ウミガメ

6-10 臆病なウミガメ ~今すぐ好意に応えられなくても

2016年9月10日
ウミガメ

アル・マクダエルの家に一泊したヴァルターは、愛情に満ちた父娘の慎ましやかな暮らしを知る。
今でも彼女に対する気持ちは変わらないが、ウミガメのことを話したいと思った気持ちは本物だ。
彼女が共感してくれたのが嬉しかったことも。

 三階のルーフバルコニーの向こうに彼女の居室が見える。 
 いつもあそこから海を眺めて、何を想っているのか。
 初めてというなら自分も同じだ。もしかしたら、彼女以上に怯えているような気もする。
 だが、そうやって逃げ回ったところで、何の解決になる? 
 プラットフォームと同じで、ずっと一人の殻に閉じこもって、本当に人生が開けてゆくものだろうか。
 彼はウミガメの手足を崩すと、彼女の窓に向けて作り直した。 
 臆病なウミガメは甲羅の奥から頭を出すのが精一杯。愛だの恋だの言われても、どうしたらいいのか分からない。
 でも、一つだけ、君に伝えたいことがある。
 それは君と君のパパの幸福を願う気持ちは本物だということだ。
 ウミガメは君を見ている。傷つかず、離れもしない距離感で。 
 だから、どうか自分に魅力が無いなどと思わないで。悪いのはウミガメで、君じゃない。
 いつかまた機会があれば、あの晩みたいに話せるかもしれないね。

アルは落ち込む娘をやさしく諭すが、自宅に帰り着いた父娘が目にしたのは、砂浜に作られた可愛いウミガメだった。

「このまま会わなければ、胸の痛みも軽くて済む。どのみち、あんな気難しい男が相手では、一生顔色を窺いながら生きてゆくことになるぞ。優しさと感じやすさは紙一重、相手に振り回されるのが嫌なら、牛みたいにどーんと図太い男と付き合えばいい」

採鉱プラットフォームに帰り着いたヴァルターは、女性機関士のオリガと食堂で鉢合わせたヴァルターは、独りの身の上をしみじみ語り合う。

「鉄のように頑丈なんだよ。君にも心配をかけさせまいとして、必死に踏ん張ってたんだろう」
「あんなに気張ることなかったのに。人間、頑張りすぎて鉄みたいに硬くなると、案外、ぽきっと折れてしまうのかもしれないわね。私も機関部では本当にお世話になったから、何かの時はいつでも力になるつもりだったけど、肝心な時に役に立てなくて本当に情けないわ。『エデン』に行ったら、ちゃんとお世話してもらえばいいけど」
「君も情け深いね」
「お互い、独りだもの。困った時はお互いさまよ」  
「母がマルセイユにいるよ。父はずいぶん前に亡くなったけど」
「じゃあ、淋しいわね」
「もう慣れたよ」
「あなたもワディと同じ事を言うのね。でも、淋しさなんて慣れるものかしら。いくつになっても、人間が独りでいるのは淋しいことよ。私だって、両親が亡くなって、いよいよ自分一人になったらどうなるんだろうと心配せずにいないもの」

少し打ち解けたヴァルターは、「君もパートナーを探せばいい」と促す。
最初は反発していたオリガも「接続ミッションも頑張って。主任会議では異議を唱えたけど、あなたなら上手くやれそうな気がするわ」と快く応える。

PDFで読む

右上部のアイコン『ポップアップ』をクリックすると、ブラウザの全画面にPDFが表示されます。

サンプル版につき、保存や印刷はできません。よろしくご了承下さい。

ウミガメ   フルスクリーンで見る


Product Notes

星座のシンボルでは『魚座』が一番綺麗ですね。
占いでも『魚座』の女の子が一番可愛いし。
魚座の女の子に幸あれ(^^)

ウミガメ   ウミガメ
Photo : http://www.desicomments.com/desi/zodiac/

ウミガメ   ウミガメ   ウミガメ
Photo : http://www.zodiachoroscopesigns.com/pisces-zodiac-compatibility.html

魚のガラス細工って、こういうやつ↓ 

ウミガメ   ウミガメ   ウミガメ   ウミガメ

ウミガメ   ウミガメ   ウミガメ   ウミガメ   ウミガメ

ウォールのPhoto : http://goo.gl/1JjRRI

You're here


Navigation

You Might Also Like