その「さよならメール」がうざいんだよ。

彼氏への未練を断ち切るために。

あるいは、二人の関係をきれいに終わらせて、前向きに生きるために。

最後の「さよならメール」を書いて送る人は、少なくないと思います。

自分があなたと出会って、どれだけ幸せだったか。大きく成長できたか。

今もとても好きだけど、このまま、ずるずる付き合い続けてもお互いの為じゃないから、お別れします。

今までどうもありがとう。

あなたの幸せをいつまでも祈り続けています。

etc

彼にこの決意と感謝と思いやりを分かって欲しい、伝えたい!!

ってことで、最後の一通、「さよならメール」を書いてると思うのですが、

ちょっと想像してみて下さい。

***

中学時代から友達してるベタ子ちゃん。

最近、話も合わないし、価値観も違うし、遊ぶならA子ちゃんの方が断然面白い。

でも、面と向かって「もう友達、やめよう。ベタ子と付き合っても退屈。しんどい」と言うわけにもいかない。

このままフェードアウトしてくれたら、一番ありがたいんだけど、なんか、しつこく、しつこく、誘いの電話がかかってくるんだよなー。

空気、読めよ。

もうあんたとは遊びたくないんだって。

こっちから折り返し連絡しなかったら、なんとなく分かるでしょ。

あ~、もう~、うっとうしい。

そしたら、一ヶ月後、ドーンとメールが来た。

*

今まであんなに仲良くしてたのに、最近、冷たいね。

もう私と遊ぶの、イヤなの?

私はまだ田中ちゃんのこと好きだよ。

田中ちゃんには、いつも色んなことを教えられるし、人間としても尊敬してるの。

私も田中ちゃんみたいになりたい。

でも、田中ちゃんが私のこと、重荷に感じてるなら、その理由を教えて欲しいの。

このまま、何も言ってもらえなかったら、私もどうしていいか分からない。。。

いつでも返事待ってます。

P.S 今度、みんなで女子会やるんだけど、よかったら来てね。みんな喜ぶよ~

*

自分はフェードアウトしたいのに、こんな切々とメールを送られたらイヤでしょ? 重いでしょ?

あなた、彼氏にそれと同じことしてるわけ。

連絡もない、理由も説明しない、喋りたいとも思わない。

正直、消えたいわけよ。

なのに、「さよならメール」だの「私の気持ちを分かって下さいメール」だの送りつけられたら、余計でオエってなるわけ。

こんなメール、何回送りつけたって無駄だし、

「さよならが言いたい」というのは、あなたの自己満足であって、向こうはとにかく「消えてくれ」と望んでいるにちがいない。

そこにいくらネジ込んでも、駄目なものは駄目、余計で鬱陶しがられるだけなんですね。

*

里中満智子さんの「アリエスの乙女たち」という漫画に、こういう場面があります。

司クンの昔の恋人・敬子が、いきなりヒロイン路美のところにやってきて、

「司はあなたを愛してるのよ。どうか、司のところに行ってあげて」と懇願します。

路美はそれを司に伝え、「敬子さんはいい人だわ。心底あなたを愛しているのね」と、少しは敬子のことを顧みるよう促します。

すると司はこう答えます。

違う。なんとしてでも俺に感謝されたいという気持ちがあるんだ。ああ、いい子だ、優しい子だと思わせることによって、少しでも愛を繋ぎ止めたいんだ。見えすいている。本当の自己犠牲なら、相手の気付かないところでやるはずだ

*

さよならメールで、自分がいかに成長したか、幸せだったか、どういう経緯で別れを思い至ったか、あなたに負担をかけたくないか、あなたの幸せを祈っているか、等々、ほとんど自己満足の境地で書き綴っている人も、自分をいい子に見せることで、彼の気持ちを少しでも繋ぎ止めようとしてるのが本音じゃないですか?

気持ちに踏ん切り付けたいというのは、あくまで自分の都合。

相手に自分の気持ちや考えをくどくど説明するのは、やはり心のどこかで期待してるからだと思いますよ。

私の忍耐や思いやりを知れば、彼も思い直してくれる、って。

*

終わったものは、終わったんだ、と。

相手から感謝の言葉や別れの言葉を聞かなくても、自分の中でスパっと終わらせる勇気も持ちましょう。

なんとしても相手から自分の納得行く理由を引きだそうとするのは、しつこいベタ子ちゃんの「私たち、お友達でしょう」メールと同じだと思いません?

相手の自分に対する好意や情熱が冷めたことを自覚して認めることは誰にとっても辛い現実ですが、長い人生の一瞬の痛みに耐えることで、あとあと、ずいぶん違ってくるものです。

そこまで「別れの儀式」に固執するのも、あまり賢明とはいえないかもしれません。

§ 本でも読もう

昭和の香りがぷんぷんする少女漫画ですけど、この作品には、今時の女性が知りたい恋愛、男心、結婚、女の生き方、すべて詰まってます。里中満智子先生の最高傑作といってもいい。

あんたらホンマに高校生かい!! というような濃厚かつ奥の深い作品なので、ぜひ図書館で借りて、ご覧くださいね。目が覚めると思いますよ。