もう二度と
この道を帰ることはないと分かっていても
ふと 後ろを振り返りたくなる
遠い一人ぼっちの部屋が
懐かしくなる
あれは私だけの光
畳の上に差し込む
やわらかい春の陽ざし
涙のしみた押し入れの隅にも
あたたかな光を投げかける
心がすっかり癒えたとき
片道切符を手に旅立った
一人ぼっちの部屋を
後ろ手で閉ざして
もう二度と
戻ることはないとわかっていても
あの一人の日々が懐かしい
ひたむきだった頃が
満ち足りた心は
なんと多くの悲しみを
消し去ってしまうことか
人は幸せを求めながらも
悲しみにこそ魂の美を感じる
涙という宝石
あれこそが人生の本当の素晴らしさ
苦い恋の痛みも 振り返ってみれば
くちづけのように甘い
幸せへの切符
それはまた
人生の最も美しい日々に
別れを告げる片道切符
もろく 透明な 魂だけで生き続けた日々よ
言葉の中に 永遠に
その輝きをとどめて欲しい
いつでも会いに行けるように
そして 今こそ
あの日の私を
抱きしめられるように
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