拝啓、忌野清志郎さま / RCサクセション 5月 7日, 2009年 by 阿月 まり
子供って、親に教えられた価値観を、そのままそっくり受け継ぐ面がありますよね。
「ロックなんて、不良の聞く音楽」
「子供同士でコンサートなんて、とんでもない」
我が家にとって、RC的なものがまさにそうでした。
そして、私自身も、その価値観を疑いなく自分のものとしていました。
それだけに、「ヒロミちゃんと、RCのコンサートに行きたい」と言った時、意外とあっさり許してくれた祖母の気持ち──。
そして、親に逆らってでも行こうと思った、忌野清志郎さんの存在──。
私は、ヒロミちゃんほどの熱烈なファンではなかったけれど、それまで健全なアイドル歌謡曲かクラシックしか聴いたことがなかった私にとって、清志郎さんのど派手メイクや「愛し合ってるか~い!」のシャウト、授業をサボってラジオを聞く不良な歌詞(……ということにしておいて下さい)は、親に刷り込まれた価値観の殻を破り、「自分の目で見て、自分で判断する」という、大人への一つの扉だったように思います。
『いけないルージュマジック』で歌われる、
人の目を気にして生きるなんて つまらないことさ
私の一つの座右の銘でした。
中学卒業以来、一度も会ったことのないヒロミちゃん。
きっと、日本の何処かで、清志郎さんの訃報に涙を浮かべていることでしょう。
頑なだった私の肩をそっと押して、ついでに勉強の仕方も教えてくれたあの日のこと、今でも忘れません。
RCのコンサート、一緒に行ってよかった。
『空にとけてゆくような』……清志郎さんの思い出です。
【追記:2009年5月7日】

私が生まれて初めて見に行ったロック・コンサートは、「忌野清志郎&RCサクセション」でした。
中学3年生の時です。
当時、躾の厳しい家庭では、「ロックなんて、不良の聞く音楽」と言われていて、当然、我が家でも、ロックは御法度でした。歌番組でも、百恵ちゃんやキャンディーズが歌ってるようなのしか見せてもらえなくて、ちょっと派手なのが出てきたら、「こんなの見たら、不良になる」と、すぐにチャンネルを変えられていたのです。
しかし、私の親友に、ヒロミちゃんという、それはそれは性格の可愛い女の子がいまして、彼女がRCの大変なファンでした。
で、「京都会館でRCのコンサートがあるから、どうしても行きたい。ねえ、まりちゃん、一緒に行って」と目を潤ませて懇願されまして、可愛い女の子に頼まれるとイヤと言えない私は、叱られるのを覚悟で、祖母に「友達とRCのコンサートに行きたい」と切り出したのです。
すると、意外や意外、あっさりお許しが出ました。
反対の先陣を切るであろうと思われた祖母が、本当に快く許してくれたのです。
「お前も、そんな年になったんやなあ」と。お小遣いまで渡してくれましてね。感動しました。
そして、私とひろみちゃんは、早速、お出掛けの打ち合わせ。
「着ていく物を考えなくちゃ」というヒロミちゃんに、
「え、着ていく物って、普通の格好じゃダメなの?」と言うと、
「何言ってるのよ、RCのコンサートよ。みんな、すごい格好してくるんだから、私たちも頑張らなきゃ」
「が……頑張るって、何を……」
「ダサイのは駄目だってこと」
で、私が、紺のタイトスカートに白いブラウスで行くつもりだと話したら、
「恥ずかしいから、やめて~」
と、ヒロミちゃんにえらく叱られたものでした。
そこで、ヒロミちゃんと四条河原町に一緒に買い物に行くことになったのですが、それも昔は「不良」と言われてましてね。「子供同士で四条河原町に行くなんて、とんでもない」って。
だから、それも異例中の異例だったわけです。
そして、ヒロミちゃんの見立てで、大柄なトロピカルフルーツがプリントされた黄色いアロハシャツ(どんなシャツでしょ(;^_^)を買いまして、それにジーンズを合わせて、京都会館に出掛けたわけです。
なるほど、会館周囲は、パンクな格好をした大きなお兄さんやお姉さんがいっぱいで、私なんかはそれだけで圧倒されてしまったもの。
ヒロミちゃんに手を引かれてホールに入ってみれば、ほぼ満席で、コンサートが始まる前から大変な熱気だったのです。
そして、清志郎さんの登場。
演奏が始まると、観客は全員総立ちで、私もヒロミちゃんに促されて席を立ちました。
クラシックのコンサートでは絶対に考えられないアクションに、どう振る舞っていいか分からず、私はひたすら手を打ち、ヒロミちゃんと一緒に訳も分からず「清志郎~っ」と叫んでいたのでした。
それからほどなくして、あのYMOの「教授」こと、坂本龍一さんとジョイントした『い・け・な・いルージュマジック』が資生堂のキャンペーンソングとして大ヒットし、歌謡番組でも頻繁に姿に見かけるようになりました。
でも、ヒロミちゃんに言わせれば、『ルージュ・マジック』は、清志郎さん自身も語っているように、完全に大衆ウケを狙った作品でRCの作品とは違う、ということでした。(ファンはちょっとお怒りモード)
