日本の食卓 ~ポーランドで和食をリクエストされた時

外国に行った時、一番困るのが、
「日本料理を作ってちょうだい」
というリクエスト。

そりゃあ、私も日本女性ですから、作れと言われれば、二、三品はすぐにご用意できますけど、醤油もダシの素もみりんも日本酒も無い所で日本料理を作れと言われても、それはちょっと難しい話なんですね。
食材だって、日本のスーパーで売られているような人参や大根は手に入りません。
まして、油揚げや切り干し大根、ひじきにワカメ、椎茸にエノキダケ、ぶり、イカ、タコ、シシャモ、、、、日本の食卓に欠かせないこれら食材は、ポーランドでは逆立ちしたって手に入りません。

アメリカの大都市なら、中国系や韓国系の移民さんが経営されるオリエンタル・ストアで、日本の主な調味料(ヤマキの鰹だしパックやキッコーマンの薄口しょうゆ、みりん等)や乾燥ワカメ、油揚げ、豆腐など手に入れることができますが、たいていは中国産、韓国産で、日本のものとはずいぶん質が違います。

外国で、「日本料理を作ってちょうだい」とリクエストされる事は、タネも仕掛けも無い所で手品をやれと言われているのと同じなんですね。

Mr.マリックでさえ、100円玉ぐらいは用意してくるもんです。

これは日本料理を作った経験のある外国の方にしか分からないと思うのですが、日本料理って、欧米の料理とは根本的に違うんですね。

欧米の料理は、肉と野菜を煮込んで作ったブイヨンスープ、あるいはバターやオイルをベースに使いますが、日本料理はカツオや昆布出汁がベースです。
また、欧米の料理は味付けにスパイスやハーブを使いますが、日本料理は、砂糖や醤油、酒とみりんを上手にコンビネーションさせる事により味を調えます。

また、これも大きな特徴の一つですが、日本人が醤油と砂糖をミックスした「甘辛い」味を好むのに対して、欧米の料理では、砂糖はほとんど使いません。
料理に甘みをつける時は、キャベツや玉ネギといった糖分の多い野菜や果物を加えて、味を調えるんですね。

ですから、欧米の料理の後には、デザートが付くのです。
メインディッシュで摂取できなかった糖分(甘み)を、ケーキやゼリー、チョコレートなどで補うのです。
欧米のデザートがこてこてに甘いのも、メインディッシュにほとんど砂糖を使わないからなんですよ。

それを日本人が真似すると、「肉じゃが」の糖分とケーキの糖分のダブル摂取で、ぶくぶくに肥っちゃう・・という訳ですね(゚_゚;)

でも、日本料理をまったく口にしたことのない欧米の方、寿司かミソスープぐらいしか食べたことのない方には、その違いが分からないのでしょう。
バターやオリーブオイル、ローリエやバジルやブラックペッパーといった、オイルやスパイスの類がずらりと並んだ戸棚を開けて、
「さあ、日本料理を作ってちょうだい。どれでも好きな調味料を使っていいわよ」
と言われても、こっちは包丁片手に「ウーム・・・」と唸らざるをえないんですね。

ある意味、現在の日本の食卓は、非常にバラエティに富んでいると言ってもいいのかもしれません。
純粋な日本料理をはじめ、ハンバーグ、コロッケ、スパゲティ、カレー、グラタン、ピザ、ステーキ、餃子、麻婆豆腐、エビチリ、キムチ、、、まるで食の万国博覧会といった感じですよね。
ポーランドではまず考えらえない事です。
産業の発達したアメリカでも同様です。

言い換えれば、日本はそれだけ豊富な食材が入ってくる世界有数の輸入国という証ですが、かといって、その利を上手に生かしているかといえば、一概にそうとも言えません。
家族の食生活がバラバラで、それぞれが好き勝手な時間に、好き勝手なものを食べているという話はよく聞きますし、ご飯を食べずにお菓子でお腹を膨らませている子供も近頃は多いそうです。
何でもインスタントで済ます「チン妻」や、ローソンに頼り切りの「コンビニ妻」や「デパちか妻」、パック詰めの惣菜をそのまま食卓に出す「手抜き妻」なんてのもありますし、豊かになれば豊かになった分、手抜きも出てくるのは当たり前なのかもしれません。

それにしても、「日本人」というだけで、欧米の方が「あっ」と驚くような何かを持っていると期待されるのも、なかなかシンドイものです。

学生時代、たまたまお会いしたインド人の方に、相手が喜ぶだろうと思って、「カレーを作って下さい」と言ったことがありますが、今思えば、そのインド人の方も、行く先々で、「カレー攻め」にあって、うんざりされていたかもしれません。

- ポーランドの一般的な家庭料理のスタイル -

ポーランド家庭料理

記:03/03/05 (水)

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Comments

  1. 紗知 9月 8, 2009

    阿月まりサン

    こんにちは。
    以前1ー2度投稿させていただきました、ポーランド人の彼と付き合って5ヶ月になります、紗知です。
    たくさんの過去記事、少しずつですが、いつも楽しく拝見しています♪

    この夏、数週間ですが、ドイツに留学中の彼の元に来ています。
    8月の下旬には1週間、彼の実家を含めてポーランドに滞在しました。
    Wieliczkaの岩塩坑,Krakówの町並み,それからWarszawaはもちろん,Wrocławでの小人探し…夏のポーランドはとっても明るくて素敵でした☆
    阿月さんの記事にありました、Gdańskにも行ってみたかったです。先日Westerplatteでの式典の様子を新聞で興味深く読んだところです。
    帰国が迫り、時間の流れを恨む気持ちを今必死に押さえています。

    この数週間、私も日本料理に関して、台所で同じ気持ちでいました。
    年々日本食材はヨーロッパで身近になっているようですが、料理の苦手な私にとっては工夫やアレンジで乗り切るといった気の利いた試みなどできず、彼の前で意気込んで宣言しては、何度ももどかしい思いをしていました。
    そんな中でだしの素の代わりに、と母が教えてくれたのが、「とっても薄めたケチャップ」でした。。疑い半分で親子丼を作ってみたのですが、効いているのか効いていないのか…何だかそれらしく完成したのでした。

    言いようもない寂しさや時々もどかしさもあるけれど、なによりもポーランドでの思い出を心強く思います。
    阿月サンのブログ、寂しいときは特に読みたくなります!!これから寒くなりますが、お体に気をつけてお過ごし下さい。
    サチ

    • 阿月まり 9月 9, 2009

      紗知さん、こんにちは。
      度々、コメントありがとうございます(^^)

      ポーランドを訪問されたのですね。
      下旬なら天気も良く、楽しい旅行になったことでしょう。
      Gdańskも次の機会にぜひ訪れて下さいね。

      サバイバル和食は慣れですよ。
      ギリギリまで追い込まれたら、きっと自分で作り出せるようになりますよ。
      私も、どうしても、コーンポタージュ・スープや中華スープが食べたくなって、
      そうなって初めて、自分のオリジナルレシピを思いついたのですし(笑)
      それでも出汁の素だけは高いお金を払っても通販に頼らざるをえないですね。
      薄めたケチャップ……確かに、煮ているかもしれませんね。

      紗知さんもあまり結果を急がず、今日という日を大切に、楽しく過ごして下さいね。
      すべての物事はちゃんと辻褄が合うようになってますから。

      また何かあったら、カキコして下さいね。ではでは~ (^^)/~~~

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