ものすごくいい曲なのに、周りの誰も知らないし、メディアで話題にもならないと、

「もしかして、『この曲がいい』と思っているのは、世界中に私一人だけ・・とか?!」

という気分にさせられることがある。

別に、世界中で私一人がその曲のファンだったとしても、ちっとも差し支えないのだけれど、その曲の素晴らしさを誰とも分かち合えないのは淋しいし、「何それ?」みたいな言い方をされると腹も立つ。

それに、知名度の低い、マイナーな曲であればあるほど、早々にお店やレンタル屋から姿を消して、最悪、CDが廃盤になってしまう可能性も高い。

そして、何らかの事情でダビングした音源を無くしたら、ファンにとってはまさに『幻の逸品』となり、「もう一度聴きたい」という激しい希求を抱えたまま、いつまでもその曲の遠い響きを心の片隅で追い続けることになるのだ。

私にとっては、スウィング・アウト・シスターの『コニー・アイランド Coney Island』がそうだった。

意識して出会ったわけじゃない。

「スウィング・アウト・シスター」という名前すら知らなかった。

図書館のCD貸し出しコーナーで、「爽やか」とか何とかいうジャケットの謳い文句に惹かれて手が伸びたにすぎない。

まさに「暇つぶし」の一枚だった。

しかし家に帰って、プレイヤーにかけた途端、完全にノックアウトされた。

ジャズでもない、ポップスでもない、どこにもない新しさだった。

実際、スウィング・アウト・シスターがどのジャンルに属するかと言えば、「スムーズジャズ」とか「AOR」とか、いろんな主張があって、どれもが正解のようで、どれにも当てはまらない(というより、収まらない)。
似たような系統のアーティストとしては、リサ・スタンスフィールド、シャカタク、リー・リトナーなどが挙げられるようだが、それともちょっと異なる。

彼らの音楽は、まさに「万華鏡」。

スウィングの代表作であり、上記の「Coney Island Man」が収録されているアルバム『カレイドスコープ・ワールド』そのままに、いろんな音楽の断片を、光のモザイクのように繋ぎ合わせたようだ。

かといって、よくある「癒し系」の音楽でもなく、いつまでも心に残る『何か』を感じさせる。

時にレトロに、時にゴージャスに繰り広げられるSOS(スウィング・アウト・シスターの略称)の世界は、まさに万華鏡のように、多彩な響きをもって聞こえてくるのである。

そんなSOSを構成しているのは、たった2人のアーティスト。

キーボード担当のアンディ・コーネル(Andy Connell)と、後から加わったヴォーカルのコリーン・ドリュリー(Corinne Drewery)である。【初期に参加していたドラムのマーティン・ジャクソン(Martin Jackson)は音楽性の違いから1989年に脱退】

結成されたのは1984年だから、まさに『80年代』を絵に描いたような「あの頃のアーティスト」である。

そう言えば懐かしいような気もするし、あの系統かという感じもする。

でも、それらと一線画したいのは、やはりこの「Coney Island Man」を筆頭に、オリジナリティにあふれているからだ。

「この曲がいいと思っているのは、もしかして世界中で私一人??」なんて淋しい思いもしてきたけれど、やはり「本当にいいもの」は、他の人にも「いいもの」なんだな。YouTubeのコメントを見て納得した。

まるで南海を吹き抜ける風のような眩しさと温かさ。

グラマーでゴージャスなコリーンのスキャットが素晴らしい。

この曲を聴いていると、無性に、一人暮らしのあの部屋に帰りたくなる。

Swing Out Sister Coney Island Man
/video/swing_coney.flv

空に突き抜けるような透明感。スウィングの持ち味が発揮されたヒット曲。

Swing Out Sister Forever Blue
/video/swing_blue.flv

こちらもコリーンのスキャットが冴えるインストゥルメンタル。

Swing Out Sister Alpine Crossing
/video/swing_alpine.flv

スウィングらしいポップな逸品。

Swing Out Sister Surrender
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