ローエングリン

2-3 恋は火の山を越えて

2016年9月3日
ローエングリン

グンターは堤防管理の最中、運河を巡る遊覧船で、マルセイユから来た美しい女性アンヌ=マリーと恋に落ちる。
だが、彼女は単なる富裕層ではなく、エクス=アン=プロヴァンスの古城に住む高貴な人であった。

 一方、グンターは森ではぐれたジークフリートのように川面を見詰めながら、自分だけが異国でぽつねんと浮いている淋しさを感じる。
 職場の同僚やサッカーのチームメートとはその時々を楽しく過ごしているが、誰かと胸襟を開いて語り合うこともなければ、魂の触れ合うような経験もない。
 自分に魅力がないのか、まだ運命の人に出会ってないだけなのか。
 小鳥に尋ねても、ワーグナーのオペラみたいに答えてはくれない。

彼女の両親と話し合おうと試みるが、はなから相手にされず、夜中に城から追い出されてしまう。

「あなたは特権を握った人間の恐ろしさをご存じない。人ひとりの人生など片手でひねり潰すような傲慢と利己心です。話して通じる相手ではありません。まして愛など何の助けになるでしょう。私はあなたを巻き込み、傷つけたくない。どうか、私のことなど春の夢と忘れて……」
「それは本心で言ってるのかい。本気で僕に『忘れろ』と?」

ここで諦めるか、愛する女性を手に入れるか。
グンターは城壁を越えて、アンヌ=マリーに呼びかける――。

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Product Notes

大蛇ファーフナーの返り血を浴びたジークフリートは、不死身の戦士となり、小鳥の声が理解できるようになります。
小鳥は火の山に眠るブリュンヒルデのことを教え、「彼女を娶ることができるのは本物の勇者だけ。臆病者にはできません」と軽やかに歌い上げます。

ブリュンヒルデは、父神ヴォーダンの命に背いて、孤高の勇士ジークムントに荷担し、彼の最愛の人であり、妹であるジークリンデの逃亡を手助けしたかどで、「お前の目を覚ました男の妻になる」という罰を与えられます。

ブリュンヒルデは「せめて私の周りに火を放ち、それをくぐり抜けた勇者だけが私を娶れるようにして下さい」と懇願し、ヴォーダンは娘の最後の願いを聞き入れて、火の神ローゲに命じて、山に火を放ちます。

ブリュンヒルデの存在を知ったジークフリートは、勇敢に火の山を突き進みますが、彼女の眠る砦の前で、長槍を携えたヴォーダンが目の前に立ちはだかります。
ヴォーダンは、いわば、ジークフリートの父親、ジークムントを殺した仇でもあります。
ジークフリートは自ら鍛えた剣ノートゥンクでヴォーダンと一戦交え、ついにはその槍を真っ二つに叩ききって、神の娘であるブリュンヒルデを手に入れます。

「勇者の運試し」「父親の仇」「成長のイニシエーション」「褒美としての妻」。

この手の物語は、昔から様々な形で描かれてきました。

突き詰めれば、いつの時代も人が求めるのは同じドラマなのかもしれません。

ローエングリン   ローエングリン

思うに、ワーグナーは19世紀のジョン・ウィリアムスという感じ。
現代に生きても、映画音楽などを手がけたことでしょう。
若者が権威(この場合、神々の長ヴォーダン)に打ち勝ち、愛と成功と未来を手に入れる――というのは永遠のテーマです。
スターウォーズも、脈々と受け継がれてきた物語の真髄をSFの中で踏襲している作品。だから、皆が引きつけられる。

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Photo : http://goo.gl/vqlO3B

欧州でよく見かける野鴨の親子。
春先にヨチヨチ歩きする親子の姿を目にしたら、その一年は幸福になるそう。

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