12日の月曜日、妊娠が確定してから初めての出血がありました。
それも薄い出血ではなく、便器が真っ赤に染まるような、新鮮血です。
が、あいにく、彼はアメリカに出張中で、何としても自力で主治医に連絡を取って、診察をお願いしなければならない。
主治医も、そこそこに英語が通じるとはいえ、パーフェクトに意思の疎通が図れるわけではないし、また私も、ポーランド語で詳しく状況を説明できるレベルではなかったけれど、へのごの言って躊躇している場合ではないし、とにかく出血している事だけでも伝えなければ、と、主治医の携帯電話に何度もコールしたのですが、これがまったく繋がらない。
医局に電話しても、「ドクターは不在です」という答えしか返ってこないし、どうしようかと困っていたら、非常にタイミングよく彼からの電話。特殊なセンサーでも付いているのかしら、って思うぐらいでした。
で、彼に状況を説明して、彼の方からお父さんの身内の方に連絡を取ってもらって、三十分後には主治医の代理のドクターに診察してもらうことが出来たのですが、意外と何とかなったのに、我ながら驚きました。
私も、看護婦の経験から、「何を、どのように症状を説明すれば良いか」というコツが分かっていたので、つたないポーランド語でも、しっかり状況が伝わったのも幸いしたのかもしれません。
診察の結果、出血は流産の兆候ではなく、子宮を保護する粘膜の一部がポリープ化した部分からのもので、妊婦にはよくあるケースだということが分かり、大事には至らなかったのですが、本当に冷や汗をかいた瞬間でした。
念のため、数日間、自宅での床上安静を指示され、金曜日あたりから起き出して、ご飯を作ったりしているのですが、身に堪えたのは出血ではなく、むしろ、自分の胎児に対する気持ちと、彼の不在でした。
いくら嬉しい妊娠でも、胃痛や吐き気、異様な眠気や体のだるさが何週間も続くと、さすがに苦痛になってくるものです。
だって、右を向いても、左を向いても、上を向いても、起きあがっても、胃の裏返るような苦しさが朝から晩まで、次の日も、その次の日も、延々と続くんです。
しかも、私の場合、食欲をそそりそうな梅干しやオジャコ、いなり寿司やきつねうどんといった食べ物がまったく入手不可ですから、そのストレスたるや多大なものなんですね。
そうなると、正直に、お腹にいるものが非常に辛く感じられる。
いくら頭では、「私の体調が悪いのは、赤ちゃんが元気に育っている証拠」と分かっていても、人間、そんな明るい気持で苦痛に耐えられるものではないのです。
で、とうとう、「いやだ、いやだ」と思い始めた先週の終わりに、今までにない腹痛が始まりました。そして、月曜日の出血。
いくら超音波で元気な胎児の姿を確認し、ドクターに「まったく心配ないですよ」と言われても、自分の気持ちを反映して流れてしまうのではないかと、床上安静の数日間、怯え、苦しみ、本当に深く反省しました。
思えば、そういう私の気持ちに活を入れるべく、赤ちゃんが脅しの出血を引き起こしたのかもしれませんね(^_^;)
また、その間、いろいろ考えたのは、私と子供のことだけでなく、彼の不在についても同様でした。
お互いにとって、非常に重要なこの時期、いくら仕事でやむおえないとはいえ、夫婦は離ればなれになるものではないな、と。
前にも、彼の出張で、三週間ほど離れたことがあったのですが、その時は私も元気でピンピンしていましたから、さほどストレスになることはありませんでした。
でも、今回はこのような状況で、しかも出血騒動があった為、私はもちろん、彼もヘトヘトで、一緒にいればさほど大きな問題にはならなかったことが、お互いに、必要以上に堪えてしまったのです。
世の中には、ご主人が長距離航海士だったり、国際派ビジネスマンだったり、いろんな都合から、長期間離ればなれになる夫婦も多いですが、それも状況によりけりで、お互いストレスになるようなら、やはり方法を考えなければならないと思いました。
自分では大丈夫なつもりでも、やはり誤魔化せないものが、身にも心にもあるからです。
今後、子供が産まれて、物心つくようになれば、「夫の不在」「父親の不在」の影響は、もっとはっきりした形で現れてくるでしょう。
その時、私たちが優先しなければならないことは、まず「夫婦の心の安定」であり、状況に私たちが合わすのではなく、状況を私たちに合うように変えていくことが第一だと思いました。
なぜなら、どんな小さなストレスも、無視して良いものなど夫婦の間にはない、と思うからです。
それを第一に考えれば、どんな状況が訪れようと、家族にとってより良い方法が見つけ出せるのではないでしょうか。
今回の出血騒ぎは、大事には至りませんでしたが、いろんな事を考えるきっかけになりました。
そういう事を全身全霊で経験できる『女性』というのは、いろんな苦しみを伴う一方、豊かで恵まれた性なのかな、と思わずにいません。
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