労働相談苦情処理システム(2) 労働紛争調整委員による「あっせん」

以下の資料は2000年に調べ物をしていた時に入手したものです。現在の内容とは異なりますし、自治体によって労働相談のサービスも異なりますので、あくまで参考にご覧ください。
職場で問題が生じた時、いきなり労働監督署とか、組合とか、法律事務所とか、普通の人には簡単に行けるものではないです。

しかしながら、自治体によっては、労使専門の弁護士が無料で相談に乗ってくれて(情報は守秘されます)、場合によっては、企業のトップや労務の責任者に直接掛け合って下さいます。

また、企業側の人事部や労務の担当を交えて話し合いの場も設けて下さいます。

費用はオール無料です。(自治体によって異なります)

職場で不当な扱いを受けた時、泣き寝入りしなくても、いきなり労働監督署や労組や法律事務所に行かなくても「完全無料でこういう社会サービスが使える」ということも知っていただけたらと思います。

また、これから類似の社会サービス構築を検討中の団体、個人、その他にとっても参考になれば幸いです。

労働相談苦情処理システム

Ⅰ “あっせん”とは

『勤労者相談室」に寄せられた相談例のうち、個別労働紛争であって、当事者間の努力によってもなお解決しないものについて、紛争当事者の申し出により、「豊中市労働紛争調整委員」によるあっせんを受けることができます。このあっせんには、労働法の研究者や弁護士があたります。

ここで、あっせんとは、あっせん委員が両紛争当事者の間に立って、双方の主張の争点を確かめ、当事者の自主的な相互の歩み寄りを図ることにより解決に導く方法のことで、強制的に両当事者を拘束する仲裁や、調停委員が主導的に解決に導く調停よりも消極的な方法ですが、それだけに弾力的な解決が期待できるところから、早期解決のための最も簡易な手続きです。

このあっせんは、非公開で行われますから、秘密は保持されます。

あっせんにかかる費用はいただきません。(無料)

Ⅱ あっせんの対象

あっせんは、個別労働紛争であって、当該紛争の性質上あっせんによる解決が適当と認められる事件を対象とします。

ただし、次に掲げる事件についてはあっせんの対象としません。これらの事件については、別に法令などで調整手続や解決手段が定められていることによるものです。

① 行政処分または刑事処分を求める事件

② 労働組合と使用者との間の集団的労使関係紛争

③ 労働組合と当該労働組合員との間の紛争

④ 公務員と国および国の機関または地方公共団体との間の紛争

事業主の皆さんへ

各企業の雇用管理に関する従業員の苦情や労使間の紛争は、本来当事者間または当該労使間で自主的に解決することが望ましいものです。したがって、事業所内に労使により構成される苦情処理機関や人事担当者による相談窓口を設けるなど、自主的な苦情処理の為の仕組みをつくるよう努めてください。

それでもなお解決しない場合は、上記「豊中市労働紛争調整委員」によるあっせんに解決をゆだねることを、当該従業員にお勧めください。

トラブルの私的整理の段階で、“事件屋”や“整理屋”が介入し、反対に紛争当事者が食い物にされるケースもよくありますから、妥当な解決を迅速に図るためにも、公的な機関での解決をおすすめします。

Ⅲ あっせんの申し立て

あっせんを申し立てることができる方は、左記①~③のいずれかに該当する方です。

労使関係者のどちらからでも申し立てをすることができます。

① 紛争当事者であって、市内に居住している方

② 紛争当事者が死亡している場合にあっては、当該紛争にかかる権利継承者で市内に居住している方

③ 市の区域内にある事業場で発生した紛争の当事者

紛争当事者の双方から申し立てがあった場合は、直ちにあっせん手続きに入りますが、一方からの申し立てがあった場合は、他方の紛争当事者があっせんを行うことに同意したときに限ってあっせん手続きに入ります。

機会均等調停委員会との調整

男女雇用機会均等法に定める男女差別事件については、都道府県婦人少年室に設置された「機会均等調停委員会」に対して調停を申し立てることができます。この調停を申し立てた当該事件については、「あっせん」の対象から除外します。

