谷川俊太郎の詩  ~空の青さを見つめていると~

空の青さを見つめていると

空の青さを見つめていると
私に帰るところがあるような気がする
だが雲を通ってきた明るさは
もはや空へは帰ってゆかない

陽は絶えず豪華に捨てている
夜になっても私たちは拾うのに忙しい
人はすべていやしい生まれなので
樹のように豊かに休むことがない

窓があふれたものを切りとっている
私は宇宙以外の部屋を欲しない
そのため私は人と不和になる

在ることは空間や時間を傷つけることだ
そして痛みがむしろ私を責める
私が去ると私の健康が戻ってくるだろう

マックスフィールド・パリッシュ【星】
マックスフィールド・パリッシュ【星】

Kiss

目をつぶると世界が遠ざか
やさしさの重みだけが
いつまでも私を確かめている……

沈黙は静かな夜となって
約束のように私たちをめぐる

それは今 距てるものではなく
むしろ私たちをとりかこむ やさしい遠さだ
そのため私たちはふと ひとりのようになる……

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