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ある日の外来診察にて

2010年7月5日

先日、かかりつけのT市立病院に行ったら、再診受付のコンピューターの前で、おじいちゃんが診察券を入れたり、出したり手間取っていた。

「カードが逆さまですよ」
と、正しい向きにカードを入れ直してあげたら、
「いやあ~、すいませんなあ。目が悪いもんで。眼科の再診、お願いしますわ~」

便利なコンピューターも、目の不自由なおじいちゃんには厳しかろう。

再診受付画面で、到着確認ボタンを押し、コンピューターから出てきた受付票と診察カードを渡してあげたら、
後ろにいたおばあちゃんも、
「すんません。私も眼科の再診、お願いできますやろか。目が悪うて、見えまへんのや」

おばあちゃんから診察カードを受け取り、何度もコンピューターに差し込んだが、【保険証確認が必要です】というメッセージしか出てこない。

結局、おばあちゃんをクラーク・カウンターまで案内することになった。

(ああ、もう! 今日は患者で来てるのに! な~んで職場外でまで、看護婦せにゃならんのだ?!)
と、溜め息つきながら、整形外来へ――。

そうして、いつものように座骨神経にブロックして
→ 足の神経節に麻酔薬とステロイドを注入する処置ね
会計を済ませて帰ろうとしたら、麻酔が効き過ぎて右足が動かない!!

ロビーを見渡せど、医療スタッフの姿はないし、事務員さんもまるで気がついてくれない。

ソファにうずくまったまま、途方に暮れていたら、前に座っていたおばちゃんが、ふいと振り向き、

「どうしたの? どこにブロックしたの?……ああ、アタシも前に同じようになったことがあるよ。診察券、貸してごらん。看護婦さん、呼んできてあげるから」
と、遠い整形外来まで看護婦さんを呼びに行ってくれた。

世の中って、そういうものなんだ。
自分の行いは、巡り巡って、また自分の所に帰ってくるのだヨ。

いろいろ考えさせられた外来受診でした。

初稿:1999年

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