中森明菜の人気がなくなったのはアムロちゃんのせいではないよ

明菜ちゃんの人気が無くなったのは、安室奈美恵さんが台頭してきたから?

という検索ワードがあったので、一言。

アムロちゃんに人気を奪われたからじゃないの。

アムロちゃんは全く関係ない。

小室ファミリーのせいでもない。

「明菜ちゃんの人気が無くなった」というよりは、

・自殺未遂をしてしまった。

・きっと復活するだろうと、誰もが期待していた。

・でも、期待通りにいかなかった。

・だんだん新曲のリリースやニューアルバムの時期ものびのびになっていった。

・なにより小室ファミリー系の音楽が登場して、いわゆる「日本の歌謡曲」が大きく変質した

・明菜ちゃんは、「古き佳き時代の歌手」だから、迎合するような売り方はできなかった。

・徐々に期待も薄れ、人々の噂にのぼることもなくなった・・

というのが、おおまかな流れだと思います。

それにしても衝撃だったのは、「明菜ちゃんの全盛期を知ってる」というのはオバハンの証であり、「明菜を知らない世代(ついでいうなら、松田聖子の全盛期も)」が世間の真ん中におるのや、という事実です。

まさに『思えば遠くに来たもんだ』の世界だわ。

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明菜ちゃんの全盛期を知らない子でも、ネットで検索すれば、当時、恋人として交際していた近藤真彦(マッチ)の部屋で自傷した出来事は知ってるでしょう。

それが当時、どれほど衝撃的だったか、といえば、、、

(今の日本のアイドルに、明菜ちゃんに喩えられるような人っておるんかなー)

言葉では言い表せないです。

なぜって、当時の明菜ちゃんは歌手としても、アイドルとしても、絶頂期だったし、ライバル・松田聖子を完全に引き離してました。

憂いの美貌に、ありえないようなプロポーション、素晴らしい衣装のセンスに、卓越した歌と踊り。

みんな、アナ雪の松たか子がすごい、と言ってるけども、全盛期の明菜ちゃんの歌唱とは比べものにもならないです。

今もYouTubeで歌謡番組の録画を見られると思うけど、明菜ちゃんは腹の底から発声できる人ですよ。

喉の先でとりあえず音程を合わせてるような歌い方とは訳が違うのです。

それだけにね。

恋も完璧! と、みなが憧れた。

あの美貌に、あの人気。

世の女たちが欲しても到底得られないものを全て手にしたような人が恋愛で躓くなど、誰が考えます?

それでも、そこはやはり男女のこと、人間の世界の話です。

一番欲した男の愛が得られなかった。

これは本当にショックですよ。

しかも自殺未遂の後、「婚約発表」と担がれて記者会見に出てみれば、体裁を取り繕うための「見せかけ」と判明。

それを大晦日に全国区で中継されて、並の女性なら、泣いて、叫んで、もう1回、自殺すしますよ。

それでも明菜ちゃんの歌手としての才能に惚れ込んでいる人は多かったし、この歌謡界の宝をなんとか立ち直らせたいと助力した人もあったそう。

でも、やはりメンタルな部分で躓き、苦境の中で藻掻いているうちに、日本の歌謡音楽そのものが変わってしまった。

明菜ちゃんが歌ってたような、詩的な歌詞があり、メロディラインがあり、いわば教則に則ったような音楽は一気に過去においやられ、小室ファミリー的なものが世間でもてはやされるようになりました。

明菜ちゃんは、小室的な音楽で才能が発揮できるタイプではないから、時代の流れから取り残された面もあったかもしれません。

アムロちゃんに人気を奪われたわけでもなければ、競争に負けたわけでもない。

いろんな不運が重なり、心と現実をドライブすることができなかった・・というのが、理由じゃないかと思います。

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それでも、やはり、私の世代は「明菜ちゃんを信じてる」ファンが少なからずあるのではないでしょうか。

人間性とか、歌唱力の話ではなく、「明菜ちゃんと一時代を生きた」ことの実感と、あのスピリッツはまだ失われていない──という、懐古の気持ちに近いものです。

今さら、昔のように歌えるとは誰も思ってない。

でも、もう一度、表舞台に立って、あの頃、私たちが聞いた「明菜ちゃんの歌は本物だった」という実感が欲しい。

明菜ちゃんなら、どんな辛いことがあっても、歌手としてのプライドを失わず、自分らしい歌を歌い続けてくれる・・というような気持ちです。

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私には、明菜ちゃんの全盛期も、もしかしたらアムロちゃんが「手乗りモンキー」と言われてた頃も知らない若い世代が、YouTubeにアップされている古い動画やWikiなどに書かれている事実をどう受け止めているかは分かりません。

ただ、こういうことを想像して欲しい。

誰の人生にも、思うにならないことは必ず訪れる。

自分の都合などお構いなしに、時代は移り変わっていくし、

求める愛が得られなくても、日本中からバカにされても、

人は生きてゆかなければなりません。

その中で「自分の価値を見出す」のは、自分自身にしか出来ない、ということ。

アイドルとしてチヤホヤされても、満たされないのが人間だということ。

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昔のような大ヒットは飛ばせなくても、スローペースでも、

自分の得意なジャンルの歌をこつこつと歌い続けてる明菜ちゃん。

誰の目にも映る『人気』はなくても、歌手として評価され、ファンがいつまでも見棄てない、本当の意味で「愛されシンガー」だと、私は思います。

Photo:http://akina-milkyway.blogspot.com/p/gallery.html