海洋情報部

9-1 海洋情報部と情報管理とデータ共有

2016年10月5日
海洋情報部

ヴァルターは海上安全局の海洋情報部の招きで、担当者と面談することになる。
想像していた「部長」と大違い、ぽっちゃり顔の中年女性で拍子抜けするが、話してみると、問題点を鋭く見抜き、明確な展望を持っていることに気付く。

「私がここに赴任したのは六年前、夫がブルーライン海運公社の副社長に抜擢されたのをきっかけに、夫婦二人で引っ越してきたの。私は元々、アステリア開発局の海事課で、十五年前から行政機関が保有する海洋観測データ管理に携り、トリヴィアのオフィスから遠隔でマネージメントしてきたんだけど、夫の栄転を機に海洋情報部への転属を願い出てね。たまたま人手不足だったこともあり、すんなり受け入れられたの。

当初はトリヴィアのオフィスで手掛けていた業務と似たようなものだったけど、ここも飛躍的に経済規模が拡大して、海上安全局が取り扱うデータも膨大になってね。従来のやり方では、とてもじゃないけど追いつかなくなってるのよ。

それで私は各機関に海洋データの一元管理と情報システムの再構築を提案したのだけど、そうなると専門チームを新設して、データベースも一から作り直さなければならないでしょう。そんな予算もなければ人材もないと毎年見送られて、そのまんま。でも、今の管理体制でデータだけが蓄積されても、それを社会に生かす方策がなければ宝の持ち腐れだし、海洋都市ならではのノウハウも身に付かないでしょう。

確かに、新たな情報システムを構築したところで、すぐに何かが変わるわけではないけれど、数年、数十年の長いスパンで海象の分析が必要になった時、外部の人間はもちろん、現場スタッフでさえ、どこに、どんなデータが保管されているか知らない。どう活かせばいいかも分からない。検索するにも二重三重に面倒な手続きが必要で、おまけにデータの取り扱いに関する明確なガイドラインもない――となれば、困るのは行政であり、区民であり、海洋開発の次代の担い手だと思わない?」

「私が海洋情報ネットワークについて公に働きかけたいのは、政府は元より、企業にも一般区民にも、もっと認識を高めてもらいたいからなの。たとえプロジェクトの認可に数年かかっても、全体に問題提起すれば、誰もが一度は見直すでしょう。船がスケジュール通りに走ればいい、海辺のホテルが儲かればいい、というものではないはずよ」

メイファン女史は、部長という立場柄、自由に発言したり、行動できない自身に代わって、ヴァルターに各方面に働きかけて欲しいと要請する。
彼も女史の事情を理解し、協力を約束する。

PDFで読む

右上部のアイコン『ポップアップ』をクリックすると、ブラウザの全画面にPDFが表示されます。

サンプル版につき、保存や印刷はできません。よろしくご了承下さい。

海洋情報部   フルスクリーンで見る


Product Notes

NOAA『アメリカ海洋大気庁』のデータ検索システム。

http://www.esrl.noaa.gov/gmd/dv/data/

ここで言う「一元化」というのは、IT界にたとえれば、MicrsoftやYahooのトップページみたいに、一つの画面、一つの検索システムから、国内、海外、経済、文化、スポーツなど、あらゆる情報が検索できることです。

何かを調べるのに、海外ニュースは、Micrsoft International、スポーツは Microsoft Sport、買い物は Shop MS の専用サイトでお探し下さい・・となれば、どこに何があるか、分からないでしょう。

また、一つ一つの情報をカテゴライズして、各部署に任せるとなれば、手間も経費も膨大。

海洋情報も、「このページからアクセスすれば、何でも出てくる」となれば、分かりやすい。

気象はどこそこ、海底地形はあっち、航行に関する安全情報はコチラ、とかやってたら、どこに何があるのか、ユーザーには全く分からないし、利用する気にもなりませんよね。

要は、ポータル化しよう、というのが『海洋情報ネットワーク』の趣旨です。

海洋情報部   海洋情報部

海洋情報部   海洋情報部   海洋情報部

Photo : http://oceantoday.noaa.gov/danger-zone.html

You're here


Navigation

You Might Also Like