俳優エド・ハリスをよいしょする 「アビス」「ザ・ロック」「敬愛なるベートーヴェン」

『エド・ハリス』と聞いてぴーんと来る人は、真性の映画好きだと思う。

トム・クルーズやブラッド・ピットのようなスター俳優ではないが、いろんな作品の、重要な役柄をたくさん務めていて、「あっちにも、こっちにも、エド・ハリス。誰かと思ったら、またエド・ハリス」状態だったりする。

「エド・ハリスの使い回しはやめましょう」と、制作者の肩をポンと叩きたくなるぐらいなのだが、これが実に味のある俳優さんで、悪役をやっても、主役をやっても、見事にハマって映画が生きる。
このお方こそ、真に「演技派」と呼ぶにふさわしい俳優さんではないかと思ったりもします。

今後もおおいに頑張って頂きたいです。

エドさまの代表作

私が一番感銘を受けたものから・・

89年製作の深海SF映画の傑作。
海底油田発掘基地の近くで、米軍原子力潜水艦が謎の座礁をした。そこで発掘クルーがアメリカ特殊部隊とともに潜水艦の捜索を開始する。
ハリケーン、兵士との確執、機器の故障など、数々の困難にみまわれる中、未知の生命体の存在が浮かびあがった……。
監督は『タイタニック』『ターミネーター』でおなじみのジェームズ・キャメロン。
劇場公開から時が流れた今もその特撮技術はすばらしく、迫力には息が詰まるほどだ。
人類にとって深海とは宇宙と同じ、あるいはそれ以上に未知の世界であり、驚異なのだと痛感させられる作品。
89年度アカデミー賞視覚効果賞を受賞。なお、完全版ではさらに30分の映像が追加されている。【Amazon.comより】

『ターミネーター2』と『タイタニック』の習作とも言うべき映画。
キャメロン監督は、この映画の成功でCGと海洋モノに自信をもったと言える。
本作を見れば、後に続く上記の大ヒット作の源流がどこにあるか一目瞭然だ。
ここでは、エド様は堂々の主役を張っており、仲たがいする妻のリンジー役、メアリー・エリザベス・マストラントニオとの掛け合いも素晴らしい。
深海底に落ちた爆弾の起爆装置を解除するために命を懸けたエド様の、「これは片道切符だった」のメッセージが泣ける。
深海の生物でなくても心を動かされる、愛のこもった熱演である。

こちらがトレーラー。
まさに『タイタニック』『ターミネーター2』の習作とも言うべきジェームズ・キャメロンの姿勢が伺える。
本編を見るまでは、深海モンスターのパニック映画だと思っていた私(^_^;
深海版「ET」といった感じですね。


こちらはネタバレ映像になります。
まるでミケランジェロの「天地創造」を思わすような、感動的な瞬間。
そういえば、こういうショットは『E.T』にもありましたねえ。

※動画は削除されました

「アビス」に関しては『劇場版』を支持します。
完全版も悪くはないけど、劇場公開時にカットしたエピソードを復活することで、話がどうも説教くさくなってしまった。
「人類をウンタラカンタラ」のくだりは、要らない。

*

脱獄不可能の刑務所があったアルカトラズ島に、神経性毒ガスを奪ったテロリスト軍団が観光客を人質にしてたてこもった。タイム・リミットは40時間。FBIは化学兵器のスペシャリスト(ニコラス・ケイジ)と、33年前アルカトラズ島を脱獄したという男(ショーン・コネリー)を「ザ・ロック」と呼ばれる鉄壁の要塞へと送り込む。【Amazon.comより】

「こんなところに、エド様が~っ!」と心の中で叫んでしまった、エド・ハリス使い回し作品の典型。
なんて冗談はさておき、この作品は悪役がエド様だったからこそ面白くなった――の一言に尽きる。
これがしけた悪役なら、ありふれたアクション映画で終わっていただろう。
悪になりきれない悪役、上品かつジェントルなエド様がいい味を出しているからこそ見応えがあった。
ああ、悪い人になりきれないのね。
だって、ノーブルなんだもん(笑)

