Notes of Life

成功の秘訣は体力にあり・魔性の難問「リーマン予想」

2012年3月1日

90年代半ば、ある新興宗教団体の凶悪犯罪が社会問題になった時、日本の理数系のトップエリートを象徴するような人材が幹部に名前を連ねているのを見て、ワイドショーに出演していた科学畑のコメンテーターがこんなことを言っていました。

Q.なぜ並外れて優秀な人たちが、あんないかがわしい教祖の言うことを信じたのか。理数系と宗教はミスマッチに思うが?

「この世の現象というのは、大半を理論で解明することができる。だが、それらを極限まで突き詰めれば、最後の残り数パーセントのところで、どうしても理屈で解明できない部分に行き当たる。その時、人は神を見るのだ」

だから、理数系の人間が、宗教や神秘という、理論で説明のつかない世界に惹きつけられても何ら不思議なことはない、というのがコメンテーターの論旨です。(彼らの教えを肯定しているわけではありません、念のため)

まあ、物心ついた時から脳の片側しか使ったことがなくて、数学・物理・化学は致命的に苦手、今ようやく維持している数学的能力といえばスーパーで釣り銭を勘定する時ぐらい……という私にしたら、数学とか生業にするというだけでアンビリーバブルだし、そんなエラーイ人でも解けない問題があるんだ! という点にちょっと慰められたりするんですが、でも人生かけて突き詰めているような人にしてみたら、その「数パーセント」に心を狂わされて、ついには自分の掲げるテーマと逆のベクトルに新しい価値観を見出したりするんでしょうね。

前に、理数系のサイトで、その世界にどっぷりはまっている人には、風で木の葉が舞うのも、岩場で波しぶきが上がるのも、子供が蹴ったボールが地上に落下するのも、全部、数式だか幾何学かに見えるんだ、という話を読んだことがありますが、もしかしたら、理数系の世界観というのは、目に見える数値の部分ではなく、不可視な部分がベースになっているのかもしれませんね。「理屈っぽい」のではなく、まず最初に「分からない部分」があって、その上に理屈が成り立つ、というか。「1+1」は5かもしれないし、ー4かもしれない、ということを、言葉で表現しようとする文系人間の逆です。

で。

そんな数学界で魔性の難問と言われるのが「リーマン予想」。一瞬、リーマン・ショックか、サラリーマンの経済予想かと思いますが、リーマン予想とは、19世紀のドイツの数学者リーマンによって提唱された「ゼータ関数の零点の分布に関する予想」だそうです。……と言われても、私にはなんのことだかさっぱり分かりません。

リーマン予想

で、

このリーマン予想と、これに挑む数学者のエピソードを紹介したTVスペシャル番組が放送され、私自身は楽しませてもらったのですが、専門家が見れば「トンデモ数学者のルイ・ド・ブランジュを主人公に据えるとはけしからん」「リーマン予想というものを全く分かっていない」とのこと。うーむ、私レベルの素人には、こういう問題が存在する、と分かっただけでも収穫大だったのですけどね。

このリーマン予想も、究極の目標は、「宇宙創成の鍵」。素数の配列ルールを解き明かすことで、万物を構成する宇宙の法則に近づける──という、壮大なお話です。

「数と宇宙にどんな関係があるねん?」とツッコミたくなりますが、人間の身体にも数の不思議があって、人間の呼吸数は海洋の波が浜辺に打ち寄せる回数(1分間15前後)とほぼ同じ、女性の生理の標準周期は月の満ち欠けと同じ28日、大人の標準心拍数も「何か」の数と同じなんですよ。探せば宇宙や地球のものといろいろ共通する部分が多いそうです。

で、このリーマン予想も『原子核のエネルギー間隔を表す式と一致する事を示し、素数と核物理現象との関連性が示唆された』とのことから、完全に証明されれば、宇宙の物質を構成する法則の理解に近づくのだそうです。(違ってたらすいませーん(汗)

いわば宇宙のルーツ探しですよ。それが分かれば、明日にも野菜が値下がりするわけではないですが、人類の意識革命が起こり、第二の宗教が誕生するかもしれません。それこそ霊魂なんてものが科学的に証明されて、「肉体が死んだら、あっちの世界に生まれ変わるんですよ」なんて話になれば、人間の死生観そのものが変わってしまいますからね。

でも、私がこの番組を見てつくづく思ったのは、「人間、最後にモノをいうのは体力だよな」ということ。ブランジュという高齢の数学者がルームランナーで身体を鍛える場面から始まるこの番組、数学界の魔性の難問を解き明かすにあたって、本当に必要なのは「健康な肉体」という、誰もが分かっていそうで、けっこう蔑ろにしている事実を示唆しています。中には、スティーヴン・ホーキングのように難治性の病気にかかり、「車椅子の物理学者」と呼ばれているような人もあるけれど、普通一般の人間がやりたいことをやろうと思ったら、やはり「健康で元気な肉体があってこそ」ではないかしら。

それに、多くの人は、30代か40代ぐらいで勝ったの、負けたの、と、人生を見切ったような気持ちになり、実際、40代以降なんて、ほとんど将来固定されているような感じですが、それでもその気になれば──健康な肉体さえあれば──60代でも、70代でも、魔性の難問に挑めるということ、これは大きな励みじゃないでしょうか。

そういえば、早坂茂三も、その著書の中で、「この世は元気で長生きした者の勝ち」みたいに書いてましたよ。田中角栄は働き盛りに脳溢血で倒れ言語能力に支障をきたしたけども、角栄の前で何度も敗北を味わった宿敵・福田赳夫は80代までピンシャンと生きて、ゴルフだ宴会だと楽しみ、政財界にも隠然たる力を持ち続けている。現役時代、勝ったの負けたのと騒いでみても、こうなったら何が本当の勝ちか分からない、といった話です。

そう考えると、凡人が老後に残された最大の財産は「健康な肉体」であり、それさえあれば、60代や70代になってからでも、人生というのは何度でもチャレンジが叶うのかもしれません。

そうと分かったところで、さあ! おうちにウォーキング・マシンを買おう!

「リーマン予想」を見て、頭の体操では泣く、腹筋トレーニングを始めたわたくしです(笑)。

全編、YouTubeにアップされてます。お早めに。

動画をクリックするとYouYubeに飛びます。そこから動画を辿ってください。全部で6パート。

※動画は削除されました。

DVDはこちら。

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