書籍と絵画

楳図 かずお 『洗礼』 ハリウッド実写版 希望

2008年12月5日

漫画家にも「天才」と称される人が数あるけれど、まさに天才と呼ぶにふさわしい、鬼才の中の鬼才は誰か……と問われたら、私は迷わず「楳図 かずお」を挙げる。

最近では紅白しましまの豪邸を建設し、地元住民から猛反発をくらった事件もあるけれど、「びちグソ」や「グワシ!」でお馴染みの『まことちゃん』みたいなエログロ・パロディから、腹の底まで沈み込むような人間ドラマまで、よくこれだけ練りに練ったストーリーを思いつくものだと感嘆せずにいないのである。

中でも、氏の天才をあますことなく見せつけた作品が、母娘の異常な絆を描いた『洗礼』。

これを最後まで読んだ時の衝撃は「怖い」というより氏に対する畏敬の念だった。

「どうやったら、こんなものすごいドラマを、しかも読者にオチを見破られることなく描くことができるんだろう」と。

これが本当に「びちグソ」だの「タイヘン・ロック(タイヘンを連呼すると変態になる)」だの、品性下劣としか言いようのないエログロ漫画の作者と同一人物なのか、と。

それを考えると世間で「天才」と呼ばれている人の才能なんて底が知れている、本当の天才はこの人だと、まことちゃんの鼻水の陰からしみじみ思わずにいなかったのである。

そんな『洗礼』の物語とは……。
 
*

美人女優の若草みどりは、老いて醜くなることを異常に恐れていた。

そんな彼女がかかりつけの医師から聞かされたアドバイスは、自分にそっくりの美しい娘を生んで、娘の頭囲が十分に育ったら脳を移植し、もう一度、若く、美しい青春時代をやり直すというものだった……

こればっかりは、オチは教えられません。

どこのどんな作品にもない芸術的オチです。

いやもう、オチを知っても十分に楽しめる作品ではありますが、初めて読む人にはこの驚愕のラストを骨の髄から味わって欲しいです。。

描かれたのは、三十年以上も前のことなのですが、今の「ピーナッツ母娘(友達のようにベタベタと仲の良い親子)」を予見するような心理描写があり、これが父と息子の物語ではなく、母と娘の物語というところに、作者の洞察の深さを感じずにいません。

仲の良い反面、ライバルでもある母と娘の関係に、女の嫉妬や恐怖(主に美しさと才能に対する)を絡ませた手腕が本当にスゴイと思います。

で、私としては、これを是非ともハリウッドで映画化して欲しい。

「リング」なんて目じゃないです。

配役は、

美少女さくら(娘): ダゴタ・ファニングで決まり。

洗礼 ダゴダ・ファニング

アメリカの天才子役と言われ、『宇宙戦争』ではトム・クルーズとも共演した。
(今ではすっかりお姉さんになってしまったけども)

完璧な美少女ではないけれど、大人の脳ミソを持った、不気味な少女の雰囲気にはぴったり。
床に投げ捨てられた脳ミソをぐちゃっと踏んで、「おほほ、おほほほ」と楳図 かずお笑いするシーンを是非やって欲しい。

お母さん : キャシー・ベイツ

洗礼 キャシー・ベイツ

スティーブン・キング原作の映画『ミザリー』で一躍名を知られた演技派女優。
このまんまでやれそう。
優しいお母さんが、ある日突然、豹変して娘を殴打し、足をずるずる引きずって手術室に連れて行くシーンは圧巻。

憧れの小学校の教師  : ハリソン・フォード

洗礼 ハリソン・フォード

トム・クルーズも考えたけど、トムがやると甘過ぎるので、ここは渋く、サスペンスやスリラーに強いハリソン君で。

ゴキブリ飯を食べさせられる教師の妻 : レネ・ルッソ

洗礼 レネ・ロッソ

原作の奥さんは知的ではないのだが、レネ・ルッソを使うことで、小学生のさくらに夫を奪われる(?)衝撃度が大きくなり、イケるのではないかと。
ゴキブリ飯は食べる振りでいいから頑張って~☆

こんなこと考えてたら、夜も眠れなくなってさ(笑)

頭の中で実写版『洗礼』がくるくる回っている私。

監督はもちろん『シックス・センス』のM・ナイト・シャマランでしょう。

いやー、本当に見てみたい。

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