音楽

愛の讃歌 エディット・ピアフ&美輪明宏 / ヨイトマケの唄 / 花~すべての人の心に花を

2008年11月25日

美輪さんの新刊、『乙女の教室』が発売になりました。

「乙女」の意味するところは、「乙な女」。
昔の評価基準である「甲乙丙丁」のうち、甲では出来過ぎでいやらしいので「乙」なら愛嬌がある、「ちょっといい、なんだかいい、転じていい女」という意味でタイトルにされたとか。【Amazon.comレビューより】

私も「乙女」という言葉が大好きです。
「女の子」はガキっぽいし、「女性」というと取り澄ました感じがある。
でも「乙女」というのは、少女でもなければ、年ばかりくったオバさんでもない、純粋で、みずみずしい若い魂を感じさせるから。

「乙女」と呼ぶにふさわしい、優しく、ロマンティックで、けなげな女性を目指す為にも、ぜひ、この本をお手に取ってみて下さい。

その他の書籍は、「美輪明宏のおすすめ本」で紹介しています。

§ 美輪明宏の魅力

ところで、『美輪明宏』というと、

「オカマみたいな格好して、トーク番組でエラそうにお説教する人」とか、「オーラの泉に出ている、背後霊の見える人」ぐらいにしか思ってない人も多いかもしれません。

私も実際の舞台を見るまでは、あまり期待してなかったのですよ、実は。

でも、著書の大半を読み、軽い気持ちで劇場に出掛けたら、ほんと、天地がひっくり返るような衝撃を受けましたね。

「『演技』って、こういうことを言うんだ」って。

今まで私が見てきた演技なんて、子供の紙芝居にしか思えませんでした。

そして、この方のスゴイところは、本やテレビでお説教されるだけの事をきちんと実践しておられる、ということです。

たとえば、コンサートが終わると、舞台袖に詰めかけた全てのファンと(大半が若い女の子)、一人残らず握手をされるんですね。
何時間も歌ってヘトヘトでしょうに、ファンから渡される全ての花束、全ての手紙、全ての贈り物を、自分の身体一つで受けとめ、「ありがとう」って、一人一人に声かけされるんですよ。嫌な顔一つせずに。
その姿を見て、「この人は本物だ」と思いました。
「なによ、それぐらい」って思われるかもしれませんが、これが出来ないのですよ、普通の人には。

音楽会だけでなく、お芝居も本当に素晴らしいです。
美輪さんの代名詞ともいえる「黒蜥蜴」を見に行けなかったのは、一生の悔いですね。

まだの方は、ぜひにお行きなさい、と言いたいです。
「また今度、また今度」と思ってたら、絶好の機会を逃しますよ。
美輪さんだって、永久に生きておられるわけじゃないんですからね。

美輪さんに関する詳しい情報はWikiでどうぞ。

コンサートやイベント、TV出演などの情報は公式サイトでどうぞ。
http://www.o-miwa.co.jp/

§ 愛の賛歌 ~エディット・ピアフの生涯

私が初めて見た美輪さんの舞台は『愛の讃歌 ~エディット・ピアフの生涯』でした。

エディットというシンガーを決して美化することなく、それでいて、歌に、愛に燃えるようにして生きた彼女の生涯を真摯に描いたこの作品は、じわじわと胸にしみいるような情熱に満ち、わけても、舞台中盤で歌われる「愛の讃歌」はまるで天上にこだまするかのような美しさでした。

美輪さんの歌は、「上手い」とか「すごい」とかで言い表せるレベルではない。

高次なものが人の形になって現れ、周囲の氣を震わせるかのごとくです。

そこいらのオペラ歌手よりはるかに演技が上手で、胸に迫るようなものがありますよ。

愛の讃歌
エディット・ピアフ 作詞
美輪明宏 訳詞

青く高い空が 頭の上に落ちてきたって
この大地が割れて ひっくり返ったって
世界中のどんな重要な 出来事だって

あなたのこの愛の前には
どうってことありゃしない

朝 目が覚めたとき
あなたの温かい掌の下で
あたしの身体が愛に震えている
毎朝が愛で満たされている

あたしにはそれだけで十分

もしあなたが望むんだったら
この金髪だって染めるわ

もしあなたが望むんだったら
世界の涯だってついて行くわ

もしあなたが望むんだったら
どんな宝物だって
お月様だって盗みに行くわ

もしあなたが望むんだったら
愛する祖国も友達も
みんな裏切って見せるわ

もしあなたが望むんだったら
人々に笑われたって
あたしは平気

どんな恥ずかしいことだって
やってのけるわ

そしてやがて時が訪れて
死があたしから
あなたを引き裂いたとしても
それも平気よ

だって必ずあたしも死ぬんですもの

そして死んだ後でも
二人は手に手を取って
あのどこまでもどこまでも広がる
真っ青な空の碧の中に座って
永遠の愛を誓い合うのよ

何の問題もない
あの広々とした空の中で

そして神様もそういうあたし達を
永遠に祝福してくださるでしょう

美輪さんは、フランス語のオリジナルの前に、必ずご自身で訳された日本語バージョンを歌われます。
日本で一般に知られている歌詞は、エディットの思いからあまりにもかけ離れた訳者の創作だからだそうです。
この曲は、エディットが生涯の愛を誓ったマルセル・セルダンを飛行機事故で亡くした時、悲しみのどん底の中で歌われました。

