寺山修司 宝石の詩

2017年9月11日書籍と絵画

ガーネット

もしも 思い出をかためて
一つの石にすることが出来るならば
あの日二人で眺めた夕焼の空を
石にしてしまいたい と
女は手紙に書きました

その返事に 恋人が送ってよこしたのは
ガーネットの指輪でした

あかい小さなガーネットの指輪を 見つめていると
二人はいつでも
婚約した日のことを思い出すのです

ガブリエル・ロセッティ【最愛の人】 寺山修司

ダイヤモンド

木という字を一つ書きました

一本じゃかわいそうだから と思って

もう一本ならべると

林という字になりました

淋しいという字を じっと見ていると

二本の木が なぜ涙ぐんでいるのか よくわかる

ほんとに愛しはじめたときにだけ

淋しさが訪れるのです

猫と淑女 寺山修司

真珠

もしも あたしがおとなになって
けっこんして こどもをうむようになったら
お月さまをみて
ひとりでになみだをながすことも
なくなるだろう と
さかなの女の子はおもいました

だからこの大切ななみだを
海のみずとまじりあわないように
だいじにとっておきたい と
貝のなかにしまいました

そして さかなの女の子はおとなになって
そのことを忘れてしまいました

でも 真珠はいつまでも 貝のなかで
女の子がむかえにきてくれるのを
まっていたのです

さかなの女の子 それは だれだ?

Water Baby

§ 寺山修司のおすすめ本

鬼才・寺山修司の優しい一面が結晶した新感覚の詩集。
「少女」と銘打ってはあるが、世代や性別を超えて人を惹きつけるロマンティシズムにあふれている。
まさに「詩人の溜め息」と言うにふさわしい、美しくも儚さを感じさせる傑作。

文学・音楽・歌謡曲など、寺山の心を打った名言や名台詞をピックアップ。
説教くさい、堅苦しいものでなく、人の心の淋しさや人生の奥深さを謳った言葉が集められている。
手軽に読める一冊。

まさに「芸術的回答」としか言いようのない寺山の人生相談集。
友情、恋愛、社会、身の回りのことなど、高校生のたわいもない質問に寺山が独自の感性と人生観をもって答える。
その大人の機知に富んだ回答には唸らされるばかり。必読のオススメ本です。
詳しくは、寺山修司の人生相談をご参照下さい。

※こちらで寺山修司のタイトル一覧が参照できます。→ Amazon.jp 寺山修司の本