『月』はあなたを見守っている ~月光浴のススメ~

2017年9月22日メルマガ書庫

1998年のこと。

パソコン通信のフォーラムに飽きたのがキッカケで自サイトを作ろうと思い立ち、かの有名な制作ソフト『IBM ホームページビルダー』をいじりながら、肝心の『タイトル』を考えていた時、ふと目に入ったのが、CDラックに飾ってあった

エミール・ギレリスの『月光ソナタ』のジャケットだった。

ベートーヴェン:ピアノソナタ第8番&第14番&第23番

月光── moonlight ── Clair de Lune。

これだ。これしかない。

私というものを一言で表せば、まさにこの一言に尽きる、と思い、最初のホームページのタイトルは『Clair de Lune』。

当時、ASAHIネットというプロバイダーと契約していたので、URLアドレスは、http://asahi.ne.jp/clair/beatrix 。

beatrixは、ロセッティの名画『ベアータ・ベアトリクス』の引用。

ベアータ・ベアトリクス ロセッティ

その頃、『最高に高められた理想の女性』と言えば、この絵だったからだ。

『Clair de Lune』。

そう思ったのは、当時、私が夜勤ばっかりして、昼の光に当たることがほとんどなかったこと。

私にとっては「夜の世界」が本物で、昼はウソと欺瞞の中に生きているような気がすること。

『トリスタンとイゾルデ』に傾倒する所以)

昼の世界では、私の本当の姿は見えないこと。

私の言葉は、昼の世界を映し出す鏡であること。

などなど。

その上で、Clair de Lune のように、闇夜を照らす言葉になれば──と願った。

昼の光の中で元気に生きている人には必要なくていい。

夜道に迷う旅人には救いになるような光の言葉。そういうのが書けたらいいな、という願いもあって、Clair de Lune にしたんだな。

ところが、とうとう、昼の世界に舞い戻ってしまったせいで(星月夜を友に浮世離れしてたのが昼間働く普通人間になってしまった)Clairの世界はぶちこわし。

ちょっと病んだような感じの方が面白かったのに、自己啓発系の常識人になってしまったせいで、Clairなものは全く書けなくなっちゃったんだなぁ。

そりゃま、今の方が幸せと言えば幸せだけど、その分、無くしたものも非常に大きい。

この世では絶対に相容れない二つの価値観の間を、心の中では今も行ったり来たりしていて、時々、常識の栓を抜いてルナティックにならないと、どうにもこうにも落ち着かない。

みな幸せを探したがるけど、孤独や悲哀の蜜がより美味しい世界もあって、そこでは一編の詩が宝石よりも美しく輝く。

魂の慟哭など選ばれた人間にしか経験できないことであって、それ以外の言葉は昼の光の下に掻き消されてしまうのです。

だから、私は、昼の光よりも、夜に映し出されるものをこよなく愛する。(ネオン街の話ではないよ)

本当の魂の導き手は、あの燦々と輝く太陽ではなく Clair de Lune ── 自らは決して輝くことはないけれど、世の光を映し出して夜道を照らすあの月の光だ、って思うのね。

それに、夜に迷った時、人がようやく気付く、音のしない存在感も好き。

ああ、本当に分かってくれてるんだな、という気になる。

そんなわけで、いつも、いつも、何もない時でも、月を見上げてた。

月を見ていると、この世ではない何処かに本当の居場所があるような気がしてた。

こういうの『月光浴』というらしい。波動がどうとか、意識レベルを高めるとか、スピリチュアルな効果が言われるけども、そういうの抜きにしても、気持ちが落ち着いて、心や世界の奥深いところに降りて行けるような気がするから。

それはきっと、反射した光だからだろう。

月の光にはエゴがない。

ただ、ありのままを映し出す。

その透明感が心に優しく響くのだと思う。

今となってはあの月の光に近づくこともできないけれど、あの夜見た清々しい美しさは今も心の中で静かに輝き続けている。

あの夜かけた願いを今も覚えているなら、どうか、いつまでも、見守っていて欲しい。

いつか、帰る日のために。

私の、永遠のClair。

関連アイテム

写真の歴史150年目にして初めて試みられた、満月の光だけで撮影された月光写真集。ヒマラヤからバリ、サイパン、ハワイ、パラオ、そして日本の満月の夜のドラマが、今まで見たことのない清冽な写真に定着された。太陽光の46万分の1、満月の晩だけに撮れる長時間露光写真が、山、川、滝、花、キノコ、海岸、サンゴ礁を、静かに、ダイナミックに伝えます。

月光浴と言えば、石川さんの写真集ですよね。

雪原の月、夕映えの山や木と三日月…美しい月の写真に、月の言い伝え、神話、月の行事、月齢の話など、月に関する項目をとり集めて編んだ一冊。

この本、持ってました。占い師の秋月さやかさんの著書です。
月齢占いや月にまつわる伝説、風習、いろんなジャンルから話題がピックアップされています。
「月好き」の方には読み応えのある本。

月は、人々を神秘と魅惑に満ちた夜の舞台にいざないます。月への想いは、決して尽きることはありません。太古の昔から、人は月をみつめ、空想に耽ってきました。月は何でできているんだろう?どうやってできたんだろう?どうしてこんなふうに形を変えるんだろう?…私たちを魅了する神秘的な星のすべて。

これも面白そうですね。大人気占い師の鏡リュウジさんが監修。

太古より我々が語りつぎ、詩を詠み、祈りをささげてきた「月」。この不可思議なる天体の魅力を、文学・天文学・人類学・美術にいたる、あらゆる角度から紹介した、月のトータルヴィジュアルブック。

これも面白そう。

『月』に関する本って、けっこうイロイロ出ています。個人的には占い師さんが監修されてるのが興味ありますね☆