中野 翠 『もっかご満悦?』 ~十七歳の事件に寄せて

「17歳の凶行」が社会問題と化した頃、週刊誌に掲載されたもの。

記事の中で、中野さんがずばり指摘している『幼く肥大した自意識』、すなわち「少年の自己肥大化」は、世代を超えて広がっているのではないか……という記がする。

ちなみに、この少年は、心の問題から家に引きこもっていた時、「ネオ麦茶」というハンドル名で某掲示板に入り浸り、犯罪予告→実行した第一号として知られている。
もちろん、彼が本当に「ネオ麦茶」だったかどうかは定かではないが。

これ以降、ネットに犯罪予告をしたり、自殺仲間を募ったり……といった事例が急増した記憶がある。

『ネット=自己肥大』と単純には言い切れないが、それを加速させる一要因であるのは確かではないだろうか。

先週号では、あいつぐ十七歳少年による凶悪犯罪に関してついつい気張った文章を書いてしまった。

思ったことをそのまま書いたつもりだが、後味は悪かった。「気張った私」というのはどうも恥ずかしい。いったいなぜなんだか自分でもよくわからないが。

それでこの一週間というもの、若干の反省気分で過ごしていたのだが、昨日(五月十七日)、毎日新聞で次のような記事を目にしたら、反省もむなしく、またまた「気張った私」モードへと突入してしまった。
「大きく報道されうれしい──バス乗っ取り逮捕の少年、乗客殺傷痛み理解できず」という見出しの記事である。

それによると、西鉄バス乗っ取り事件で逮捕された少年は、県警や地検の調べのない時は事件を取り上げた新聞を読み、「(記事が)大きく出ている。目的をだいたい達成できた」と喜んでいるというのだ。ご満悦状態。

こういう子どもに対しては、「悪ふざけもいいかげんにしろーっ」──
この一言しかないような気がしてきますね。

案の定。思ったとおり。「心の闇」だの「サイコパス」だのというようなものではない。たんなる目立ちたがり。とんちんかんなヒロイズム。幼く肥大した自意識。犯罪心理としては、そういったありきたりの言葉で片付けてかまわないタイプのものだと思う。

今、この少年が一番したいことは「オレ様コレクション」なんじゃないかと私は邪推する。新聞やTVや雑誌などに出たオレ様関係の記事やニュースのコレクション。

偉そうな肩書きの大人たちがオレ様について、そっぽを向けた顔をのぞきこむようにして、たいそうな言葉でああだこうだと語ってくれている。重症ではあるがありふれた目立ちたがりやわがままやうぬぼれといった類のものも社会病理として拡大して分析解説してくれているのである。

さぞかし楽しいことだろう。

私のような思いやりも何もないコメントは、きっとお気に召さないにちがいない。

週刊サンデー毎日 6月2日号より (2000年?)

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