5-7 物流センターのアルバイト

リズは父の勧めで宇宙港の物流センターのアルバイトを始める。

最初、リズは「無償でいい」と考えていたが、
「それこそお嬢さん芸だよ。真面目に働いている人たちに失礼だ。働いた分のお給金はちゃんと頂きなさい」
と父に言われ、賃金労働として取り組むことにする。

父がアステリアの物流に着手した時、「お門違いの分野に手を出して、身の程知らず」のように揶揄する声もあったが、元々、特殊鋼メーカーの老舗として方々にコネクションを有しており、原鉱や鋼が生活物資に置き換わったに過ぎない。

それまで物流の整備に誰も名乗りを上げず、宇宙港も工業港も山ほどの貨物を抱え、「注文した資材が届かない」と企業と販売店の間で押し問答になることもしばしばだった。一方、生活物資は常に不足し、食料や衣類はともかく、病人の治療食やおむつ、子供の学習教材、眼鏡、トイレ用洗剤、乳児用シューズなど、細々した物が手に入らない、注文から配達まで何週間もかかるなど、信じられないような不便もあった。 

ともあれ、物流はアステリアの企業にとって死活問題であるし、生活が不便では従業委員の士気にも関わる。そこで父は旧知のコネクションを活かして配送ルートを確保し、その分野で実績のある物流業者に新しい管理システムを構築させ、個々の世帯については生活協同組合のような形でオーダーをとりまとめる方式を普及させ、物資の流れを劇的に改善した。一見、採鉱プラットフォームとは何の関係も無いようだが、間接的に父の事業を遣り易くしたのである。

 そうしてディスプレイとにらめっこしながら、リズはてきぱきと商品を詰めていったが、一グループ終わったところで、ダヌシェがカートの中身をちらと見て言った。
「内容に間違いはないんですけど、詰め方を工夫してくださいね。カートのプラスチックコンテナはそのままコープグループに配達されるんです。商品の形状や大きさにもよるけど、なるべく食料品は食料品、日用品は日用品でまとめた方が受け取る側も気持ちがいいでしょう。大きな物や割れ物は下側にするとか、パッケージものは隙間に詰めるとか、なるべく一箱にまとめるとか、ピッキングしながらその都度、詰め方を工夫するんですよ。こういう仕事は単純ですけど、臨機応変にやらないと効率よく進みません。それに商品の詰め方が悪いと、些細なことでクレームがきたりするんです」
「ご、ご、ごめんなさい」
「一週間もすれば、すぐに馴れますよ」
 ダヌシェは優しく励ましたが、リズは情けない気持ちでいっぱいだ。 

体力的にも大変なピッキング作業を通じて、リズはいっそう社会や自身の生き方への考察を深める。

一方、アルはヴァルターがテスト潜航を申し出ていることを知り、今更ながら娘を甘やかしてきた事を自戒する。

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こちらはAmazonの配送センター。決済、注文などはオンラインでワンクリックで完了しても、実際の配送は、やはり人力を必要とします。完全機械化、完全自動化にはまだまだ時間がかかりそうです。
細々したものは、やはり人手を必要とするでしょうね。

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