『ポーランドで運転免許を取得する!』
そう決心したのは、2007年秋の事でした。
政治的理由(?)は、「日本の免許書の期限が切れて、書面での現地免許書への切り替えが出来なくなったため」ですが、真の理由は、
「10年以上のペーパードライバーであり、右側通行でMT車を運転する自信が全くない(特に、積雪の時期)」
日本では、レンタカーのAT車をちょろっと運転しただけで、30万円近くかけて取得した運転免許証は、レンタルショップやカラオケBOXでメンバーズカードを作成する時に提示する、『非常に高価な身分証明書』と化していたのです(涙)
それだけに、ポーランドに移住しても、「自分で運転しよう」などとは露ほども考えず、夫の運転に任せきっていたのですが、子供の通園も始まり、行動範囲も広がってきたので、ついに重い腰を上げて、「免許取るぞー」と心を決めたのでした。
とはいえ、現地語ベタな日本人のお守りをしてくれる自動車学校など、そうそうございません。
ワルシャワやクラクフあたりの大都市に行けば、外国人向けの英語コースを用意している学校もあるのですが、我が町のように、日本から嫁いできたというだけで地元新聞にデカデカと報じられるような所では、そんなサービスは皆無です。
かといって、スクール探しに時間をかけるわけにもいかないし、一体どうしたものかと頭を抱えていた時に、知り合いの方を通じて、「日本人でもOKよ♪」というスクールを紹介して頂いたのでした。
さあ、どんな所かなー、日本の教習所みたいにド~ンと大きなコースがあるのかしら・・と思いきや、呼び出された場所はなんと市立の商業高校。
なんと、スクールの教官は商業高校の教師でもあり、路上教習のインストラクターはそのご主人という、夫婦善哉な私塾だったのです!
「だ、大丈夫なのか・・」
不安は見事に的中しました。
奥さまの講義にテキストはなく、重要事項はすべてプロジェクターに写し出される資料を手書きする・・というもの。
読み上げられた文章をその場でノートに書き取るわけですが、「poboczu(路肩)」「cofanie(後退)」など、今まで使ったこともない言葉がどんどん出てくる上、他の生徒さんはさすがポーランド人(当たり前か)だけあって、書き取るスピードがとんでもなく速い!
私一人がノロノロ、モタモタと躓き、「すいません、綴りが分かりません・・」と何度も授業を中断する始末。
が、そこはさすがに高校の教師だけあって、イライラせかせかしない。
私のペースに併せて、非常に丁寧に、辛抱強く教えて下さったのでした。
とはいえ、即座に意味が理解できるわけではありません。
当然のことながら、辞書が要ります。
でも、ほとんどの交通専門用語は、一般人が使うような小型の日ポ辞書には載ってないんですね(泣)
そんなわけで、講義開始から1週間も経たないうちに私はパニックになり、「これはもう英語で受験するしかない」と思い詰め、日本大使館をも巻き込んで(スミマセン・・)、ワルシャワの自動車学校に問い合わせたり、他のドライビングスクールに相談に行ったりしたのです。
そして、「ポーランド語での受験は無理。ワルシャワまで行って、英語で受験する」といった旨を教官に話すと、
「Spokój (落ち着きなさい)! あなたは必ず受かる、大丈夫だから!!」
そう言われて見せられたのが、2008年度の想定問題490問が収録されたCD-ROMでした。
実は、ポーランドの学科試験はあらかじめ内容が決まっていて、コンピューターによって抽出された18問を解答するシステムになっていたのです。
私はてっきり、大学入試のように毎年出題傾向が変わるものと思っていましたから、制限時間24分内で、辞書も使わず質問を理解し、正答することなど絶対に不可能だと思い込んでいたのでした。
でも、あらかじめ問題が決まっていて、その中の18問を解答する――となれば話は別です。
その490問を完全にマスターすればいいのです。
そうと知って、やっと気持ちが落ち着いた私。
1日2時間~4時間の猛勉強が始まりました。
内容自体はなんてことない、ちょっと常識で考えれば分かるような質問が大半なのに、現地語ベタな私の場合、「転回」「牽引」「ハイビーム」「レッカー移動」「縦列駐車」といったあらゆる交通専門用語を辞書で調べるところから始めなければなりません。
でも、載っていない単語の方が圧倒的に多く、ポーランド語独特の言い回しもあります。(優先権を譲る、とか)
ポーランド語のテキストだけでは到底理解できなかったので、英語版のテキストも取り寄せました。
それでかなり救われました。
最後は、ほとんど丸覚えでした(爆)
そこまで必死にやっても、現地の受験生に比べたら言葉の面で絶対的に不利で、ほんと、ど~なることかと心配のし通しでしたが、結果は、仮試験(路上教習に出る前)も、本試験も、「Nie ma błąd (間違いなし)」のパーフェクト解答
それだけはちょっぴり誇らしかった私です。
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