アラン・リックマン 魅惑の悪役『ダイ・ハード』『ロビンフッド』

2017年9月21日映画, 好きなものをヨイショする

アラン・リックマンは昔から素敵なのダ

アラン・リックマンといえば、今の若い人には「ハリー・ポッター」のセブルス・スネイプ先生なのでしょうね。

でも、私のようなおばちゃまになると、アラン・リックマンといえば、やはり「ダイ・ハード」の悪役テロリスト。そして英国アカデミー賞助演男優賞を受賞した「ロビンフッド」のノッティンガム司法官。

日本にも成田三樹夫センセイという、コメディからヤクザの悪人まで幅広く演じられる名優さんがいらっしゃいますが、

ロビンフッド

アラン・リックマンも非常に魅力的な悪役を演じています。

「どんな悪役も演じ方次第で印象が変わる。イギリスの名優が『ヴェニスの商人』で悪役シャイロックを演じた時、観客はその演技に涙したのよ」という姫川亜弓お姉さまの言葉通り、アラン・リックマンの悪役は、ナイフのように知的で切れ味鋭く、悪の中にも上品を感じさせるが、どこかお茶目で間が抜けている……というのがポイントでしょう。

一番好きなのが、『ロビンフッド』のノッティンガム司令官。

この作品は、ケヴィン・コスナーの全盛期に制作され、テーマ音楽はディズニーのDVDのCMで耳にされた方も多いのではないかと思います。

ロビンフッドといえば勧善懲悪の典型ですが、悪役が駄目なら、ヒーローも冴えないもの。

ここでは、アラン・リックマンが「とんでもないワルで、野心家で、一見才能ありそうだけど、実は甘えん坊で、間抜けな代官」をお茶目に演じているおかげで、作品自体の魅力が百倍以上にアップしています。

賢哲で逞しいムーア人を演じた、ブレイク前のモーガン・フリーマン(モーガンの出世作はやはり『セブン』です)と、かなり人気が出始めた頃のクリスチャン・スレーターが薄幸な弟役で出演しているのもポイントですが。

アラン・リックマンはとにかく表情豊か(#^^#)

徹底してワルになろうとするけれど、どこか腰砕けで、甘えん坊で、威厳のカケラもないマザコン代官を好演。

心ひそかに劣等感に苦しむキャラクターをユニークに演じています。

スクリーンに登場するだけで、惹きつけられるでしょう。

ロビン・フッド アラン・リックマン

ロビン・フッド アラン・リックマン

ロビン・フッド アラン・リックマン

こっちは代官を支配する魔女。今でいう毒親ですね。

ロビン・フッド アラン・リックマン

一見、この代官、救いようのないアホに見えますが、心の底には純粋なものを持っています。
こちらは、ロビンフッドの幼馴染みで、リチャード国王の従妹でもあるマリアン姫を強奪し、無理矢理に結婚式を挙げる場面。

魔女は「さっさと子種を仕込むんだ」とけしかけますが、「それはきちんと祭壇の前で式を挙げてからだ! 生涯に一度くらい、汚れなきものが欲しいんだよ」の一言に胸をつかれます。

これも脚本の勝利ですね。

この台詞に代官のキャラクターや生き様が集約されているし、また、それを必死の血相で訴えるアラン・リックマンの演技が、この作品の印象を大きく変えたと思います。

ロビン・フッド アラン・リックマン

ROBIN_HOOD(11)

