青空市場

8月 20日, 2003年 in ポーランドの暮らしと文化

農業の盛んなポーランドには青空市場が多い。
郊外はもちろん、市の中心部にも、かなり大規模な青空市場があって、いつも大勢の買い物客で賑わっている。

売られているのは、トマト、人参、玉ネギ、パプリカなどの野菜をはじめ、ブルーベリー、ラズベリー、桃、りんごといった果物、ノートや額絵、下着やストッキングといった文房具・雑貨類、古書、ホームメードのチーズやヨーグルト、ネジやスパナ、電気機器の部品まで売っている。
(中には盗品があることも)

店舗の数も、10や20ではない。
それこそ、市の中心部の空き地に、ひしめくように40~60ぐらいの店舗が軒を連ねている。

もっとも、「店舗」といっても、木の板を組み合わせて作ったようなトタン屋根の屋台が中心で、中には、大きな屋台の軒下を借りるように、おばあさんが木の箱に腰掛けて、地べたに広げた段ボール紙の上に幾ばくかの野菜や果物を並べ、スモモをかじりながら商いしていたりする。
うっかりすると、踏みつけてしまいそうだ。

それでも、野菜や果物の新鮮さ、美味しさといったら、この上ない。
市内とはいえ、農場はすぐそこだから、毎日のように摘みたての野菜や果物が市場に並ぶ。
値段も、キロ当たり30~40円前後。
ポーランド・マネーに換算すれば、決して安くはないが、それでもスーパーマーケットで買うよりはるかに安くて、美味しい。

私も、野菜や果物を買うなら「青空市場で」と聞いていたが、スーパーと違って、市場では口頭でやりとりしなければならないので、なかなか出掛ける気になれなかった。
スーパーなら、値札やレジ表示に頼れるが、市場では、自分で必要な数を注文して、自分の耳で値段を聞き取らなければならないからだ。
しかも、たくさんの人が次から次にやって来るので、いちいちメモ書きしてもらう事も出来ない。

そんな訳で、青空市場からはずっと足が遠ざかっていたのだが、最近、数が分かるようになってきたので、市場にも一人で出掛けるようになった。
値段もたいてい「80グロシ」とか「2ズオティ50グロシ」とか、大まかに設定されているので、数も聞き取りやすいし、ややこしい端数の計算をする必要もないからだ。

とりあえず、「ジャガイモ500グラム」とか、「スモモ10個」とか、必要な物を必要な数だけ言う。
そうすれば、店の人が適当に良い品を選んで袋に詰めてくれるか、あるいは、店の人が袋を渡してくれるので、それに好きなだけ詰めて、店の人に分かれば、その場で測って、値段を教えてくれる。

慣れないうちは、それさえ勇気が要ったけど、最近はそのやり取りが面白い。
中には、「日本人が来た!」とばかり、

「お前が応対しろよ」
「いや、お前がやれよ」

なんて、押し付け合いになる事もあり、申し訳ないながらも、見ていて楽しい。

家族・友人の集まりになると、どうしても彼が一緒で、何かと甘える事が多いが、こういう場所に一人で来ると、「何が何でも」という気持ちになるので、自分にとっても本当に為になるような気がする。

そうして、新鮮な野菜や果物があふれかえった青空市場を歩いていると、ふと日本の家族や友人の顔が思い浮かぶ。

今年は、例年にない冷夏で、農作物の出来も悪く、値段が高騰しているとか。

皆をここに招くことが出来たら、どんなに感激するだろうと思いつつ、今の今まで、リンゴの樹など見たこともなかった都会ッ子の私が、思いがけなく大地の恵みを得られたことに感謝せずにいないこの頃である。

- ポーランドの市場 -

ポーランド 青空市場

記:03/08/20 (水)

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