「傷ついた」「上から目線」に逃げない

人にキツイことを言われた時、「傷ついた」「上から目線」と、言った相手を非難する人、けっこう多くないですか?

たとえそこに幾らかの真実が含まれていたとしても、「私の心が傷ついた」「あなたの物言いは上から目線」と言えば、言われた方より、言った相手の方が断然悪くなるのですから、便利ですよね。

でも、一つ、大事なことを申し上げましょう。

あなたにとって「耳の痛い言葉」というのは、たいてい真実です

相手がたとえ意地悪なお局さまでも、無理解な上司でも、意外とあなたの認めたくない欠点を的確に見抜いていたりするものです。

あなたにはどれほど納得行かない言葉でも、「そう言われるからには理由がある」というのは本当の話なんですね。

もちろん、物には言い方があって、たとえ明らかな非があったとしても、なるべく心を傷つけない言い回しを考えなければなりません。

だからといって、「相手の言い方がキツイ」「自分の気持ちが傷ついた」からといって、自分の非を免れるための免罪符にはならないんですね。

たとえば、お店で万引きして、補導員にボロクソに責められたとしましょう。

「ガム1個盗んだぐらいで、そこまで言う事ないだろう」とあなたは思うかもしれません。

でも、たとえ、相手があなたの人格を攻撃し、夢をめちゃくちゃに打ち砕いたとしても、「店から万引きした」という事実が消えてなくなるわけではありません。

相手の物言いとは別に、あなた自身は、店から万引きした行為について考えなければならないのです。

これは極端な例えですが、突き詰めれば、そういうことなのです。

もちろん、耳の痛いことを言われて嬉しい人間なんていません。

誰だって腹が立つし、「あんな言い方しなくても・・」と不満に思うのが当たり前です。

でも、そこで一歩、引いて考えるのです。

あの物言いにはムカつくけど、あの人の言うことにも一理ある

そう思えるようになったら、あなたの勝ちです。

相手の下品さや軽薄さを超えて、あなたはあなたに必要な真実を手に入れ、自分の糧として昇華することができるのですもの。

味方の称賛より、時に、敵の放つ苦い毒矢の方が薬になる、というのは、こういうことです。

言い換えれば、「勝手に自滅すれば」というような人間には誰も口を開いたりしない、「そうですね、素晴らしいですね」と口先だけの賛美を与えて、あとは相手が破滅するのを黙って見ている、そっちの方がよほど薄情で恐ろしいんですよ。

人に何か指摘される度に「傷ついた」「上から目線」と自分を憐れみ、相手を非難する思考回路がある限り、人は本当の強さや心の平安を身につけることはできません。
「どうして誰も私の痛みや苦しみを分かってくれないの」と嘆くだけで人生が終わってしまうでしょう。

「あなたの心が傷つくこと」と「真実を知ること」は、また別です。

一時期、自分を甘やかすのは仕方ないとしても、結局は、苦い真実も受け入れて、前に進んでいくしかありません。

自分の過ちを認め、受け入れられる人は強いです。

幸せの鍵は、必ずしも、あなたの信頼する人の甘い優しい言葉の中にあるとは限らないのです。

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補足。

とはいえ、「傷ついた」「上から目線」で相手の言葉を遮る人も、有名人や権威ある人の言葉なら、意外とあっさり聞くんですよね。

たとえば、美輪明宏に「あなたみたいにバカな女はね・・」と説教されたら「エヘヘ」と苦笑いでも、職場の一歳年上の先輩に言われたら「なんなの、この女、ムカつく、上から目線!」で激怒する。たとえ言っていることの意味はまったく同じでも、「あの人に言われた」というだけで受け取り方が全然違うんですよ。

人って、そういうものです。

だから、利口な人は、わざわざ誰かの肩を掴まえて親切丁寧にご忠告遊ばす、なんてことはしないし、お節介なオバチャンはひたすら嫌われて終わる。

そして、失敗する人は、「やっぱりね」と周りから冷笑されて終わり。

残念だけど、世の中の大半はそういう構図になってるんじゃないでしょうか。

ゆえに、ある意味、事あるごとに周りの大人にグチグチ説教されて、その度に「あの人は私の気持ちとか全然わかってない!」とムカついて、ちゃぶ台をひっくり返すような青春時代を送ってる人って、幸せだと思うんです。

目が利く人は口を出さず、黙って相手が破滅するのを見てるだけだし、いくらオバチャンがお節介でも、どうでもいいような小娘相手に自慢の人生訓を垂れたりしませんからね。

まあ、人間というのは、日頃「自分と同等だ」と見下している相手に痛いところを突かれると、憤然として相手の人間性を卑しめ、何とか相手の言を否定しようとリクツを並べるものですが、正直、この人生において、「誰かが自分にとって決定的に重要なことを指摘してくれる瞬間」など、数えるほどしかありません。

そして「傷ついた」「上から目線」で相手の言葉を遮ってばかりだと、その「貴重な瞬間」をフイにすることも往々にしてあります。

だから、誰かに何かを言われて「ムカっ」ときたら、まず「相手が何ものであるか」よりも「相手が何を言わんとしているか」に心を傾けること。

どれほど嫌いで苦手な相手であっても、その「言葉」だけ抽出するクセをつければ、ものすごい武器になるでしょう。

どんなに理屈の立つ人でも、気の強い人でも、「素直な人」に勝てる人間はいません。

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