たまには純粋な名作ドラマも良い / 一番野球が上手いのは広島カープ

2017年9月15日メルマガ書庫

「12球団の中で、一番野球が上手いのは広島や」
むかし、父が言った。

広島カープは、巨人のように派手でもなく、阪神のようにアホでもなく、「努力」とか「根性」とかいう言葉が似合う、玄人集団だ。たとえるなら、下町の職人。
名も無く、地位無く、カネも無く、きちゃない工場の片隅でコツコツのみを振るう「詠み人知らず」の工芸詩人。
鉄人衣笠が、コージ山本が、現役で活躍していた頃、悔しいが広島は野球が上手かった。
「強い」というなら、他にいくらでもいるが、「上手い」となると、限られる。
強いと上手いの間には、人間と神様ぐらいの差があるものだ。
広島の野球は、巨人や阪神のようなお祭り的な要素こそ無いが、観る者を唸らせるようなセンスに溢れていた。
『0対0』の息詰まるような投手戦や、しつこいくらいの延長戦を展開させればピカ一だった。
中でも際立っていたのは、エース北別府の安定感とストッパー津田の見事な職人ぶりだ。
悔しいが、津田が出てきたら、「今日はもう負けやな」と観念するしかなかった。
ランディ・バースさまさま時代の阪神タコヤキ打線が、バッタバッタと討ち取られてゆく様は、敵ながら実にあっぱれだった。
あんな見事な投手が脳腫瘍で早世するなど、誰が想像しえただろう。

今日、フジテレビの『金曜エンタテイメント』で、津田投手のドラマを観る。

どちらかというと、こういうお涙頂戴のドラマは苦手なのだけど、今回は素直に感動できた。

岸谷五朗と石田ひかりの演技も本当に素晴らしかった。
石田ひかりは良い女優に育ったものだ。確実に魅力を増している。
岸谷五朗も余り興味が無かったのだけど、今日の演技を観て、見直した。思いのこもった熱演だった。
津田投手を知らない世代も、心動かされたことだろう。

近頃は、ドロドロを通り越して、奇抜さや異様さばかりを前面に押し出したドラマが多いが、こういう純粋なドラマも時には作られるのだと知って、ちょっと安心。

それにしても、プロ野球の選手も、「上手い!」と唸らせるような職人が本当に少なくなった。
歴史に残る名勝負が見られなくなったのも、選手に芸と魅力が無くなってきたからではないだろうか。
私なんか、未だに、日本シリーズ 近鉄VS広島 最終戦の江夏投手の名リリーフが脳裏に焼きついておりますが・・。

Photo:http://www.nikkansports.com/baseball/news/f-bb-tp0-20120113-888974.html