Notes of Life

世の中はワルい人を中心に作られる

2014年11月28日

混雑した駐車場でスムーズに行き来するには、一台が出るのを待ってから、次の一台が前に進むのが基本。

ところが、この「たった一分」「たった一台」が待てない人が、我も我もと駐車スペースに進入しようとすることで、混雑した駐車場はいっそう混雑し、乗り降りする人の危険も増す。

世の中の秩序なんて、たった一人の「待てない」「譲らない」で呆気なく乱れるものだとつくづく思う。

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9・11のNYテロの後、何度かアメリカを訪れたことがある。

生後11ヶ月の息子をベビーカーに乗せて入国審査を受けたのだが、その時、ベビーカーはもちろん、息子の着衣やブランケットの中まで調べられたのは驚いた。

おいおい、生後11ヶ月のベビーが飛行機テロでもすると?

だが、実際、「母子連れ」を装ってベビーカーに爆弾や銃を仕込む人、妊婦の振りをして腹に危険物を隠し持つ人、いろんな手口で武器や化学薬品を持ち込む人があるから、赤ん坊の着衣まで調べるのだろう。

もし、見逃して、大勢の人間が死んだら、入国審査官の責任も重大だ。

ベビーカーの中まで疑わねばならない彼らのプレッシャーも察して余りある。

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国際空港を利用する大半の人は、普通のサラリーマンであり、親子連れであり、学生であり、テロや麻薬密売や資金洗浄など全く無縁の生活をしているだろう。

何百万、何千万と行き交う搭乗客の中で、いったい、何人の人間が「広場で銃を乱射しよう」「お腹に爆弾を巻き付けて、満員電車の中で爆発させてやろう」「麻薬を高く売りさばこう」と考えながら飛行機に乗るだろう。

多くの人は、パリに着いたら何を食べよう、テキサスのお祖母ちゃんは元気かな、ニューヨークの会社は承諾してくれるかな、そんなことしか考えないし、まして次の瞬間、自分が事故や事件で命を落とすなど夢にも思わない。

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世の中のルールというのは、ごくごく少数の、「秩序を乱す人」の為に作られる。

店舗や街角には監視カメラが設置され、罰則は強化され、歴史的建造物は立ち入り禁止になり、便利なものも使用禁止になる。

「ここまでやるか」という注意書きも、狂ったように怒鳴り込む一握りのクレーマーの為だ。

何万人、何十万人に一人の「困った人」の為に、その他99パーセントが、バカバカしい基準や罰則に合わせて行動せざるを得なくなる。

そうした基準や罰則があるから(たとえ行き過ぎにせよ)、周りにささやかな思いやりを持ちながら真面目に生きている人々の平和な暮らしが守られている──と言えばそうだけど、時々、真面目に順番を待ってるのが馬鹿らしくなることもありますよね。

あんなえげつないやり方で、やっと空いた駐車スペースにねじ込むようなドライバーを見ていると。

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