ポーランドの捨てイノシシ

5月 12日, 2003年 in ポーランドの暮らしと文化

ダンナのお父さんのお友達の招きで、森の中の別荘に行った時のことです。

別荘の周りの森林は、ヨーロッパでも随一を誇る狩猟区で、シーズン中はヨーロッパ各国から腕利きのハンターが集まるのだとか。

「森を見せてあげよう」

というお友達の好意で、なんとなんと、トラクターの荷台に乗って、森の奥深くを散策(?)した私たち。

トラクターの荷台に乗るのも初めてなら、狩猟区に足を踏み入れるのも初めてで、いったい、どんな動物が出てくるのかしら・・・と思っていたら、早速、見つけたのです。

木々の間の小道に、野生の鹿が二匹、並んで立って、黒い大きな瞳でじっとこちらを見ているではありませんか。

私も、奈良公園にうじゃうじゃと生息し、観光客が鹿センベイを差し出せば、怒濤のように押し寄せる飼い慣らされた鹿なら見たことがありますが、森の中に生活する野生の鹿を見るのは本当に初めて。

「ああ、やっぱりポーランドに来て良かった・・・」

なんて感慨にひたりながら、トラクターの荷台に揺られていると、やがて森が開け、一面、トウモロコシが植えられた草原に差し掛かりました。

トウモロコシは、動物をおびき寄せるために植えられたもので、木々の間には、目立たぬように、高さ10メートルほどある木の櫓が建てられており、訪れたハンターはここに待機して、獲物が現れるのを待つらしい。

そうして、木の櫓に登ったり、トウモロコシ畑を眺めていると、ざざーっと草を掻き分ける音がして、何かと思えば、なんとイノシシの子供四匹が元気よく駆け寄ってくるじゃあないですか。

体長は約70㎝ほど、「うり坊」よりちょっと成長した感じ。

いずれも鼻をブコブコ鳴らしながら、人間を恐れる気配すらなくトラクターに近寄ってくるので、メチャびっくりしました。

しかも、お父さんのお友達のおじさんと来たら、いきなりイノシシの口と鼻を押さえて、バタバタ暴れる手足を腕で抱え込むようにして捕獲。

「咬まないから、触ってごらん」

なんて言われて、私、生まれて初めて、野生のイノシシの身体に触りましたよ。

いつ咬まれるか、襲われるかと、生きた心地がしませんでしたけど。

おじさんの話では、通常、人間が子供イノシシに近づくと、母イノシシが現れて大変な事になるらしい。

ところが、この子供達、妙に人に馴れていて、母親が現れないところを見ると、前に誰かに飼われていた「捨てイノシシ」らしい。

恐らく、凶暴になってきたので、四匹まとめて森に捨てられたのだと。

捨て犬や捨て猫なんてものじゃない、『捨てイノシシ』ですよ、あなた。

さすが森と湖の国、ポーランドですね。いや、びっくりしました。

ま、捨てられたといっても、広大な森で元気に生活しているのだから、イノシシにとっては、捨てられた方が幸せだったんでしょうけど。

そのうち、『捨て馬』や『捨て牛』、『捨てニワトリ』にも遭遇するのかしら・・・と思いつつ、森を後にしましたが、トラクターといい、野生の鹿といい、イノシシといい、ポーランドにいると、日本では滅多にお目にかかれないような物に出会う機会が非常に多いです。

……あ、ニワトリといえば、たまに『脱走ニワトリ』が車道を駆け回ってますよ。

庭先の金網の綻びから逃げだしたんでしょうね。

キョトンとした顔で車道に立っていることがあります。

けっこう、コワイです。

- ポーランドの僻地の平原 第二次大戦中は戦場となり、たくさんの村人が犠牲になった場所 -

ポーランド 平原

[ 記 2003年 ]

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