魔夜峰央のパタリロは究極の二次創作(褒め言葉)

魔夜峰央先生のパタリロが舞台かされると聞いて、ビックリ。

どんな様相になるのか、野際陽子の月影先生くらいのインパクトはあるのか、ニュース記事をのぞきにいったら、想像以上にお似合いで二度ビックリ。役者さんの演技魂となりきりポーズに感嘆しました。どうもありがとう(^^) 
特にバンコラン役の青木玄徳さんには青い薔薇の花束を100本ぐらい差し上げたい気分です♪

同時に、こんな淋しい情報も。

90年に「花とゆめ」での掲載が終わり、その後掲載誌を移るうち人気も下火に。パタリロ以外の仕事も減り、2010年ごろからは生活費にも困るようになった。宝石収集が趣味だったが、妻に贈った宝石類も食いつなぐために手放した。

私も二十年以上前から興味が無くなり、どうされてるのかなーと思っていましたが、こんな厳しい状況にいらっしゃったとは。

それでも、何かの機縁で復活されたなら、素直に悦ばしく感じます。

思うに、パタリロって、究極の二次創作なんですよね。

二次創作というのは、真のオリジナル漫画家である魔夜先生に大変失礼かもしれませんが、「ノリ」として捉えて頂ければ分かりやすいかと思います。

たとえば、

「どうぞ、僕は君からもらう」

この台詞を聞いて、ギャハハと笑える読者が、現在にどれ位いるでしょう。

私、および、初期パタリロのノリを共有していた熱心なファンなら、すぐに元ネタが分かると思います。

どの作品の、何巻の、どんなシチュエーションで、どのキャラが、どんなポーズで発したか、コマ割りの仕方まで鮮明に思い出せるはずですよ。

そして、初期パタリロに登場する多くのギャグ、多くの設定は、萩尾望都、竹宮恵子、池田理代子、山岸凉子、青池保子といった、いわゆる「少女漫画の24年組」の名作をベースにしたものが多いです。

初期パタリロの読者は、魔夜峰央の読者であると同時に、これらの熱心な読者でもあるんですね。

彼らはまた、これらの作品をきっかけに、西洋史、西洋美術、ヨーロッパの銀幕名画、ジャン・コクトー、エドガー・アラン・ポー、オスカー・ワイルド、レイ・ブラッドベリといった耽美&SF小説や世界名作文学に傾倒していった「意識高い系読者」でもある。

だから、パタリロが自由の女神(ドラクロワ)の衣装を着たり、バラの花を手にしたり、「ビヨルン」という名前の少年が登場したり、ジルベールの真似をするだけで、「ギャハハ」と笑える。

その笑いは、まさに『オタクの笑い』なんです。

24年組の作品に耽溺し、またそれらの元ネタである古今東西の名作文学、映画、絵画などに親しみのある人にだけ通じるギャグが満載なのです。

だから、何も知らない人が読んでも、何がどう面白いのか、さっぱり分からない。

それはキャプテン翼の同人誌を手にとって、「クラブハウス」ネタに笑えないのとよく似ています。

そもそも東邦学園・クラブハウスって何?

その時点で、笑いのツボが大きくずれてしまうんですね。

パタリロにも同様の宿命があり、元ネタが分からない人には、あのギャグの面白さは半分も理解できないでしょう。

ただ、まんじゅうみたいなキャラクターが、美少年とふざけてドタバタやってるぐらいにしか映らないと思います。

そういう意味で、パタリロというのは、『究極の二次創作』の側面を持っているのです。

そして、時間とは残酷です。

初期パタリロのギャグを理解した意識高い系の読者もおっさん、おばさんになり、漫画から卒業してしまいます。

そして、今は24年組の作品が好んで読まれる時代ではない。

まして、少女漫画をきっかけに世界史や世界文学を読みあさり、ロシアやドイツにまで行ってしまうようなバカ、尖った読者も少数ではないでしょうか。

そうなれば、パタリロの真骨頂である二次創作的な笑いは通用しなくなり、魔夜先生と若い読者の間に乖離が生じるのは必至でしょう。

「腕が落ちた」というよりは、「その世界観を理解する読者が減った」というのが本当のところではないかと思います。

それでも、埼玉の漫画は見直されているようですし、初期パタリロの異様なテンションの高さは白眉のものですから、これから新規読者も開拓できるかもしれません。

そして、パタリロを手に取った人には、ぜひ24年組の作品にも目を向けて欲しい。

ジャン・コクトーやレイ・ブラッドベリ、エドガー・アラン・ポーやオスカー・ワイルドといった耽美派の小説を読みこなし、そこから更に進んで、歴史や美術などにも興味を持ってもらえたらと思います。

ともあれ、魔夜先生には「ありがとう」の言葉しかないですよ。

私もパタリロを通じて、悪魔アスタロト、デ・ビアス(世界的なダイヤモンド販売会社)、ビヨルン・アンドレンセン(ベニスに死す)、などを知りましたから。

これからもお元気で。ご活躍をお祈りしています(*^^*)

パタリロに必須の教科書

これを読んでない人はモグリでしょ。これがきっかけで「黒猫」「黄金虫」を読んだ人も多いのでは。

ここに描かれる少年愛(性愛)は、もはや芸術の域。

少女漫画スパイもの第一人者です。私は「イブの息子たち」が好きだけど。

ベルばらに関しては、原作より、宝塚ネタの方が多かった記憶があります。

特に榛名由梨や鳳蘭の時代の話ですね。

「人はマリネラの麻美れいと呼ぶ」に笑える読者が、今、どれくらいいるでしょうか。

パタリロ

ある意味、パタリロを読んで、瞬時に元ネタを理解し、ギャグのセンスを共有した読者は、漫画の黄金期を支えた層でもあるでしょう。

最近、漫画も売れないみたいだけど、「自分の好きな作品しか興味がない」では、上下左右の広がりも無いだろうと思います。

この辺りの作品は、元ネタが分からないと、理解できなかった。

友だちに「これ、どういう意味?」と教えを請えば、「あんた、『変奏曲』を読んだ事ないのっ?」と叱られて、それに付随するコミックや小説をドサドサ手渡されたのが、私の時代の漫画ファンです。

みんな、とにかく、よく「物を知ってた」よね。映画でも、歴史でも。

多分、今も同人界あたりにはゴロゴロしてると思うけど、みんな頑張れよ!! 

ハマれば、人生楽しいぞ!!

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阿月まり

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