で、司祭の前でコトに及ぼうとするけれど、ロビンフッドたちが場内になだれ込んで「集中できない!」と繊細な一面も見せます・・・。

ロビン・フッド アラン・リックマン

また、この作品には、私の大好きなメアリー・エリザベス・マストラントニオがマリアン姫で出演しています。

繊細な中にも強さと優しさを秘めた、しっかり者を演じればピカ一。

ロビン・フッド エリザベス・マストロヤンニ

エド・ハリスの嫁さん役を演じた『アビス』も、気丈な船乗りの妻を演じた『パーフェクト ストーム 特別版 [DVD]』もいい作品です。

The Perfect Storm パーフェクトストーム

ケヴィン・コスナーも一時期、飛ぶ鳥の勢いでしたが、当たりもあれば、ハズレもあり、どちらかといえば、周りにやっかまれるタイプの俳優さんのように感じます。

映画評論家のおすぎが「自分の顔をあんなドアップで撮らせる男って、ナルシストみたいで嫌い~」とか言うてましたな。

でも、改めて見直してみると、それほど世間に酷評される理由は見つからないし、やっぱ男から見たやっかみじゃないでしょうか。ハンサムだし、スクリーン映えするし。一時期のレオナルド・ディカプリオみたなもんだね。

ロビン・フッド ケビン・コスナー

でも、私はやっぱ、最後のサプライズに登場したショーン・コネリーがええわ。

一度だけ、世界中のどんな人でもデートが叶うとすれば、まじでショーン・コネリーとデートしたいです♥

ロビン・フッド ショーン・コネリー

ダイ・ハード

言わずとしれた、ブルース・ウィリスの出世作。

でも、これもアラン・リックマンの悪役が冴えればこそ。

最初は「冷酷無比なテロリスト」として登場しますが、その正体はテロの名を語る間抜けな盗賊集団。
当然の如く、ブルース・ウィリスにしっちゃかめっちゃかにされて、全滅です。

でも、この時からアラン・リックマンは冴えてましたね。

上等なスーツを身に着けて、無言で銃を放つ。そのスマートな魅力に釘付けになった人も少なくないでしょう。

ダイ・ハード アラン・リックマン

懐かしいタカギ社長。

ダイ・ハード

ダイハードが制作されたのは、まさに日本バブルの絶頂期。
アメリカの有名企業や不動産、世界的名画などを買いあさり、「東洋のサル」と顰蹙をかってた頃ですよ。
皆が小金を持ち始めて、パリやロンドンのような国際観光都市にぞろぞろと団体さまで訪れ、あちこちでパチパチ写真を撮りまくるアジア人の集団と、けっこう蔑まれてたんですよ。
今は日本人が「中国人の爆買い」とかって馬鹿にしてますけど、日本人だって同じ事をしてたんです。バブル期のOLや女子大生がルイ・ヴィトンやシャネルの本店に押し掛けて、キャーキャー騒ぐ、一流店の雰囲気が壊れると、苦情を呈してたこともありますし。中国人が……なんて、笑えないですよ。

そんな最中、テロリストが一際ゴージャスな日系企業のナカトミ・ビルを占拠し、派手に銃をぶっぱなし、屋上にヘリコプターまで突っ込む・・というアクションは、当時のアメリカ人にもずいぶんウケたようです。溜飲が下がるというのですか。

そりゃもう「アジアの猿」とか見下してたのがニューヨークやロサンゼルスに札びらきって乗り込んで、アメリカ人の魂みたいな会社やビルをばんばん買い漁り始めたんだもの。
当時のアメリカ人からすれば、東芝やサンシャインビルがお隣系企業やお隣大富豪に買収されるような気分だったでしょうよ。

でも、それも、とおい、とおい、昔話みたいなもの。

当時は、誰もこのような凋落を予想してなかったと思いますヨ。

これもイヤミだね。日本人は世界的な名画を購入しても、ぐるぐる巻きのまま金庫に放ったらかし、芸術など理解しない人種だって。

ダイ・ハード アラン・リックマン

アラン・リックマンが凄いなと思ったのは、クライマックスのショット。

ビルの窓から転げ落ち、ブルース・ウィリスの嫁さんを道連れにしようとするが、しがみついていた腕時計を外され、あえなく落下・・。

この場面が非常に印象に残りました。「演技の上手い役者さんだな~」と思ってフォローしていたら、今はハリポタのスネイプ先生で大人気です。

マクレーンの奥さんの手首にしがみつき、お前の女房も道連れにしてやるとニンマリ
ダイ・ハード アラン・リックマン

ところがマクレーンが腕時計を外す。(この高級腕時計は昇進のプレゼントとして会社から送られたもの。いわばマクレーンと奥さんの不仲の象徴です)
ダイ・ハード アラン・リックマン

