、「星のように尊い人」は人生の道標でもあるし、それが大地に降りてきて、「実態なんて、こんなもんでス」と開き直られると、やはり夢も希望も無くすのではないでしょうか。

世の中には、ほんと、星となるべく生まれついた人がいて、そうした運命や能力に対して、凡人が逆らうことはできません。これは権利の不平等ではなく、現実というものです。
だから、凡人である皆さんはスターを崇め奉れ、という話ではなく、そうした星を背負ったなら、星にふさわしい生き方を示して欲しい。そうでなければ、人はいよいよ行く道を見失うし、生き様も含めて「スター」と言うのではないかな、と。

そういう意味では、私が子供時代には、芸能でも、マンガでも、「やんごとなき方々」というのがたくさんいらっしゃって、今のようにSNSやその他のツールを通じて、凡人の元に降りてくることは決してありませんでした。
たとえそれが子供の幻想であっても、星を仰ぎ見ながら勉強やクラブ活動に打ち込めた私たちの世代は、今よりはるかに恵まれていたのではないかと思ったりもします。

ともあれ、松方さん。うちら小学生にも機嫌よく手を振って下さってありがとう。
映画『野生の証明』で、高倉健と撃ち合った場面は今でも忘れませんよ(ほんとに憎らしいお方・・)
「味沢ぁ~!」
今度こそ、天国の素敵なプールサイドで、ゆっくりお休み下さい(^^)

*

少女時代、この拗ねたような表情が私にそっくりと言われていました。(表情が、ですよ)

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「味沢は、特殊工作隊員として優しさを捨てきれなかった。その優しさが、彼をここまで追い込んでしまった」という松方弘樹の台詞。

Ajisawa is the best commander. という英語の台詞もあったように記憶するが、どの場面だったか忘れた。

公開当時、『男はタフでなければ生きられない。やさしくなければ、生きていく資格はない』

『オオカミは生きろ、ブタは死ね』

というキャッチコピー(レイモンド・チャンドラーの『フィリップ・マーロー』が引用元)が流行ったのですが、今はあまり取り沙汰されませんね。やっぱ不適切な表現に該当するのでしょうか^^;

野生の証明 松方弘樹

ラスト、狂ったように機関銃を撃ちまくる。
それは憎しみというより、優しさゆえに特殊工作員としての道を見誤った味沢に対し、「お前に引導を渡す」という上司の歪んだ愛にも感じられる。

野生の証明 松方弘樹

「おとうさ~ん」

私も心の中で一緒に叫んでたわ。

この作品の高倉健がすごい好きやったからねぇ。

野生の証明 松方弘樹

ああ、嫉妬……。

野生の証明 松方弘樹

今にして思えば、よくこんな絵が撮れましたよね。陸上自衛隊のヘリコプターが撃ち落とされて、炎上するんですよ。
今ならどこぞからクレームがきそうじゃないですか。

角川も、南極ロケやったり(復活の日)、緒形拳と千葉真一の一騎打ちにクラシック界のアイドル神崎愛を担ぎ出したり←びっくりしたわ(魔界転生)、世界的シンガーのジョン・オバニオンに主題歌を歌わせたり(里見八犬伝)、ほんまに元気でした。

野生の証明 松方弘樹

自衛隊って、ほんとにこんな事やってるの?? と目が点になった思い出の一品。

ちなみに、青森樹海の訓練中に、飢餓から自分の腕の肉を削ぎ落とし、血眼で食らいついている兵士を演じたのは角川春樹氏だそうです。(記憶違いならごめんなさい)ちょくちょく自作に出演されてたんですよね。
(ちなみに「犬神家の一族」には宿の主人役に横溝正史ご本人が登場されます)

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