ちなみに、この作品は、「レッド・オクトーバーを追え!」で、冷戦沈着かつ哲学的なロシア人艦長を演じたショーン・コネリーが再び注目を集め、「脂ののったベテラン俳優」として高く評価されるようになった頃に出演しただけあって、若き日の「007シリーズ」を思わせるようなアクションと色気が素晴らしく魅力的だ。
ショーン自身も、再びスポットライトを浴びて、生き生きと演じているように見える。

【Amazon レビューより】
冒頭から過去の傷への物思いにふけ、なくなった妻の墓へと降りしきる雨の中、決意を告げるエド=ハリスの演技は、映画を通じてずっと秀逸の一言につきる
一方で単なるお金目当てのテロリストになりきれず、人道主義を貫こうとして部下との衝突にいたる姿はカッコよすぎる。
脱出不能といわれたアルカトラズに精通したショーンコネリーの演技も渋すぎますし、この事件を通じて単なる科学オタクから成長していくニコラス=ケイジの演技もよかった。
この三人の演技はずっとカッコよすぎるし、FBI長官を演じた故ジョン=スペンサーの演技も光っていた。
ストーリーはアクション物としてよくあるパターンかも知れないが、冒頭から引き込まれていく感じはやはり秀作である。

こちらはファンによるおいしいとこ取りのトレーラー。
エド様の適役ながらノーブルな将校ぶりに惚れ惚れ。


*

1824年ウィーン。うら若き女性がベートーヴェン(エド・ハリス)のアトリエにやってくる。
彼女の名はアンナ(ダイアン・クルーガー)。作曲家を志す彼女は、ベートーヴェンの新曲のコピイストとして雇われたのだ。
期待に反し、女性のコピイストが来た事に憤るベートーヴェンだったが、やがて彼女の才能を認め、アンナは彼の作曲を支える存在となる。
初演を間近に控え、昼夜を問わない創作活動を通して、二人の間には師弟愛以上の感情が芽生えていく。そして、遂に「交響曲第九番ニ短調」初演の日、耳の聞こえぬ恐怖を抱えながらも、オーケストラを指揮するために、ベートーヴェンはケルントナートーア劇場の舞台に立つ・・・。
生涯に渡り、愛を成就させることのできなかった孤独な音楽家として知られるベートーヴェンの音楽家としての苦悩と脆さを、女性ならではの感性で描く音楽映画の決定版。

ヨーロッパの威信にかけて制作したような(?)名作『アマデウス』に比べたら、映画としてどうしても見劣りしてしまう部分があるのは否めないが、第九初演時の興奮がリアルに味わえ、このパートだけでも十分価値があると思う。

……というか、『アマデウス』が凄すぎるのだ。

しかしながら、この作品では、偉大な業績からは想像もつかないような、野暮ったい生身の男ベートーヴェンをエド様が熱演。
第九の指揮はもちろん、ピアノと向かい合う姿にも魂が感じられる。
音楽史に燦然と輝く楽聖ながら、決して恵まれた人生ではなかったベートーヴェンの栄光と失意を描いた秀作だ。

【Amazon.comレビューより】
この映画には2つのテーマがあります。
第9が象徴する「聴衆の熱狂的な喝采と支持」、
大フーガが象徴する「掌を返すような無理解と拒否」。
ベートーヴェンの芸術人生はまさにこの2つの間で翻弄され、
引き裂かれていたわけですが、
ストラヴィンスキーが「絶対に現代的、永久に現代的な楽曲」と評した大フーガを聴くたびに、この曲について「いつか、誰かが理解してくれるだろう」と言ったと伝えられるベートーヴェンの言葉が思い出され、感慨深いものがあります。

