Notes of Life

労働相談苦情処理システム(1) 創設に至る背景

2014年11月7日

[alert type=”success”]以下の資料は2000年に調べ物をしていた時に入手したものです。現在の内容とは異なりますし、自治体によって労働相談のサービスも異なりますので、あくまで参考にご覧ください。 [/alert]

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職場で問題が生じた時、いきなり労働監督署とか、組合とか、法律事務所とか、普通の人には簡単に行けるものではないです。

しかしながら、自治体によっては、労使専門の弁護士が無料で相談に乗ってくれて(情報は守秘されます)、場合によっては、企業のトップや労務の責任者に直接掛け合って下さいます。

また、企業側の人事部や労務の担当を交えて話し合いの場も設けて下さいます。

費用はオール無料です。(自治体によって異なります)

職場で不当な扱いを受けた時、泣き寝入りしなくても、いきなり労働監督署や労組や法律事務所に行かなくても「完全無料でこういう社会サービスが使える」ということも知っていただけたらと思います。

また、これから類似の社会サービス構築を検討中の団体、個人、その他にとっても参考になれば幸いです。
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労働相談苦情処理システム

豊中市労働相談苦情処理システム

創設に至る背景

私達が職場で雇用や労働条件について何らかのトラブルを抱えたとき、何をよりどころに解決を図ればよく、どのような解決方法を求めることができるのでしょうか。

たとえば、賃金が支払われなかったり、些細な理由で解雇されることがよくあります。当事者の話し合いで解決できればよいのですが、そうでない場合、だれしも労働基準監督所に申告すれば、なんとかなるのではないか、と考えるのが普通です。賃金が支払われないといったようなケースは、明らかに労働基準法違反といえるからです。

ところで、

労働基準法とは、

1)最低労働条件基準を定めるとともに、使用者に対し、その最低基準を遵守すべき義務を負わせる

2)法違反の使用者に対して刑罰を科すことができる

ことを内容とする法律です。

そして、法違反の事実について監督期間に対する労働者の申告権を規定して、監督期間の権限の発動を促すことを認め、その罰則を背景とした圧力によって違反行為の発生を未然に防止し、終息させる働きを持たせています。

ありていにいえば、

★ 法に定める最低基準を割るようなことをされたら、労働者は監督署へ行ってきなさい、調べて指導、勧告をしてあげます。

★ それでも是正されないのであれば使用者に刑罰を科しますよ、刑罰がいやなら使用者はせめて最低基準は守りなさい、というような作用を前提とした法律なのです。

ところが、このような作用が期待できない場合は申告です。労働基準法違反については、罰金刑や懲役刑が罰則として定められています。
しかし、この刑事上の制裁も、一罰百戒的意味があって一定の効果はありますが、それだけでは被害を蒙った労働者にとって直接救済の実があるわけではないのです。

すなわち、賃金未払い事件でたとえ使用者に刑罰が科せられたとしても、その未払い賃金が確実に労働者に支払われるかといえば、必ずしもそうではないのです。刑罰を科せられた使用者が支払いに応じない限り、労働者は民事訴訟手続きによる救済を求めるほかありません。

また、解雇事件にあっても、労働基準法は30日前の予告(または解雇予告手当ての支払い)、労働災害療養休業期間や産前産後休業期間およびその後30日間の解雇禁止を定めるのみで、他に解雇制限要件を定めていません。したがって、上記要件に該当しない解雇事件では、その解雇の理由をめぐり、民法の規定を援用して、最終的には裁判による民事上の救済を求めるほかないのです。

現実にこのような場面に出会った労働者は、どのような手段をとっているのでしょうか。

訴訟手続きは煩雑ですし、お金もかかり、時間もかかります。よしんば勝訴したとしても、得るものといえば、なにがしかの未払い賃金か、解雇事件でいえばもとの従業員としての地位だけです。

加えて実際、円満に復帰できる保証は何もありません。

それゆえ、解雇事件では、当初は解雇の無効を主張する人も、結局はその大部分が泣き寝入りするか、解雇予告手当ての支払いを請求する途を選択してしまっているというのが現実です。

解雇予告手当ての支払いは労働基準法上の規定であり、労働基準監督所への申告という比較的簡便な手法で目的の一部が達せられるからです。(とはいっても、使用者がこれを支払わない限り民事訴訟による救済を求めるほかないことは、前述したとおりです)。

このような事例は何も賃金や解雇だけには限りません。権利義務の存否、ないようについての解釈適用を争う「権利紛争」については、ことごとく同じ道をたどります。
とりわけ、パートタイム労働者や臨時社員、アルバイト等の権利紛争に至っては、もともと保護されるべき「権利」の内容が些少である場合が多く、このため現実問題として泣き寝入りせざるをえないケースがあとを絶ちませんでした。

この根本的解決のためには、迅速かつ妥当な解決を図り得る行政的な労働紛争調整制度や機関が用意されなければなりません。ところが、そのような個別労働関係紛争についての行政的な労働紛争調整制度や機関は都道府県はもちろん、国のレベルでも存在しません。(注1)。 またヨーロッパ諸国にみられるような、簡便な労働裁判所制度も日本には存在しません(注2)。

このように、誰が見ても不合理であることが明らかな場合、これを行政的な労働紛争調整制度や機関がないからといって放置し、「民事訴訟で争いなさい、費用も時間もかかりますが」というだけでは、著しく社会的公正に欠けるといわざるをえないでしょう。

労働相談にたずさわる者の持つこのような宿命的なジレンマをなんとか解消したい、迅速かつ妥当な解決へと導く行政的調整制度を市レベルでなんとか用意したいとの思いを具体化したのが「豊中市労働相談苦情処理システム」です。

このパンフレットは「豊中市労働相談苦情処理システム」のあらましをご紹介するために作成したものです。

紛争というものはどの分野のものであれ、お互いの関係を気まずくさせるものです。できれば未然に防止するにこしたことはありません。

大多数の自立した事業所の皆さんにはこのシステムが無縁の存在であり続けますように、また、ひとたびトラブルが発生したのであれば、このシステムをご利用いただき、解決のお役に立つことを願ってやみません。

(注1)

労働関係を規律する行政的調整制度としては、集団的労働関係紛争の調整についての労働委員会制度や労働保険の適用についての不服審査請求の制度がありますが、個別労働関係紛争をめぐっては、雇用の分野における男女差別事件を調停する機会均等調停委員会を見るのみです。

(注2)

ドイツでは労働裁判所制度があり、毎年30万件を超える訴訟が第一審として提起され、そのうち85%以上が6ヶ月以内に解決しています。同様に、フランス、イギリス、イタリアなどにおいても独自の労働裁判制度がありますが、日本では労働事件の特殊性に配慮された制度がないため、地方裁判所に提起される労働事件は年間1万件程度(仮処分申請を含む)にすぎません。

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