ダグレイ・スコット ~奇しき運回りの実力派俳優の人気と未来~

ダグレイ・スコットという俳優さんをご存じだろうか。

日本では「ミッション・インポッシブル2」以外、超大作の出演はないので、知らない人の方が多そうだが、海外ではTVシリーズなどに出演していることもあり、固定ファンをしっかり掴んでいる実力派俳優の一人である。

私も「MI:2」を見るまでは全然知らなくて、期待もしていなかったのだが、適役とは思えないほど演技が上手で、見終わった後の印象も抜群。その後、これといった大作への出演もなくて、「あの上手な俳優さんはどうなったのだろう」とWikiで調べてみたら、なんと「X-MEN」のウルヴァリン候補だったとか。だが、運悪く、MI:2 の撮影スケジュールと折りあいが合わなくて、代わりにヒュー・ジャックマンが抜擢。その後のジャックマンの活躍は周知の通りである。

しかも、ウルヴァリンだけにとどまらず、「007」ジェームズ・ボンドの候補でもあったらしい。こちらもダニエル・クレイグが抜擢され、ダグレイはまたも一世一代のチャンスを逃すことに。

このことについて、ヒュー・ジャックマンのインタビュー記事によると(Dougray Scott as Wolverine

“I have spoken to him, I didn’t quite have the guts to say thank you, I kind of apologized more to him … he said ‘Ah, that’s Hollywood, these things happen’.

(ダグレイと)話したことはあるよ。でも、「ありがとう」なんて言う根性はとてもなかった。それで「ゴメンネ」っぽいことを言ったら、彼はこう言ったんだ。『それがハリウッドだ。よくあることさ』。

海外のファンページの掲示板には、今も「ダグレイがウルヴァリンを演じていたら・・」「ダグレイがジェームズ・ボンドだったら・・」という書き込みが絶えず、つくづく『運』と『成功』の噛み合いというか、世の中って、ほんと、努力や実力だけではどうにもならないことがあるんだな、と、深く考えさせられずにいないのである。

見てみたかった、ダグレイのウルヴァリン・・
ダグレイ・スコット

そんなダグレイのどこがスゴイの……と問われたら、まずは「ミッション・インポッシブル 2」を見ることをおすすめしたい。

この作品では典型的なトム・クルーズの殴られ役=すなわち細菌兵器を使ったテロの首謀者を演じているのだが、その造形が非常にユニーク。

CIAの諜報活動で度々、イーサン・ハントの身代わりを演じてきたショーンは、『キメラ』という史上最悪のウイルスをカードに、製薬会社のCEOを脅迫し、人々の間に疫病を蔓延させて、大金を巻き上げることを思いつく。

この動きを察した情報部は、ショーンの昔の恋人ナイアを再接近させて、取り引きの現場をおさえることを計画するが、逆に、ショーンにナイアとウイルスの二つを奪取され、イーサンは撤退を余儀なくされる……。

ショーンは、いわば、「影のイーサン」ともいうべき存在で、知能、実力、キャリア、すべてにおいて引けを取らないキャラクターだ。そして何よりイーサンの手の内を知り尽くしている。

そして二人の間に立つ、美しい恋人ナイア。

命を懸けてイーサンのミッションに協力し、その危機には自らの身体を犠牲にする、可憐にして情熱的な女性だ。

全編を通してひときわ印象に残るのが、ショーンとナイアの再会のシーン。

イーサンのスパイであることをひた隠し、偽りの恋心を浮かべてショーンに再接近するナイアだが、彼女がショーンの隠れ家に到着し、ショーンに向かって歩いてくる時、疑惑と未練が入り乱れる心中を眼差しだけで見事に表現する。(記事上部の写真)

そして、この場面には全くセリフがなく、二人がキスできるほど近寄った時、風がふわりと吹いてナイアのスカーフを巻き上げ、それを掴んだショーンがそのままナイアの首を絞め殺してしまうのではないか……という緊張感が、また絶妙なのだ。

これはジョン・ウー監督の手腕にもよるし、脚本の妙とも思う。

また、再接近したナイアを詰り、ショーンの甘さを批判した相棒のヒューの指先を葉巻のカッターで切り落としたり、ショーンを裏切ったナイアを「ビッチ!」と罵ったり(ダグレイになら言われてもいいかも~~♪)、全編通して意地悪なんだけども、どこか人間くさくて憎めない悪役を演じていて、表情の一つ一つが魅力的。

「トム・クルーズを食う」とまではいかないけれど、ダグレイがチャーミングな悪役を演じたおかげで、トムの格好よさが引き立ったのも確か。メイキング・ビデオでも「ダグレイは目で演技できる素晴らしい俳優」とコメントしていたけれど、本当にその通りだと思う。

近年では、組織に裏切られた暗殺者とロシアン・マフィアの攻防を描いた『ヒットマン』で粘り強いインターポールの刑事を演じ、ずいぶん面変わりされた印象があるけれど、ブルドッグ濃厚ソースのようなコクのある存在感は今も健在、ファンの評価も高い。

「ウルヴァリン」「ジェームズ・ボンド」に続く、三回目の「一世一代のチャンス」はあるのか??

今後もあたたか~く見守りたい俳優の一人である。

動画

けちょんぱんにコケおろされる「ミッション・インポッシブル 2」。でも、私はけっこう好きでした。
何と言ってもダグレイ・スコットがいいからね。
恋人ナイアを演じたダンディ・ニュートンも数々の映画レビューで「ブス」とか書かれて本当に気の毒なんだけど、彼女は美しいと思いますよ。イーサンもそう言ってることだし・・


ダグレイが捜査官役で主通典。
主人公の暗殺者「エージェント47」を演じるティモシー・オリファントがとってもキュート。
話自体は「うん、そうか」って感じだったけど、ティモシーがチャーミングだから許す。友達の旦那さんに似てる。


関連アイテム

なんでそんなに、みんな嫌いかなーー??
「お気楽スパイアクション」とか言われて、なんか淋しい・・。
これはこれでよかったと思うんだが。私は「3」や「ゴースト・プロトコル」より好きだが。

トム・クルーズ製作・主演によるスパイアクションシリーズ第2弾。テロ集団に盗まれた恐るべき細菌兵器・キメラを取り戻すべく、あらゆる任務をこなしてきた敏腕スパイ、イーサン・ハントに指令が下る。監督は『レッドクリフ』のジョン・ウー。

エージェント47という名でのみ知られている冷徹なエリート暗殺者は、次の仕事のためにロシアに潜伏し、ターゲットであるロシアの政治家ミハイル・ベリコフを見事射殺する。しかし、密告によりインターポールとFSB(ロシア連邦保安庁)の双方から追われる身となる。いったい誰が密告したのか? なぜ自分が抹殺されなければならないのかを探るうち、その鍵を握る美しく傷ついた謎の娼婦ニカと出会う。自分を罠にはめた犯人を捜すためニカと行動を共にするうちに、彼自身の中に人間らしさが芽生えはじめる。しかしこれまで経験したことのないその感情こそが、彼自身にとって最大の脅威となっていく……。

人気ゲームの映画版だそうですが、とにかくティモシーが可愛くて、「ママの胸においで!」と言いたくなるような作品だ。
アクションは流麗で良かったですよ。