Twitterのユーザー離れと論理立て大好きネットの発信者

Twitterのアクティブユーザーが減少し(積極的に投稿する人)、業績もみるみる悪化、身売り話も出ているこの頃。

いつも思うのは、日本人ユーザーはともかく、海外の発信大好きネット住人は「140文字」というのは物足りないだろうな、ということです。

何故って、あの人たち、何でも論理立てて自分の考えを説明するのが好きだから^^;

たとえば、明日、山岳に長距離ドライブに行こうという時。

ジェニファー「(唐突に)私、明日のドライブは気が進まないわ」

マイケル「どうして? 車にはトミーも同乗する。順次、運転を交替して、二時間おきに休憩も入れりゃ、八時間連続ドライブもどうってことないだろ」

ジェニファー「でも、山道のコンディションを考えてよ。丹波篠山と違って、坂も多いし、絶壁もある。トミーの車は、この前もエンジントラブルを起こしたのよ。明日は昼から雨模様というし、この際、計画を見直してはどうかしら」

マイケル「何を言い出すんだ。皆、そのつもりで用意してきてる。今さら、計画の見直しなど出来ないよ」

ジェニファー「どうして出来ないの? 山道で何かあってからでは遅いのよ。トミー、あなたは車のコンディションをどう思う? この前もブレーキでトラブったでしょ。本当に何もないという自信があるの?」

トミー「そうカッカするなよ。あの後、すぐに修理に出したし、今回も出掛ける前にチェックしてもらってる。何も不具合などない。それとも僕の運転に何か不満でもあるのか」

ジェニファー「何もそこまで言ってないわ。私はただ車のコンディションと山道の状況、天気模様に不安があると問題視してるのよ。9号線までは道もフラットだけど、五合目からカーブも多くなる。前回、車がトラブったのは、ブレーキの踏みすぎも原因だったでしょう。そこに降雨が加われば、もっと負荷がかかるわ。二、三時間は平気でも、八時間は持ちこたえられないんじゃないかと心配するのよ」

マイケル「君も神経質だな! 車に関しては、トミーの方が詳しい。万一、トラブルが起きても、保険屋に連絡すればいいだけのことだ」

ジェニファー「もし車がスリップしたらどうなるの? そのままガードレールを突き破って、崖に転落したら? 電話どころじゃ済まないわよ」

マイケル「トミーはスリップするような運転の仕方はしないよ」

ジェニファー「どうして、そう言い切れるの? 私は山道の状況を考えて、この前のように路上に車を止めて応援を呼ぶような事は難しいと判断するから、ここでエクスキューズしてるのよ。だったら、せめてコースを見直すとか、もっと安全なプランを考えない?」

……というような議論が延々と続きます。

この人たち、喧嘩別れするのではないかとハラハラする事も数え切れないほど。

それでも、最後は落とし所を見つけて、翌日は何事もなかったようにドライブに出掛ける、その繰り返しです。

これが日本的な会話になるとどうなるか。

ジェニ子「ねえ、明日、やっぱ予定通りに行くのかな……?」

マイケル男「そうだよ」

ジェニ子「でも、明日、雨だって言ってるよ?」

マイケル男「雨でも大丈夫だろ」

ジェニ子「う……うん……。でも、ホントに、大丈夫なのかなぁ、、なぁんて」

トニ夫「何かあったら、途中で僕が運転代わるから大丈夫だよ」

ジェニ子「そうだよね……」

マイケル男「もしかして、事故が心配?」

ジェニ子「そうそう! それ(やっぱりマイケル男は私の気持ちを分ってくれる!!)」

トニ夫「それならマイケル男とも夕べ話したけど、車検も行ったし、大丈夫だと思うよ」

ジェニ子「二人がそう言うなら大丈夫ね(と自分に言い聞かす)」

自分の不安を論理立てて説明するジェニファーと、一言で察してよ、この雰囲気、ほらほら! のジェニ子の間には大きな違いがあり、どちらが上等という話ではなく、そういうカルチャーなのです。

旅行前夜、盛り上がってる時に、「事故が心配」などと言い出して、周りを白けさせるのはNG、みたいな。

かといって、ジェニファーのように、事あるごとにクドクド言い出すのも面倒だったりしますけどね。

*

Twitterが登場した時も、最初はみな新鮮だったと思うのです。

「今、マイアミに来てる」「これから友だちとバーに行くぜ」「面白いネコの写真を撮った」
「このニュースには憤りを覚える」「みんな、このコラムをどう思う?」

でも、根本的に、「なぜ、そう思うのか」「何が問題か」「解決策は何か」「反証はどうか」と、筋道を立てて説明するのが好きな人には物足りないツールですよね。

誤解も生じるし、その考えに至るまでの背景を伝えることもできない。

いきなり結論だけ突きつけるような論法や、その「一言」からいろんなものを読み取って欲しいというエアな願望は、ジェニファーの世界では敬遠する人の方が多いかもしれません。

とりわけ、ネットをコミュニケーション・ツールではなく、自分の考えを伝える手段と捉えている人には、「一言」だけを見て、全て分ったような感じになって欲しくない。

書き始めた動機や、結論に至るまでの道筋、自身の中の反証や疑問なども併せて、トータルに理解して欲しいから、そうなると140文字の制限があるTwitterより、がっつり書けるBLOG、知人監視のFacebookより、いろんな人が行き交うBLOG、という風になっていくと思うのです。

あるいは、Twitterで発信の楽しさを知った人が、もっとディープでロジカルな世界を求めて、BLOGに駒を進めることもあるでしょう。

そういう意味では、Twitterが発信の間口を広げ、十分に育ったユーザーをBLOGに向かわせるという、Twitterにとっては皮肉な展開になったのかもしれません。

*

多くの人は、制限枠の中で書き続けると、いつしか、制限の中で表現するスタイルが身につくものです。

たとえば、新聞の『天声人語』みたいに、毎週『2000字』といった枠の中で文章を仕上げるのが習慣になると、いちいち文字数をカウントしなくても、2000字で収まるスタイルになっていく。

Twitterも、「140字文体」が確立され、140字に収まるように思考するのがパターン化している人も少なくないのではないでしょうか。

もしかしたら、遠い将来、俳句や短歌に並んで、「140字文体」なるジャンルが確立されるかもしれません。

でも、時には、「なぜ、自分はそう思うのか」「どこが、どのように問題なのか」「他に結論はないか」といった事を、筋道立てて書くのも楽しいですよ。

言葉の中でDRAGON QUESTする……というか、最初の書き出しとは全く違った結論に着地することもありますしね。

さて、Twitterの将来はどうなりますか。

「140字文体」の感覚を知り尽くしたジェニ子圏の企業に買収され、「エア会話」をいっそうサポートする機能(顔文字、スタンプ、相手に知られずフォローを外す影フォロワー、禁止ワードの含まれるリプライは自動的に遮断(本人設定)、等々)が取り入れられる・・というのも、決してフィクションではない気がします。

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プロフィール

阿月まり

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