『ターミネーター4』&『ターミネーター1』時を超えた絆。新シリーズに期待。

前回、『トランスフォーマー2 続編だけど楽しい体育会系作品』の記事で、続編の哀しい宿命について書いたが、さっき見た『ターミネーター4』は想像以上に面白かった。

……というより、新シリーズの1作目は、たいてい聴衆の予想を上回るデキで、「意外と良かったね」という評価を頂くのが常なのだが。

ジェームズ・キャメロンによる前作の世界観を忠実に踏襲しながら、まったく新しい物語の火ぶたを切ったこの『ターミネーター4(Terminator Salvation -Terminator Salvation-)』。

Salvationとは『魂の救済』、そして、それは誰の魂を意味するのか、勘のいい人なら、プロローグを見ただけでピンと来るだろう。

ファンなら誰もが知りたかった、ジョン・コナーと「未来の父」であるカイル・リースの出会い、そして、ターミネーターT-800の誕生──。

決してエモーショナル過ぎず、それでいて、「息子」と「父」の出会いをスリリングに描いた本作は、それ以前の続編「ターミネーター2」と「ターミネーター3」にちょっとガッカリさせられたファンを再びターミネーターの世界に連れ戻すのに十分だった。

キャメロン・ディアスやルーシー・リューの爽やかなお色気が満載だったアクション・コメディ『チャーリーズ・エンジェル
』のマックGが監督というから、「あ、もしかして、下ネタあり?」なんて意地悪なことも思っていたが、どうしてどうして、エンジェルが地獄に降臨したかのごとき神々しさで、キャメロンが投げかけたターミネーターの世界を崇高に表現していたように思う。

そしてキャスティングも良かった。

苦悩するヒーローを演じさせれば現代随一のクリスチャン・ベイル(代表作『ダークナイト』に、ロシア系俳優アントン・イェルチン(若き日のカール・リース)。

キレのあるアクションを披露するエキゾティックな美女ムーン・ブラッドグッド(女性兵士ブレア・ウィリアムズ)に、しっとりとした女性らしさをたたえたブライス・ダラス・ハワード(ジョンの妻・ケイト)。

そして物語の重要な鍵であるマーカス・ライトは、日本ではあまり知られていないサム・ワーシントンが人間味あふれる半機械キャラクターを演じ、「なぜターミネーターと戦うジョンが、自分のボディガードとして未来社会にT-800を送り込んだのか」という理由を十分に納得させるものだった。

普通、あれほどまでに強烈なインパクトを放つアーノルド・シュワルツネッッガーの後任とあれば、俳優自身も身構えて、演技が不自然になったり、無理が見えたりするものだが、ワーシントンは、シュワちゃんの面影を受け継ぎながらも、「マーカス」という新しいキャラクターを創造し、ファンの期待を未来に繋いでくれたように思う。

カール・リースを演じたアントン・イェルチンも、繊細な中に生え抜きの戦士らしい逞しさを感じさせ、マイケル・ビーンが演じた『哀愁の未来戦士』にふさわしい存在感だった。

まだ戦士として完成されていないカール・リースが、前作でお馴染みの「ショットガン(第1作の象徴的な武器)」を放つ場面や、ターミネーターの頸部に手榴弾を差し込む場面は、第1作からのファンを十分喜ばせるものだったのではないだろうか。

情報では、既に三部作の構想が立っており、「ターミネーター5」がお目見えする日もそう遠くないと思うが、続編では、スカイネットがタイム・トランスポートに成功して、未来社会にターミネーターを送り込むまでのプロセス、そして、若いカイル・リースがいかにして「伝説の女性サラ・コナー」に思慕を抱くようになるかが重要なポイントになるだろう。

カイルの気持ちはともかく、母・サラー・コナーを守るため、彼を未来に送り込むジョンは、カイルの運命がいかなるものか知った上で決断するわけだから、そこで躊躇しないはずがない。
そして、カイルも、なぜジョンが自分を選んだのか、その理由を知りたいと思うはずだ。

そのあたりのドラマをどう描くかで、新シリーズの価値が問われるのではないろうか。

おかしなところで設定を塗り替えて、「『最後の審判』も回避されたし、カイルも死なずに済んだ」などというオチは絶対に止めて欲しい。

やはり、最後は、ジョン・コナーの手で、あるいはマーカスによって、きっちり始末を付けてもらいたいものだ。

既に新シリーズ続編が待ち遠しいワタクシ。

次の展開は、カイルを未来に送り込むまで……がメインになるのかな。

ある意味、『バックトゥ・ザ・フューチャー』みたいに、息子が若き日の父に出会い、その未来を告げることが出来ないまま別れを迎える……というのは、それだけで非常にロマンティックですよね。

次作に期待しましょう☆

『僕は、時を超えて、君に遭いに来た。君を愛している』

タイトル通りです。

なぜ、みんな、『ターミネーター』に惹きつけられたのか。

それは、設定、特撮、物語、すべてにおいて「新しかった」からだと思う。

まず、多くのヒーローものは、主役と敵が一騎打ちして勝敗を決める。

だが、ターミネーターの標的は、ジョン・コナーその人ではなく、『母親』だ。
生みの母を殺して歴史的に抹殺するという、その発想がまず新鮮だった。

そして、母であるサラ・コナーを守るために送り込まれた未来戦士カイル・リース。

普通に考えたら、未来からもっと強力な武器を携えて来ていいはずなのに、彼は丸裸で現代にやって来て、ガンショップで旧式の銃を盗み、現代の武器で未来の殺人マシーンに対抗しようとする。