「二人は手に手を取って 永遠の愛を誓い合うのよ。何の問題もない あの広々とした空の中で。そして神様もそういうあたし達を永遠に祝福してくださるでしょう」という歌詞は、まさにエディットの心情であり、本物の愛の姿であると思います。

以下は、美輪さんの舞台『愛の讃歌 ~エディット・ピアフ~』に大変感銘を受けて、その夜に書いた詩です。

エディット・ピアフに捧ぐ

天国への階段は
悲しみと苦しみでできている と
あなたは言った

幸せなんて
小さな踊場に過ぎないと

歌は 時に涙のように
あなたの胸から零れ落ちる
葉の上の滴が
その重みに耐えきれずに
滴り落ちるように

だけど そんな哀しい響きさえ
あなたが歌えば
一篇の詩になる

曇った涙の滴が
澄んだ水晶の玉になるように
あなたは あらゆる影を
光に変えてしまう

あの街角で あの辻で
人は耳を傾けずにいない
同じ痛みをもつ あなたの声に
あなたの歌う 豊かな人生に

愛にあふれた 小さな雀(ピアフ)
与え 与えて この世を去った

太陽が 地上に
何の見返りも期待しないように

だけど あなたが注いだ光は
永久に輝きつづける
人の世がある限り

その眼から
涙が消えぬ限り

§ 美輪明宏の舞台

こちらは美輪さんの十八番の一つ、『老女優は去りゆく』


若い女性の声からお婆さんの声まで見事に使い分け、まるで一本の短いお芝居を観ているようです。
歌詞もまるで美輪さんの舞台人生を彷彿とさせるような内容で、これをライブで見た時は、ただただ圧倒されるばかりで、しばらく立ち上がれなかったぐらいです。

こちらは、多くのアーティストがカヴァーしている沖縄県出身の喜納昌吉の作詞作曲による『花 ~すべての人の心に花を』。
この曲について、美輪さんは『音楽会』のトークで「仏さまがお作りになった歌」と語っておられました。
歌詞は、まさに仏教のの世界観を表したものであると。

川は流れて どこどこ行くの
人も流れて どこどこ行くの
そんな流れが つくころには
花として 花として 咲かせてあげたい
泣きなさい 笑いなさい
いつの日か いつの日か
花を咲かそうよ

涙流れて どこどこ行くの
愛もながれて どこどこ行くの
そんなながれを このうちに
花として 花として むかえてあげたい
泣きなさい 笑いなさい
いつの日か いつの日か
花を咲かそうよ

花は花として わらいもできる
人は人として 涙もながす
それが自然のうたなのさ
心の中に 心の中に 花を咲かそうよ
泣きなさい 笑いなさい
いつの日か いつの日か
花を咲かそうよ

舞台上の美輪さんは、まるで蓮華に座して微笑む仏様のようでした。
小さな映像ではわかりにくいですが、実際の舞台では、七色の光を使った演出が素晴らしく、まるで目の前が開けるような美しさでした。


こちらは近年になってサザンの桑田さんや米良美一さんらがカヴァーされたことで再び注目を集めた「ヨイトマケの歌」。

この唄を歌う時だけは、派手な衣装は着けず、質素なスーツや着物姿で披露されます。
この曲は、美輪さんの小学校時代の同級生の母親の思い出を歌ったものです。
当時、ヨイトマケの仕事は汚い仕事と言われ、その子もみじめな思いをすることが多かったそうですが、その母親は愛情豊かに子供を育て、その子は立派に成長したそうです。
このエピソードは、コンサート『音楽会』でも必ずお話しされますので、一度はお出かけ下さいね。

§ 美輪明宏 おすすめCD&書籍

美輪さんの本はたくさん出ているのですが、あえて一冊と言われたら、この本を強くおすすめします。
雑誌「MORE」に連載されていただけあって、恋愛、仕事、生き方、文化、社会など、テーマがバラエティに富んでいますし、若い女性に寄った文章になっています。
厳しい中にも愛にあふれた美輪さんの言葉にきっと心癒され、勇気づけられると思います。

美輪さんの人生相談の本もたくさん出ていますが、一番完成度が高いのがこれです。
「週刊女性」に連載されていたもので、恋愛、人間関係、家庭など、女性のライフスタイルに直結した内容が多いです。
はっと目の醒めるような思いがすること請け合いです。

美輪さんの舞台というのは、やはり生で見ないと本物の迫力は分からないのですが、こうしてDVD化されたのは本当に有り難い話。
ぜひお芝居の方もDVD化して欲しいです。「黒蜥蜴」は特に。

You Might Also Like