自国の歴史

1月 30日, 2003年 in 海外生活エッセー blog

フロリダに居た時、話の流れから原爆の話題になって、彼にこんな事を言われたことがありました。

「アメリカやヨーロッパで広島や長崎の話をしてごらん。みんな、原爆が落とされたのは仕方がない、って言うよ」

あっけらかんと言われたので、何だか腹が立って、

「でもあれは悪い事だよ。たくさんの市民を無差別に殺したんだから」

と答えると、

「でも、そのおかげで日本は戦争を止めたんじゃないか。欧米では、みんなそう思ってるよ」

と返され、それ以上何も言えませんでした。

私の中に相手を論破できるだけの確かなものが無かったからです。

もし皆さんが同じ質問をされたら、何と答えますか?

昨今は、学校でも家庭でも、戦争教育みたいなものはほとんど為されてないように思います。

とにかく「戦争は悪いこと」の一点張りで、そこに至るまでの経緯とか、事実はどうだったのだとか、歴史の核心に触れることは全てシャットアウトされているような気がするからです。

私が小学生の時、担任の先生がおっしゃいました。

「俺はお前たちに近代史を教えてやりたい。特に第二次大戦から戦後にかけての出来事を十分に説明してやりたい。だがなあ、今のカリキュラムでは、近代史を教える時間はほとんど無いんや。というより、お前たちに日本の立場から近代史を教えることは、ものすごく難しいことなんや」

その時は言葉の意味が分からなかったけれど、昨今の教科書問題や靖国参拝のニュースを見ると、先生が何を言わんとしていたか、分かるような気がします。

学生時代を振り返ってみても、藤原鎌足がどうしたとか、関ヶ原の戦いがどうだったとか、そういう事は頭の中に残っていますけど、近代史になると、まず十分に授業を受けたという記憶がありません。せいぜい明治から昭和初期、二・二六事件のあたりまで、それも教科書をすっ飛ばすように終わってしまったという印象があります。

もちろん、大和や鎌倉の歴史も大切ですが、やはり現代に生きる私たち若い世代が一番学ばなければならないのは近代史ではないでしょうか。

今日を形作った近代の流れを学ばずして、未来のあり方、国のあり方、文化や社会に対する考え方は見出せないからです。

私たちと同世代の外国の人々を見ていて、切実に感じるのは、日本人は日本の事をあまりにも知らなさすぎる、ということ。

欧米文化を取り入れるのは得意だけど、肝心な自国の文化や歴史については、後回しになっているような気がします。

たとえ知識や言語を習得しても、日本人としてベースになるもの、たとえば自国の歴史に対する考え方とか文化や日本語に対する愛情や誇り、そういう確固たるものが無ければ、外国の人々と堂々と渡り合うことは出来ないような気がします。

私たちの生活はとても便利で豊かになりましたが、一方で、何かが空っぽになりつつあるような気がします。

私たちは世界中の情報を瞬時に取り入れることが出来ますが、日本から世界に向けて発信できるものは、果たしてどれほどあるでしょうか。

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