やっつけても、やっつけても、執拗に追ってくるターミネーターを前に、そんなちゃっちい手投げ弾やショットガンで、どうやって勝利するつもりなんだと首を捻りたくなるような無力さに、未来から、ただただ、「サラ・コナー」という女性に会うためだけに送り込まれたカイル・リースの哀しき宿命を感じずにいなかった。

これがもし、ターミネーターに楽々勝利するようなスーパーヒーローだったら、『ターミネーター』はここまで人の記憶に残る作品にならなかっただろう。

武器も味方もない中で、死力を尽くして使命を全うしたからこそ、カイルはヒーローになり得たし、サラもまた強敵に立ち向かう女戦士に生まれ変わった。

いわば、アクション映画のお決まりであるヒーロー像に、人間の脆さや哀しさを持ち込んだのがこの作品の醍醐味であり、マイケル・ビーンが演じた『哀愁の未来戦士』は、リメイク版のバットマンやスパイダーマンといった現代の「悩めるヒーロー」の原型となるものだったのではないだろうか。

そして、この作品を語る上で絶対的に欠かせないのが、『写真』という小物使いである。

カイルがジョンから手渡され、いつも肌身離さず持ち歩いていた、古ぼけたサラ・コナーの写真。

「この写真を撮った時、彼女は何を想っていたのだろうと、いつも思い巡らせていた」

という言葉の通り、この写真は、サラがカイルを失い、彼との間に授かったお腹の子供(ジョン・コナー)をさすりながら、音声日記を吹き込んでいる時に、たまたまガソリンスタンドで居合わせた子供が、お小遣い目当てにポラロイドで撮影するものである。

彼女が思い巡らせていたこと──それは、愛するカイルのことであり、迫り来る『審判の日』である。

時を超えて、サラからジョン、ジョンからカイルに受け継がれたこのポートレートは、未来社会で、ターミネーターとの死闘の折りに炎の中に失われてしまうが、カイルの心からその面影が失われることはなく、現代に送り込まれる強い動機となる。

いわば、現代と未来、そして、サラ、カイル、ジョンという3人の絆を象徴するものであり、それがエピローグ、風雲急を告げる黒雲を向こうに撮影された──という設定が心憎いばかりだ。

ラスト、写真を撮った子供が、空の向こうを指差し、現地語で何かを叫ぶ。

「あの子は何と言っているの?」と、ガソリンスタンドの男性に尋ねるサラ。

「『嵐が来る』と言っています」

「……知ってるわ」

黒雲に向かって、一直線にジープを飛ばして行くサラ・コナー。

かの有名なテーマ曲「ダダン、ダン、ダダン」という響きとともに、聴衆は限りない想像の世界へ導かれ、「すごいものを見せてもらった」という気分になったものだが、まあ、後がねえ。。

何にせよ、『殺人魚フライングキラー』で水中に没しかけていたジェームズ・キャメロンが、おそらくは、監督生命をかけて、執念でぶつけてきたと思うこの作品。

ターミネーターの真のターゲットはサラ・コナーではなく、彼の才能を評価しない世間だったかもしれない。

映画『殺人魚フライングキラー』について

*『殺人魚フライングキラー』

1982年の監督作品。私も、テレビ東京系の木曜洋画劇場(よっぽど番組予算がないせいか、いつも、誰も知らないようなモンスター映画や三流刑事モノなんかをオンエアしていた)で見たことがあるが、「ピルピルピルピル」という音と共に、ピラニアとトビウオの合成殺人魚が襲いかかってくるシーンは非常に印象的だった。(今でもあのピルピル音は記憶に残っている)
この作品は今でもキャメロン監督のトラウマになっているらしく、この話をすると怒り出すとかいう噂もあるが、「アビス」
「タイタニック」など、海を舞台にした作品の立派な習作になったのは間違いないのでは?

天下のキャメロン監督も、売れない頃はこんな作品を撮っていたのかと思うと、感無量だよね。
でも、何となく、「タイタニック」の面影がございません??
ちなみに、キャメロン作品にしばしば登場するランス・ヘンリクセン(ターミネーターでは刑事役、エイリアン2ではアンドロイド役)とは、この頃からの付き合いなんですねえ。お気に入りの俳優さんですね。確かに、スゴイ。

『ターミネーター』の関連商品

今やSFアクションの古典とも言うべきジェームズ・キャメロンの不朽の名作にして、アーノルド・シュワルツネッッガーの出世作。
特撮技術の古さは感じさせるが、巧みな設定とスリリングな展開は白眉のもの。
「続編は認めない」というコアなファンを生み出すのも頷ける。
カイルを演じたマイケル・ビーンの翳りをおびた甘いマスクも素敵(この頃は女性ファンも多かった)。
時を超えたラブストーリーとしても十分に堪能できる作品だ。

個人的には「ここまで」。公開当時は驚愕の映像でしたが、今では当たり前になっちゃいましたネ・・

これはもう、とってつけたようなお話。

やはり「1」に優るものはないです。

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