腕時計と共に真っ逆さま。この壮絶な表情がたまらん..
ダイ・ハード アラン・リックマン

この映画のポイントはソ連から亡命したボリショイ・バレエ団の花形ダンサー、アレクサンドル・ゴドゥノフが出演しているところ。(写真左。金髪ロン毛のお兄さん)

この頃、よくソ連から有名人が亡命してましたよね。ミハイル・バリシニコフを筆頭に。

突然、病死したという話ですが、見せしめに消されたんでしょ。

ソ連に関しては、病死説は信じてません(・_・)

ダイ・ハード アラン・リックマン

ダイ・ハードは、確かにそれまでのアクション映画と一線を画していました。

理由その1

主人公がボロボロに傷つく、決してスティーブ・マックイーンやポール・ニューマンのように容姿、人格、能力ともに兼ね備えたスーパーヒーローではない。

70年代から80年代にかけてのアクション映画といえば、主人公はタフで、クールで、すべての弾丸が頭を下げながら脇を通り過ぎ、主人公の撃つ弾は百発百中、ついでに美女にメロメロに愛される・・というのが定番でしたが、ダイ・ハードは「嫁に三行半をつきつけられたダメ男」「根性がありそうで、ヘタレ」「傷つきまくって、ボロボロ」という点が非常に新鮮でした。今ではそういう設定も珍しくありませんが、ダイ・ハード&ブルース・ウィリスは、それまでの「アクション・ヒーロー像」を大きく変えた作品の一つだと思います。

この次に、個性的なシュワちゃんがくるのね。(スタローンはまだランボーあたりでムキムキとやってたけど)

ある意味、「等身大ヒーロー」のはしりかもしれませんね。

理由その2

アクションが派手。

もちろん、70年代から「タワーリング・インフェルノ」や「ポセイドン」みたいな豪華・大型アクション映画はありましたけど、それでもまだ様式美を抜けられないというか、そこには一つの決まりごとがあって、その決まりごとの中でヒーローが定番どおりに活躍するという鉄板があったわけです。

でも、ダイ・ハードで繰り広げられるガンファイト、パトカーの墜落、ヘリコプター爆破、そこには様式美も何もなく、ただただ破壊と爆破があるのみ。

こういうのも今ではまったく珍しくありませんが、ダイ・ハードは群を抜いて早く、派手に、こういうアクションシーンを手がけたように思います。

それだけに当時の観客が度肝を抜かれた、と。

私はTVのロードショーで初めて見たけど、あの小さな画面でも釘付けになったぐらい。
映画館で見たら、もっと衝撃的だったと思いますヨ、当時の映画ファンには。

で、しばらくこういう路線が続いて、そろそろ派手なだけのアクションにも飽きたな~という頃に登場したのが、『MATRIX』です。
あれも日本アニメの手法を取り入れ、本当に画期的でした。

その間に「エイリアン」や「ブレードランナー」もあるけど、単純にアクションといえば、やはりダイ・ハードが一つの大きな変わり目かな、と。

ブルース・ウィリスもすっかりお年を召して、私も淋しい限りだけども、本当に身体を張って一時代を築いた俳優さんだと思います。
そういや、デミ・ムーアと結婚してたんだよなー。懐かしい。。。

そんなわけで、アラン・リックマンのことは「ハリー・ポッターのスネイプ先生」しか知らないという若い方も、興味があれば、上記の2作品をぜひご覧になって下さい。

特にロビン・フッドの悪役代官はとってもチャーミングで見応えがありますよ♪