ただし、当該事件であっても、民事訴訟等による解決をご希望の場合は、後述する訴訟費用の貸付けの対象とします。

Ⅳ あっせんの手続き

あっせんは、市長があらかじめ委嘱している労働法の研究者、弁護士等で構成する「豊中市労働紛争調整委員会」(以下「調整委員会」といいます)に付託して行います。具体的には、調整委員会における協議により、あっせんの担当を受託した豊中市労働紛争調整委員(以下「あっせん委員」といいます)により開始します。

紛争当事者は、あっせん手続きにおいて弁護士または調整委員会の承認を得た方を代理人とすることができます。この場合、委任された代理人の権限は、書面をもって証明していただきます。

あっせん委員は、紛争当事者間をあっせんし、双方の主張の要点を確かめ、事件が公正に解決されるよう努めます。この際、あっせん委員から、必要に応じ、紛争当事者に対して関係書類等の提出を求めることがありますが、迅速な解決を図るためにもできるだけご協力ください。

あっせん作業が煮詰まってきますと、調整委員会は、あっせんに付された事件についてあっせん案を作成することができることになっています。このあっせん案については、紛争当事者双方の申し出を待って、作成することを原則とします。

あっせん手続きは非公開で行います。また、このあっせんに関与したあっせん委員、調整委員会のメンバーには、別途守秘義務を課しており、また、事務局の市職員には地方公務員法により守秘義務が課せられていますから、秘密は厳守されます。

事業主の皆さんへ

このあっせんは、前述したように、労働法の研究者や弁護士であるあっせん委員が両紛争当事者の間に立って、双方の主張の争点を確かめ、当事者の自主的な相互の歩み寄りを図ることにより紛争を解決に導くものです。

あっせんの過程では、紛争発生までの事実経過やそれぞれの言い分をお聞きします。この場での主張や発言の自由は保障しますし、他にこれを漏らすこともありません。また、発言したことで後日不利益が課せられることももちろんありません。そして、あっせん委員の側から、法の定める最低基準やその解釈、社会的通念についてご説明し、お互いの意見の交換の中から条理にかなった解決をめざすことになります。

このあっせんは、あくまでも任意に行われるものですから、あっせん案に納得できなければ、修正を求めることもできますし、これを最終的に拒否することもできます。しかし、このあっせんの成否のカギは、最終的には相互の歩み寄りにあるといっても過言ではありません。あっせんを受けられる当事者の方は、条理にかなった解決を早期に実現するためにも、できるだけ妥協調整にご協力くださるようお願いします。

Ⅴ あっせんの終結

紛争当事者双方があっせん案を受託したときに、あっせんは終結します。あっせんの結果得られた解決案は、原則として文書にこれを記し、当事者双方に署名捺印していただきます。これは、このあっせんがあくまでも任意の手続きであり、公法的・司法的拘束力を持たないところから、民事上の契約文書として取り交わしておき、それぞれの履行を担保しようとするものです。必要であれば、合意の上公正証書として作成することはもとより可能です。

当事者の一方があっせんに応じない時やあっせん継続が困難なときは、あっせんを打切ります。

あっせんの打切り後であっても、労働者の主張に相当の理由があると認められる場合、労働者の側からは後述する訴訟の提起や仲裁の申し立てもでき、一定の条件を満たした場合には費用の貸付けを受けることができます。

事業主および使用者の皆さんは、労働者があっせんの申し立てや訴訟費用の貸付け申請など、権利侵害の救済等を申し立てたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他の不利益な取り扱いをしないで下さい。
苦情や紛争の妥当な解決や被害の救済を求める権利は保障されており、一般にこのような不利益処分は公序良俗に反し、また権利の濫用とみられることから、民事上無効と解釈されるからです。

なお、労働基準法違反の事実を「行政官庁または労働基準監督官」に申告」したことを理由として不利益取り扱いすることは、労働基準法によって禁止され、罰則も設けられています。(労働基準法第104条第2項、同第119条第1号)。

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