それでも『ルージュ・マジック』は私の大好きな曲で、とりわけ、「人の目を気にして生きるなんて つまらないことさ」の歌詞に大いに共感したものです。
「ビジュアル系の元祖」と呼ばれるアーティストはたくさんいますけど、鼻に引っかけたような独特の歌唱や、バイセクシュアルなメイク、奇抜なファッション、そして何より、世相を皮肉ったような機知に富んだ歌詞で、オリジナリティあふれる音楽を作っていたのは、清志郎さんが最初ではないかな……と思います。
こちらが「一般受け」を狙って作曲された『いけないルージュ・マジック』。
坂本龍一さんとのショート・フィルムには、なんとなんと、男同士の艶っぽいキスシーンもあり、ファンにはこたえられない逸品です。
/video/rc_magic.flv
これはまさに日本の稀代の才能がタッグを組んだ……という感じの貴重な一本ですよね。
若かりし日の坂本龍一教授も、清志郎さんも、妖艶この上ない。
こういう天才的なアーティストが世に出てきた頃をリアルタイムで見られた私は、やっぱシアワセ者かも。
こちらは私のお気に入りの『トランジスタ・ラジオ』。
「う~、授業をさぼって、日の当たる場所にいたんだよ」
私も高校生の時分はサボタージュすることが多かったんですけど、その時、いつも心に浮かんだのがこのフレーズ。
「リヴァプールから、ホットなメッセージ、空にとけてった」
これきっとリヴァプール=ビートルズ、のことなんでしょうね。
清志郎が歌うと、なんでもない歌詞が本当に空に広がるようで、伸びやかな気持ちになるんですよね。
/video/rc_radio.flv
シングル・マン
レビューによれば、
『初期の「怒りの清志郎」集。激烈な歌詞。同じような体験を持つ人は当分どっぷり嵌まるかもしれません。 メロディーは情緒豊かで美しいので、何度か聴くうちに頭の中でリフレインすることになるでしょう。これなしではいられなくなるかもしれません。当時ヒモ以下の生活を送っていた清志郎が起死回生を目論見、渾身の思いでレコーディングした曲群。生々しい歌声、凛とした演奏。しかし、全く売れず間もなく廃盤に。後々まで清志郎のトラウマになっていたとは本人の弁(某ロック評論誌20000字インタビューより)。 報われない男の恨み節が、とても美しいメロディーに載せて、満身の力を込めて絞り出すように歌われ、聴く側の心臓を抉ります。覚悟を決めてから再生ボタンを押してください。』
私よりずっと大人っぽかったヒロミちゃんも、「胸が切なくなる」と強くすすめていました。
でも、残念ながら、当時の私にはさっぱり理解できなかったんです、あまりにお子ちゃま過ぎて。
今なら泣けるかもしれないですね。
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3月 31st, 2008 at 11:48 PM
私は、”ステップ!”を演奏するRCをヤングOH!OH!で見たのが最初の記憶です。強烈なのが出てきたという印象がありました。そしてロック少年だった私は小川銀次のギターにも、これまたマイってしまいました。清志郎の歌を立てながら、新しい感覚のロック・ギターを奏でる小川銀次を観たいばかりにRCの出演番組を探して観たものです。しかし銀次(伊藤銀次じゃありません、念のため)さんはRCがスターダムにのし上がる直前に脱退。というか正式メンバにしてもらえなかった、とごく最近知りました。それからのRCは、私は一歩退いて見てしまっています。
小川銀次さんはその後長くスランプ?に陥りましたが数年前復活して超絶技巧のギターを聞かせてくれています。私は年に何回かライブを観てます。
4月 2nd, 2008 at 6:28 AM
そんなエピソードがあったのですか。
Wikiで調べてみましたが、メンバーの入れ替わりやバンドの浮き沈みが本当に激しいですね。
三浦友和さんまで参加していたというのはビックリしました。
小川銀次さんのことは全然知らなくて、Youtubeにも無かったのですが、好きな事を続けられるよう頑張って欲しいですね。
4月 2nd, 2008 at 12:42 PM
小川銀次さんは確かにYouTubeにも載ってません…但し、RC在籍時の映像が若干上がっています。あと、北野武のバックバンドで演奏していた姿が見られるのが上がってました。
http://jp.youtube.com/watch?v=KQcHTx4RL9s
小川銀次を知ってるひとは、世間にはほとんど居ません。
4月 4th, 2008 at 3:18 AM
見ました!
最後の方にソロがちょっとありましたね。
すごい軽やか!
あれだけ技量があれば、もっと前に出てきてもおかしくないでしょうに。
これから頑張って欲しいですね!