こちらが感動の第九。
耳の聞こえないベートーヴェンを助けるために、写譜師のアンナが彼の影となってタクトを振ります。
魂が乗り移ったようなエド様の指揮も秀逸。
不安と昂揚が入り混じった、繊細な演技に注目。


晩年、聴覚に著しい支障をきたしたベートーヴェンは、耳に大きな補聴器を付けながら、音楽史の転換期とも言うべき名作「大フーガ」の作曲に挑む。
だが、当時の聴衆にはまったく相手にされず、失意のうちに息を引き取る。
ベートーヴェンの音楽家人生を懸けた熱演が見所。


この作品の感想を率直に申せば、ちょっと中途半端な感が否めない。
ベートーヴェンの苦悩を描きたかったのか、それともアンナの自立を描きたかったのか。
テーマが二分したような感じで、素材がいいだけに、非常に勿体ない。
それでも新しいベートーヴェン像を描いて一見の価値はあります。
エド・ハリスの演技が良いからでしょう。。。

*

プリンストン大学の数学科に在籍している数学の天才ナッシュは、念願のマサチューセッツ大の研究所で働くことに。
ところが彼のもとに諜報員バーチャーがやってきて、雑誌に隠されたソ連の暗号解読を依頼する。
彼は承諾するが、そのことがやがて、彼の精神を侵していくことに…。
実在の数学者の伝記をもとにロン・ハワード監督が映画化。数学者の半生をつづりつつ、エンタテイメント性にもすぐれた点が素晴らしい。
特に諜報員に命までおびやかされるナッシュの苦悩の真実が明かされるスリリングな後半は見事だ。
ラッセル・クロウがナイーブなハートをもったナッシュを熱演。【Amazon.comより】

エド・ハリス
Photo : http://www.themoviescene.co.uk/reviews/a-beautiful-mind/a-beautiful-mind.html

妖怪人間ベムかと思えば、エド様でした(汗)
いや、実写版でやってもハマるかも~。
黒いとんがり帽子に、ちょっと長めの黒いコート、禿頭も含めて、コスチューム、そのまんま!
なんて冗談はさておき、本作はサスペンス的な要素もあって、ぐいぐいと引き込まれます。
ラッセル・クロウが「グラディエーター」に引き続き渋い演技を披露。

これは最後まで騙されました。アレはああだろう、という予測はついたけど、コレもそうだったのか……で、良い意味で裏切られました。

強烈に泣かせたり、感動させる映画ではないけれど、「もう一度」という気持ちにさせる作品です。

【Amazon レビューより】
懸命に生き、成功を収めていく様子には溢れる勇気と、大きな感動を与えてくれた。
劇中にでてくる一つ一つの言葉に強く揺さぶられた。
この作品の凄みはストーリーをサスペンスチックにしたところである。
ナッシュという数学者が「何か」であるということが後半に分かるところである。
そのことが分かるまでは完全に観客は騙されていることになるのだ。
これも映画というものを楽しむ上での醍醐味である。
ラッセルの演技は繊細で鋭く何故オスカーを獲れないのかと不思議になったほどだ。
劇中に流れる壮大で神経質な音楽も非常にうまく溶け込んでいた。
監督のロン・ハワードが音楽製作者に「数学的な音楽を作ってほしい」と頼んだらしいがその問題を消化し、その上情緒的な色調まで加えた製作者はすばらしい。
「何か」と挌闘し、向き合い、投げ出さずに成功した奇跡的な彼の姿は今も生きるう上で大きな支えとなっている。
人生は立ち直ることは絶対できる。そう思える作品だ。

「情報部から指令を受けた」と思い込み、暗号解読に挑むナッシュ。だが、その現実とは・・。
非常にスリリングで、テンポのよいストーリー運びが秀逸。
ラッセル・クロウは『グラディエーター』に引き続き、アカデミー主演男優賞を獲得。
でも、個人的には、妖怪人間のエド様に助演賞をあげたかった・・。


初稿  ’06 November

Wall Photo : https://www.picsofcelebrities.com/celebrites/ed-harris.html

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