接続

7-9 カエルの王さまと悲運の王女

2016年10月2日
接続

マルセイユの母から直通電話があり、近況を報告し合う。
以前よりずっと穏やかな気持ちで話し合えるのに、彼自身も意外だ。

「そうでしょうね。私もMIGについて調べたけれど、ニムロイド合金の技術では完全にファルコン・スチール社を凌駕してるのね。一般人はそれと気付かないだけで、ステラマリスでもメーカーに行き渡っているニムロイド合金の四割がMIG製だと聞いているわ。十年以上前からオーストラリアの特殊鋼メーカーと技術提携して、市場拡大を図っているとか。あそこは東南アジアの宇宙港に近いから、輸送や原料確保にも便利なのでしょう」
「俺も全然知らなかった」
「身の回りの製品に、どこの、どんな原料(マテリアル)が使われているか、普段は意識しないものね」
「ヘルメットを持っていた人とは話したのか?」
「少しだけ。でも、恨む気持ちは無いわ。その人が全力で残りの七人を助けようとしたのは本当だと感じたから。その人自身もずっと罪悪感に苛まれて、今でも夢に見るそう。目の前で人が流される悪夢を何度も、何度も……。コンペでは『緑の堤防』に投票して下さったそうよ。復興事業にも毎年僅かでも寄付を続けてるって。あなたが怒りの拳を挙げなくても、人の良心は応えてくれるものよ。いつかまた報われる日が来るわ。あなたも、お父さまも」

愛する人を失った悲しみは、年月を経ても変わらない。むしろ、年月が経てば経つほど、深くなる痛みもある。

「十八年――十八年よ。あの人がいなくなって十八年も経ったなんて信じられない。まだあの堤防で仕事をして、明日にもひょっこり帰ってくるような気がする。思わない日は一日だってなかったわ。私もよほど後を追って行きたかった。でも、そうしなかったのは、あなたが居たからよ」
「母さん……」
「今でも毎日のように考えるの。他にもっと生きようがあったんじゃないかって。再婚なんてせずに、あなたと二人で暮らしていれば、あなたを追い詰めることもなかったかもしれない。無理にフランスに連れて行ったりせず、あなたの望み通り、カールスルーエに暮らしていれば……。この上にあなたまで失ったら、私はもうこの世に生きる甲斐もない。あなたがぼろぼろに傷ついた姿を見るぐらいなら、永遠に目を閉じた方がまし。私にあなたを責める資格なんてないわね。あなたを家に帰れなくしたのは、この私。私がもっとしっかりしておれば、トリヴィアに行くこともなかったでしょうに……」

母との電話の後、ヴァルターは通信士のインディラから、マクダエル一家の問題について聞かされる。
その時、初めて、リズの背負った悲しい運命を知るのだった。

※ このパートはウェブ版では省略しています。

Product Notes

みずぼらしいカエル……と思っていたら、実は素敵な王さま(王子さま)だった。
メルヘンの定番ですね。

読んだことのない方は、こちらでどうぞ。 青空文庫

「よるになったら、あなたのかわいらしいお床とこのそばで、ねむってよいとおっしゃるなら、わたしは水のなかから、金のまりをみつけてきてあげましょう」と、かえるはいいました。

いやらしいカエルですね^^;

接続

http://www.ehonnavi.net/ehon/84698/(デジタル)かえるのおうさま/

「INBシティバンク」の元ネタ↓ 
接続   接続

ウォールのPhoto : http://fotos.serc.nl/zuid-holland/papendrecht/papendrecht-351/ 1953年 洪水の時のもの

You're here


Navigation

You Might Also Like